かがみの孤城の紹介:2022年日本映画。2018年の本屋大賞を受賞した辻村深月のベストセラー小説『かがみの孤城』。学校に通えなくて悩む中学生の少年少女が鏡の中にある城に招待され、そこで願いを叶えることができる部屋の鍵を探す権利を与えられる。しかし願いがかなえられるのは七人のうちひとりだけ。監督は『カラフル』の原恵一。主人公こころにはドラマやCMで注目される當真あみ。ほかに北村匠海や板垣李光人、芦田愛菜などの俳優陣と梶裕貴、高山みなみなど声優陣が脇を固める。
原作:辻村深月 監督:原恵一 声優:當真あみ(安西こころ)、北村匠海(リオン)、吉柳咲良(アキ)、板垣李光人(スバル)、高山みなみ(マサムネ)、梶裕貴(ウレシノ)、横溝菜帆(フウカ)、麻生久美子(こころの母)、芦田愛菜(オオカミさま)、宮﨑あおい(喜多嶋先生)、ほか
映画「かがみの孤城」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「かがみの孤城」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「かがみの孤城」解説
この解説記事には映画「かがみの孤城」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
かがみの孤城のネタバレあらすじ:起
安西こころは中学に入学してすぐ、クラスの中心的女子、真田からいじめを受け学校に通えなくなります。母に連れられ〝心の教室〟というフリースクールにやってきましたが、やさしそうな喜多嶋先生という女性にも心を開くことはできません。
5月のある日、フリースクールに行けなかったこころが自宅でひとり過ごしていると、部屋にあった鏡が光り出し、その中に引き込まれてしまいます。
そこは童話に出てくるような素敵なお城で、オオカミの面の少女に待っていたと言われて中に案内されると、そこには6人の少年少女が座っていました。全員揃った、とオオカミ少女は城の説明を始めます。来年の3月30日までに願いの部屋を開ける鍵を見つけること。そこに入ればなんでもひとつ願いを叶えることができるが、それはひとりだけ。城に来られるのは9時から5時まで、それを過ぎると狼に食べられてしまい、その日城にいた者全員の連帯責任となること…。
年長者らしい少女から自己紹介が始まり、女子は中3のアキ、中2のフウカ、中1のこころの3人。男子は中3スバル、中2マサムネ、中1のリオンとウレシノの4人です。7人は広間に並べられたそれぞれの鏡から出入りできるそうです。
それ以来城に行かなかったこころは、毎日学校からのお知らせを郵便受けに入れてくれる近所の同級生、東条萌の姿を部屋から見ています。転校してきた萌と仲良くしたかったこころ。
6月。こころがようやく城に行くと、暖炉の間でマサムネとスバルがゲームをしていてアキとフウカもそこにいました。こっそり2階の個室に向かったこころは、お姫様のようなベッドに飛び込みちょっとうれしくなります。そして皆に合流し、歓迎してもらったこころはまた来ようと思うのでした。
翌日、食堂の間へ誘われたこころ。アキとフウカは女子だけでよくここにいるといいます。城は水道やガスが通っていないらしく、アキは水筒に紅茶を入れてもってきていました。城にある豪華なティーカップにストロベリーティーを注ぎお茶を楽しむ3人。
7月になると、この前までアキを追いかけていたウレシノが今度はこころのことが気になるようで、やたらと話しかけてきて皆を困惑させます。
8月。城に来る人数がめっきり減り、皆家族旅行や夏期講習で忙しいとマサムネが話してくれます。授業を受けていないこころは勉強の遅れを取り戻そうと焦りますが、あまり気にしていないようなリオンと話して少しほっとします。
ある日、城に行っている間に母が仕事から帰ってきたようで、こころが外出したと思った母はそのことについて話題にします。こころは監視されているように感じ、怒って自室にこもってしまいます。
9月が近づき、おとなしいスバルが髪を金髪に染めてきて皆をビックリさせます。そんな中、ウレシノが2学期から学校に行くと宣言します。ここにいる7人が不登校であることに薄々気づきながらだれも口にしていなかったのに、皆にバカにされたと思ったウレシノは自分が皆とは違うということを証明するためにそんなことを言い出したのです。空気が凍りつく中、リオンは「俺は学校行ってるよ」と発言し、実はハワイの寄宿舎付きの学校にサッカー留学していることが判明します。
かがみの孤城のネタバレあらすじ:承
9月になり、ウレシノが傷だらけの姿でやってきました。いつも同級生におごらされていたウレシノが、「おごってもらえないなら用はない」と言われたことに腹を立て、手を出してしまった挙句やり返されてしまったのです。結局ここしか居場所はないんだな、とマサムネがつぶやきました。
一方アキは、こころとフウカにこっそりと彼氏ができたと打ち明けます。
ある日の夕方、こころの家に喜多嶋先生がやってきます。こころは、母が信頼しているこの先生が自分のことを理解しているように感じ好印象を持ちます。彼女は自分が好きだというストロベリーティーを渡して帰っていきます。
10月。アキとマサムネが全員に、皆で協力して鍵を探そうと提案します。リオンが、もし鍵が見つかっても期限まで使わないと約束してほしいと言って、城が心地よい居場所となっていた全員が賛成します。
一日皆で鍵を探し回った帰り際、オオカミさまが現れ、願い事を叶えたらここでの記憶は一切消えてなくなるが、だれも願いを叶えなかったら記憶は残る、と言いました。
翌日、女子3人で鍵を探しているとアキが、記憶がなくなってもいいから願い事を叶えたいと言い出します。記憶をなくしたくないと思っていたこころは混乱し、真田たちにいじめられて不登校になったいきさつを話して泣いてしまいます。アキとフウカはこころを気づかい抱きしめました。
11月のある日、制服姿のアキが鏡から飛び出してきました。彼女はなにかから逃げてきたようにおびえていますが、こころはその制服が気になり思わず「それって雪科第五中?」と口にしてしまいます。そこで全員が雪科第五中の生徒(リオンは通うはずだった)だということがわかります。自分の部屋に戻ってきたこころは、このまちのどこかに仲間たちがいると思い勇気づけられるのでした。
その夜、こころは母に真田たちにされたことについて打ち明けます。母はこころに謝り、いっしょに闘おうと抱きしめました。
2学期も終わりに近づき、こころの家に担任の伊田先生がやってきました。真田から話を聞いたという伊田が、彼女も反省しているとかばうので、こころは反省していないと思うと反論します。母も、まずこちらにも同じように話を聞くべきだと言い、それをせず一方的に解決しようとした伊田を追い返します。
こころが城に行くと、リオンが手作りケーキを持っていました。リオンの母が日本から来て作ってそうです。みんなで食べようというリオンはオオカミさまにもあげようと言い、仮面をはずさない彼女はそれを持ち帰ります。
ある日マサムネが、3学期初日に皆学校に来てくれないかと頼んできました。自分たちは助け合えるんじゃないか。そういうマサムネは、私立に転校する前に一度、保健室でもいいから学校に行こうと言い、ハワイにいるリオン以外皆約束しました。
かがみの孤城のネタバレあらすじ:転
3学期初日、頑張って登校したこころは昇降口で萌に無視されショックを受けます。さらに靴箱に入っていた真田からの手紙を読み始め、そのあまりにもずれている内容にとても教室には行けなくなり保健室を目指します。しかしそこには養護の先生以外だれもいません。皆の名前を挙げて来ていないかたずねますが、苗字を知らないので先生もよくわかりません。1年のウレシノ君は?と聞きますが「そんな生徒はいないけど」と言われ、こころは倒れてしまいます。
目が覚めると喜多嶋先生がいました。手紙を見てしまったと謝る喜多嶋先生は「あれは、ない」と怒っています。こころは萌に無視されたことの方がつらいと訴えますが、先生は「信じて。東条さんは(こころを)心配してる」と言います。
その日こころが城に行くと、リオンが来ていました。こころが落ち込みながら説明すると彼は励ましてくれました。ふとこころがリオンに願い事をたずねると、病気で亡くなってしまった姉を家に帰してほしいと答え、真田がこの世からいなくなればいいと思っていた自分の願いはなんてちっぽけだったのだろう、とこころは恥ずかしくなりました。
続々とやってくる皆が、学校に行ったけどだれにも会えなかったと言います。そしてマサムネはしばらく姿を見せませんでした。
2月。久しぶりに来たマサムネが、パラレルワールドなんじゃないかと言い出しオオカミさまを呼び出しますが「全然、違う」と言われてしまいます。ヒントは出しているとオオカミさまは言い、リオンがいろいろなところにある6つの×印がそうなのかとたずねますが答えてくれません。
3月になっても鍵は見つからず皆あきらめムード。そんななか、スバルが工業高校の定時制に行くことになったと報告します。マサムネのおかげでゲームに興味を持ち、将来はゲームを作る人になる、というスバル。マサムネは4月から私立中学に通うそうです。ウレシノも海外留学を考えていると言いこころは焦ります。アキは留年決定、と恥ずかしそうです。
こころは母と喜多嶋先生と3人で今後のことについて話し合います。喜多嶋先生は、真田たちとは別のクラスになること、担任も変えてもらうことを学校側と約束したと伝えた上で、転校してもいいし無理に中学に行かなくてもいい、選択肢はたくさんあると言ってくれました。久しぶりに外出したこころは母に甘え、可愛いレターセットとお菓子を買ってもらいます。
いよいよ明日は3月30日。城で過ごせる最終の日です。こころは全員に手紙を書き、お菓子を持っていくつもりです。今日も城に行きたいけど、母が家にいるのでなかなかチャンスができません。
すると外に萌が立っているのが見えました。お父さんの仕事の都合で萌が転校してしまうと聞いていたこころが家を飛び出すと、「ちょっとうち、来ない?」と萌が誘ってくれました。萌は、あの日こころを無視したことを謝ります。それは萌が真田たちから仲間はずれにされていて、せっかく登校したこころに迷惑がかからないようにするためでした。
その後、萌は驚くほどの毒舌で真田たちをレベルが低いと断じ、「たかが学校のことなのにね」と笑います。「負けないでよ」と励ましてくれる萌を、こころはかっこいいと感じていました。
萌の家に飾ってあった〝オオカミと七ひきの子ヤギ〟の絵が気になり、こころはそれを借りて帰ります。すると鏡が割れていて下半分くらいしか光っていません。そこには次々と皆の顔が映り、こころを呼んでいます。「アキがルールを破った」と叫ぶリオン。タイムリミットを過ぎても隠れていたアキ。皆はアキを呼びますが仕方なく帰ったところ、連帯責任で連れ戻されてしまったのです。こころは城に行っていなかったので対象外。そこでリオンたちはこころに助けを求めたのです。
こころはなんとか入り込みますが、城内は荒らされ恐ろしい狼の遠吠えが聞こえます。こころは〝オオカミと七ひきの子ヤギ〟の絵の中で子ヤギが隠れている場所が、城の中の6つの×印と一致していることに気づいていました。順番に×印のある場所へ行くと、×印は光ってこころの手に吸い込まれます。6つの×印を集め、こころは最後の子ヤギが隠れたという大時計に向かいます。
それは手の届かないところにありますが、突然光の階段が出現し、こころはゆっくりと足を踏み出します。しかし上り終えた部分から階段は消え始め、あわてて走り出したこころはなんとか無事に時計までたどり着くことができました。
かがみの孤城の結末
大時計の下から中に入るとそこは薄暗い空間です。そこでこころは6人の記憶を体験します。
マサムネは、有名なゲームクリエイターと知り合いだと嘘をつき、同級生からいじめられていました。
ウレシノは、陰口を言われながらも気にしないようにしています。
祖父母と狭い部屋で暮らしているらしいスバルは、祖父からよく思われていないようです。学校にもなじめず、パーカーのフードを被ってうずくまっています。
ピアノの才能があると先生に言われたフウカ。母はフウカにピアノを弾くことを強いて他のすべてを犠牲にし、フウカは学校で孤立していきます。コンクールで良い成績を残せなかったフウカはピアノが嫌いになってしまいます。
ずっと入院しているリオンの姉、ミオ。やさしい姉が大好きなリオンはいっしょに学校に行きたい、とミオに言います。雪科第五中に通うことなくミオは亡くなり、リオンの母は元気な彼を見ることがつらくてハワイの学校へと留学させてしまいました。
アキは大好きな祖母が亡くなった葬儀の日、酔った義父に襲われそうになります。室内を逃げていたアキは母の手鏡が光ったのを目にし、そこから城へ逃れることができました。その後彼氏がちがう女と寄り添って歩いているのを見かけたアキ。学校にも家庭にも居場所のないアキは、ついにルールを破って城に残ってしまったのです。
鍵を手に入れたこころにオオカミ様が「アキは〝願いの部屋〟にいる」と告げます。こころは「アキちゃんの、ルール違反をなかったことにしてください!」と叫び走ります。願いの部屋の扉を開けたこころはアキに、皆時間がずれているけど、違う時代の、同じ雪科第五中の生徒なのだと叫びます。それを聞いたアキはこころが伸ばした手をつかみます。こころだけではアキを引っ張り上げられませんが、いつのまにかリオンたちが後ろについていて、皆の力でアキを連れ戻すことに成功しました。
それぞれスバル1985年、アキ1992年、こころとリオンが2006年、マサムネ2013年、フウカ2020年、そしてウレシノが2027年を生きていることがわかりました。7年ごととして空白の1999年には姉のミオが入るはずだったのだろうとリオンが言います。
願いを叶えたからには7人の記憶がなくなることは避けられないとオオカミさまは言い放ち、明日3月30日を待たずに城は閉鎖されることになります。7人は、いずれどこかで会えたときの手がかりに、せめてフルネームを教え合おうと壁に書き始めます。
長久昴、井上晶子、水守理音、長谷川風歌、安西こころ、嬉野遥、政宗青澄
スバルはマサムネの嘘を本当にするため、ゲームを作ると約束します。マサムネは大好きなゲーム作家がスバルの名前をもじったものであることにいま気づきました。
ウレシノはフウカに告白し、どこにいてもきっと見つけると宣言します。フウカは自分が8歳年上であることを気にしますが、うれしそうにウレシノの言葉を受け入れます。
アキは自分を助けてくれたこころに感謝し、こころはアキの今後を心配しつつ、アキが頑張って大人になるよう「未来で待ってる」と声を掛けました。
皆がそれぞれの時間へと戻っていくなか、最後に残ったリオンはオオカミさまを「姉ちゃん」と呼びます。リオンは最後の願いをきいてほしい、とこう言います。
「俺、おぼえていたい、みんなのこと、オオカミさまのこと」
オオカミさまは「善処する」と言ってその仮面を外しました。
リオンはこの城が姉のドールハウスにそっくりだったこと(だから水道やガスは使えず電気だけが通っていた)や、3月30日の期限はミオの命日であることなどから、オオカミさまが姉のミオで、リオンや関わりのあった雪科第五中の生徒たちを救うためにこの城をつくったのだと確信していたのです。
心の教室では、結婚して喜多嶋姓となった井上晶子が、カウンセラーとして新たな生徒の面談に向かいます。安西こころという名のその子はなかなか心を開いてくれません。そんなこころに手を差し伸べようとする晶子の顔は、あのアキの顔と重なるのでした。
2006年4月、始業式の日。2年生になったこころはひとりで学校に向かいます。道端から、こころを待っていたかのように見知らぬ男子が近寄ってきます。なぜか知っている子のような気がしたこころに彼は名乗ります。「俺、水守。水守理音」
以上、映画「かがみの孤城」のあらすじと結末でした。
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