彼らが本気で編むときは、の紹介:2017年日本映画。体は男、心は女のトランスジェンダー(性同一性障害)の人物とその恋人、恋人の姪で母から育児放棄された少女との60日間に渡る同居生活を、社会問題も含みながら描いた人間ドラマです。
監督:荻上直子 出演者:生田斗真(リンコ)、桐谷健太(マキオ)、柿原りんか(トモ)、ミムラ(ヒロミ)、小池栄子(ナオミ)ほか
映画「彼らが本気で編むときは、」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「彼らが本気で編むときは、」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
彼らが本気で編むときは、の予告編 動画
映画「彼らが本気で編むときは、」解説
この解説記事には映画「彼らが本気で編むときは、」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
彼らが本気で編むときは、のネタバレあらすじ:起
小学5年生の少女・トモ(柿原りんか)は母・ヒロミ(ミムラ)と貧しい母子家庭で暮らしていました。ヒロミはろくに家事をしないのでアパートの部屋はいつも散らかしっぱなし、トモは毎日コンビニのおにぎりを一人寂しく食べる日々を過ごしていました。そんなある日、ヒロミは突然男を追って蒸発、取り残されたトモは叔父(ヒロミの弟)のマキオ(桐谷健太)が経営する書店に駆け込みました。マキオはヒロミの蒸発にまたかと呆れながらもトモを気遣いました。現在、マキオはトランスジェンダー(性同一性障害)の介護士・リンコ(生田斗真)と同棲しており、最初のうちはリンコに馴染めなかったトモも次第にリンコの優しさに触れていきました。リンコは既に性転換の手術は終えたものの、戸籍上はまだ男のままでした。トモはリンコが作ってくれた美味しい料理に舌鼓を打ち、今まで一度も味わったことのない“家族団らん”を初めて体感していました。
彼らが本気で編むときは、のネタバレあらすじ:承
ある朝、学校を休んだトモが目を覚ますとリンコとマキオは出勤しており、机にはトモの朝食と昼食の弁当が用意されており、部屋の中には何やら用途不明の毛糸の編み物が置かれていました。公園で弁当の蓋を開けてみると、それは生れて初めてのキャラ弁であり、もったいなさを感じて食べることはできませんでした。荷物を取りに自宅へ戻ったトモのところに、近所に住む同級生・カイ(込江海翔)が現れました。トモは以前はカイと仲良しでしたが、カイがその仕草から学校中でゲイの疑いをかけられるようになってからは距離を置いていたのです。その後、トモは時間の経った弁当を無理やり食べてお腹を下し、それを知ったリンコは謝罪の意も込めてトモを抱きしめようとしましたが拒否されてしまいました。やがて帰宅したトモの元に、リンコの母・フミコ(田中美佐子)が再婚相手のヨシオ(柏原収史)を連れてやってきました。フミコはリンコが幼い頃から性同一性障害であったと明かし、中学生の時にリンコから“おっぱい”が欲しいとせがまれたフミコはブラジャーを買い、中に入れるための“おっぱい”を毛糸で編んだのです。その夜、トモはリンコにシリコンの入ったおっぱいを触ってみたいと言い、リンコはトモを受け入れました。
彼らが本気で編むときは、のネタバレあらすじ:転
やがて春になり、トモはリンコやマキオと花見に出かけ、三人はまるで家族のように打ち解け合っていました。しかしそんなある日、トモがリンコとスーパーに行くと、そこではカイが母・ナオミ(小池栄子)と一緒に買い物をしていました。リンコを変質者扱いするナオミにキレたトモは売り物の洗剤を彼女にブチまけ、警察沙汰となりました。リンコはトモに自分が作った編み物を見せると、これは男のシンボルを模したものであり、煩悩の数(108個)だけ作ったら燃やして供養するのだと語りました。そして、リンコはいずれマキオと所帯を持ち、トモを養子に迎えたいとの考えを打ち明けました。しかし、トモは学校でそのことをからかわれると態度を急変させ、リンコを「ママでもないくせに」と拒絶しました。世間からのトランスジェンダーへの風当たりはトモの予想以上に冷たいものでしたが、リンコはそれでも挫けず早く供養を終わらせて“女”として生きたいと強く願うようになりました。
彼らが本気で編むときは、の結末
リンコはフミコにマキオとの結婚話を打ち明けると、フミコは喜んで受け入れました。その一方、サッカーをしている男子に想いを寄せていたカイは手紙を書きますがナオミに取り上げられてしまい、思い余って自殺を図りました。幸い一命は取り留めたものの、ナオミはそんな息子を「罪深い」と吐き捨てました。やがて108個の編み物は完成し、トモはリンコやマキオとともにそれらを燃やして供養しました。そんなある日、突然ヒロミがトモの前に現れ、何の悪びれる様子もなくトモを連れて行こうとしました。マキオはヒロミの無責任ぶりを非難し、トモはコンビニのおにぎりを実は嫌っていたと明かしました。逆上したヒロミはリンコに「女でもないくせに」と侮辱すると、トモはヒロミを引っ叩いて「リンコさんはいろいろとしてくれたのにママはやってくれない。なぜ早く迎えに来てくれないの」と思いを打ち明けました。結局トモはヒロミの元へ帰ることになり、三人は泣きながら最後の夜を過ごしました。翌日、リンコはトモにプレゼントを手渡し、マキオと共にトモとの別れを悲しみました。家に戻ったトモはプレゼントを開けてみると、そこにはリンコが編んだ毛糸の“おっぱい”が二つ用意されていました。
生田君は普段はとても男らしいのに、トランスジェンダーの役はとても美しく、女性らしく、たおやかで似合っていました。自分は、編み物を長年やっているので、リンコがイライラするとひたすら編み物という単純作業に没頭することで、心を落ち着かせているというシーンは共感し、涙しました。恋愛は男とか女ではなく、人を見て好きになるのだなと感じました。