くろねこルーシーの紹介:2012年日本映画。倉木佐斗志・十月サクヒ著による小説を原作とした、日本初の黒猫をメインにした動物実写映画で、キャッチコピーは「きっと大丈夫。猫もそう言ってます」というハートフル・ヒューマンドラマです。
監督:亀井亨 出演:鴨志田賢(塚地武雅)、鴨志田幸子(安めぐみ)、里中渚(大政絢)、ガリンシャ(濱田マリ)、似顔絵師(サコイ)、鴨志田陽(山本耕史)、鴨志田美紀(京野ことみ)、新藤三郎太(佐戸井けん太)、鮫島修一(生瀬勝久)、母猫ルーシー(ジャック)、子猫ルーとシー(スモークとモア)、ほか
映画「くろねこルーシー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「くろねこルーシー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
くろねこルーシーの予告編 動画
映画「くろねこルーシー」解説
この解説記事には映画「くろねこルーシー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:1.プロローグ:お墓参り~おじいちゃんは占い師~
鴨志田美紀は2人の子供を連れて、夫・鴨志田陽の父・鴨志田賢と母・鴨志田幸子のお墓参りに行きました。ちょうど、母・鴨志田幸子が亡くなってから1年でした。お墓に行くと、既に誰かがお線香をたいていました。美紀はもしや夫・陽が来ているのでないかと、周りを見てみると、墓の陰に夫が隠れているのに気がつきました。美紀はわざと陽に聞こえるように「お父さん、お仕事もしないで、おうち出ていったので、おじいちゃんやおばあちゃんに会わせる顔がないの。お父さんはおじいちゃんのマネをして、占い師になったけど、挫折しちゃったの。…おじいちゃんは、お父さんより、ずーと偉い占い師。おじいちゃんね、猫ちゃんと心を通じ合わせることができたの」と子供たちに言いました。陽は2匹の黒猫を抱き、その話を隠れて聞いていましたが、妻・美紀と子供たちが帰るのを見届けると、父と母のお墓に再び行き、30年前のことを思い出していました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:2.迷信を信じる占い師・鴨志田賢
今から30年前、38歳の鴨志田賢は、会社をリストラされ、学校に入り、占い師になりました。彼は、家族を養っていこうという責任感が感じられない事に不満を持った妻・幸子から家を追い出されてしまい、安アパートで独り暮らしをしていました。ある日、賢が自転車で出勤する途中、1匹の黒猫がいました。「前を横切るな」と思っていると、その黒猫は賢の前を横切りました。賢はため息をつき、落ち込みました。賢は、祖母の影響で迷信を信じる質で「黒猫は魔女の手先で不吉」という迷信を信じ、黒猫が大の苦手だったからでした。賢は、ボウリング場やゲームセンターやペットショップもある娯楽センターのバラエティコーナーの一郭で、占いをしていました。ある日、賢のところに1人の女性が占ってもらおうとやって来ました。賢はその女性から「どういった占いですか」と問われ、「お話を聞いて、お話をする。お客さんの気持ちになって考える占いです」と答えました。その女性は賢を見て、「なんか~ないですね。オーラとか」と言うと、「オーラは…ちょっといま、持ち合わせていませんね」と答える賢のもとを去って行きました。賢は占い師になってからまだ1年だったことや、不器用でうまく人と接することが苦手だったこともあり、お客さんにはっきりと占いの結果を伝えられないでいました。隣の占い師・ガリンシャは、インド辺りの派手な衣装を身にまとい、コンピュータを使っての占いをしていました。ガリンシャは、お客さんにはっきりと自信を持って占いの結果を伝える人でした。彼女は賢に「占いはサービス業ですからね。少々嘘くさくてもサービスしなきゃ」と教えました。そして、ガリンシャは特徴のない平凡な賢に、「特徴つけたら?もっとキャラ作らないと。この世界、キャラ立って、なんぼですから」とアドバイスし、彼女は2本のブレスレットを渡し、「これでも着けて、占い、カーとだしなさいよ」と励ましました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:3.占いすらなってない占い師・鴨志田賢
その日、賢は仕事を終え、ロッカールームで着替えて帰ろうとしたとき、センターの部長が賢に今日の売上結果を聞きにきました。賢は正直にお客さん1人と言うと、部長は賢にもっと売上を上げるようにプレッシャーをかけてきました。その夜、賢はいつものように、自転車でアパートに帰ろうとしていると、1匹の黒猫がいました。賢は黒猫を避け、違う遠回りの道でアパートに帰りました。すると、アパートの前で1人の中年男性が何かを探しているようでした。彼は1匹の黒猫を探していました。賢は帰る途中に黒猫がいたことを彼に告げると、彼は「ルーシー」と叫びながら、探しに行きました。アパートに帰ると、別居中の妻・幸子と息子・陽が来ていました。食事を作りに来てくれていました。賢は、幸子に黒猫の話をすると、幸子は「黒猫にしっぽを巻いてる人の占いなんて、誰が信じるの」ときつい言葉を投げかけてきました。賢は息子を「陽くん」と呼ぶと、幸子から「父親が息子を“くん”づけしないで!」と怒られてしまいました。幸子は賢が占い師になってから、占いを仕事とは認めていませんでした。幸子と陽が帰った後、賢は幸子が作ってくれた食事を独り寂しく食べていました。すると、猫の鳴き声が聞こえてきました。窓を開けると、そこにあの1匹の黒猫がいました。驚いた賢はどこか他の所に行けと言うと、窓を閉め、食事に戻りました。翌朝、賢がアパートの外の長椅子に飼っていた金魚鉢を置き、タバコを吸っていると、また猫の鳴き声が聞こえてきました。賢はとりあえず金魚が狙われないように、ふたを持ってきて、金魚鉢にふたをしました。次の日、ガリンシャからキャラが立ってないと言われた賢は、いつも被っている帽子をやめ、アメリカ国旗のバンダナを巻いてみました。それを見たガリンシャは「ものすごい、中途半端」と評しました。するとそこに賢を訪ねて、ある1人の少女がやって来ました。彼女からもバンダナ姿を「なんか変ですね」と言われた賢は、いつもの帽子をかぶりました。彼女は“ひきこもり”と言われないため、週一で賢のところへ来てくれていました。彼女は、話を合わせてくれる賢と話をするのが楽しみでもありました。彼女は、賢の言った「風邪は人にうつすと治る」「酢を飲んだら体が柔らかくなる」と言った迷信を実際にやった結果、本当にそうなったことを言い、賢の占いは当たっていると励ましました。数日後、賢の占いの師匠・新藤三郎太が、賢のところに様子を見にやって来ました。まったく売れない賢に、新藤は「今、日本に占い師は約2000人いて、7割以上が副業か趣味でやっている人たちです。…ビジネスとしての占いは9割統計学なんです。残りの1割がその人の個性。きちんと問診して、適切なアドバイスをオリジナリティな言い方で伝える。これが占いです。今の鴨志田さん、占いすらなってないな。…今のあなたはただ働き以下だ。…人にはね、向き・不向きがある。よく考えてみましょう」と言い、立ち去っていきました。ある日、猫を連れてきたお客さんが来ました。お客さんの占ってほしいのは、猫の本当の気持ちでした。賢は「口がきけない生き物は守備範囲じゃないんです」と言うと、お客さんは「この人、猫ちゃんの気持ち分からないって」と言い、帰っていきました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:4.2匹の黒猫の子猫
翌朝、賢はアパートの前でいつものように、外の長椅子に金魚鉢を置き、歯を磨いていると、猫の鳴き声が聞こえてきました。探してみると、自分のアパートの前の植木のバケツの中に、2匹の黒猫の子猫がいました。驚いた賢は、暫くそのまま放っておきましたが、たくさんのカラスが寄ってきたので、仕方なく「今日だけ」と思い、その2匹の黒猫の子猫をアパートの中に入れ、牛乳を与えてあげました。そして、賢は出勤前に、幸子の家でその2匹の黒猫の子猫を暫く預かってもらおうと思い、バックに入れて、家に行きました。家には陽が1人で留守番をしていました。賢は事情を説明して、家の中に入ろうとすると、陽は窓を閉めて、賢を入れませんでした。賢は仕方なく、2匹の黒猫の子猫をバッグに入れ、出勤しました。ちょうどそのセンターには、ペットショップがあったので、そこの店員・里中渚に、事情を説明しました。里中は母猫がいなくなったのは育児拒否の可能性もあるが、放置していたわりには子猫は元気なので母猫が夜中に戻っている可能性もあると、賢に言い、子猫の飼い方を教えました。飼うつもりがない賢は、保健所に連れて行った場合を彼女に聞くと、“殺処分”になると告げられました。里中は、賢が仕事をしている間、お店で預かると言ってくれました。賢は里中の好意に甘えることにしました。黒猫嫌いの賢と2匹の黒猫の子猫との奇妙な生活が始まりました。賢は、アパートの外のカラス除けに作った案山子の傍に、2匹の黒猫の子猫を箱に毛布を敷いてそこにいるように、指示しました。しかし、相手は言葉の通じない猫です。すぐに2匹の子猫は暖かい賢のアパートの中に入って来て、元気に遊び回りました。ある休日、賢が子猫たちに猫用ミルクを作ってあげていると、幸子が料理をしにやって来ました。幸子は黒猫嫌いの賢が仕方なくても飼っているのを見て、驚きました。いつものように、バッグに2匹の黒猫の子猫を入れて出勤すると、ペットショップへ行き、里中に子猫たちを預けました。「嫌々っていうか…黒猫は魔女の使いですから」と言う賢に、里中は「嫌々かもしれませんけど、この子たちには占い師さんが頼りなんです。バカみたいな迷信信じて、どうするんですか」と言いました。その日、1人の34歳の女性が、賢のもとに占いを求めて来ました。その女性は、子供の世話で同世代の友達と遊べないと愚痴り、「私、あの子から解放されることできるでしょうか?」と聞いてきました。賢は「無理です。“生んだら育てる”至極当然のことです。…子供は子供の都合で生まれてきませんよ!覚悟が足りないんです。責任があるんです。…あなただって頑張らなきゃ!」といつもと違いきっぱり言うと、その女性は憤慨した様子で、隣の似顔絵師と遊んでいた子供を連れて、さっさと帰っていきました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:5.黒猫「ルーシー」と子猫「ルー」と「シー」
仕事が終わり、ペットショップに子猫たちを引き取りに行くと、里中がお店の主任から注意されていました。賢が里中に事情を聞くと「ゲージに入れるなら売りものにしろ」ということでした。それもこの黒猫たちが特に人気があるからでした。それを聞いた賢は不思議でなりませんでした。帰り道、賢は里中と偶然、一緒に帰ることになり、彼女から子猫たちの名前を聞かれました。賢は、以前ある男が探していた黒猫の名前「ルーシー」をふと思い出し、子猫たちに「ルー」と「シー」という名前をつけました。また、ペットショップで預かってもらえなくなった今後、どうするか考えました。里中は、占いのお店のマスコットにすれば人気になると賢に提案しました。黒猫嫌いの賢には、彼女の案が腑に落ちませんでした。里中は賢が黒猫嫌いなのを知り、「本当は苦手じゃないからじゃないかな?」と言うと、賢は「本人が苦手だと言っているんですから」と答えると、彼女は「本人が言っていることが、全部正しいなら、占いなんていらないじゃないですか」と言い返しました。賢は彼女のその言葉に納得しました。その夜、賢がアパートに帰ると、子猫たちの母猫・ルーシーがいました。賢は母猫を追いかけましたが、母猫は開いた窓から逃げてしまいました。暫くして、賢が風呂から出てくると、押し入れの毛布の上に母猫と子猫たちが仲良くいました。賢は勝手に育児放棄し、ふらっと戻ってきて子猫たちを甘やかす母猫に「少しは責任感持てよ」と愚痴りました。翌朝、元気に遊び回る子猫たちに、賢は起こされました。賢はルーシーを探しましたが、どこかに消えていました。その日、賢は占いのお店に2匹の子猫たちをバッグに入れて、足下に置いてお店を開きました。すると、1人の男がやって来ました。その男は「今日の俺のラッキーナンバー」つまり競馬の当たり番号を占ってくれと言ってきました。賢が戸惑っていると、そのお客はバッグに入っている子猫たちを見つけました。賢が「今日たまたま」と言って、バッグの子猫たち2匹を見せると、お客は「黒猫2匹」と言い、賭ける馬番を決め、大喜びしてお金を払って競馬場に行きました。これが偶然大当たりし、翌朝、ラジオのニュースで流れました。それを知らずにいつも通り出勤した賢を驚かせたのは、そのニュースを聞いて大勢のお客さんが賢の占いのお店に殺到していたからでした。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:6.ブレイクした「くろねこ占い」
それ以来、賢は「くろねこ占い」として一躍、超人気の占い師となり、連日、長蛇の列ができるほどになりました。ある日、小学生の女の子がマンガクラブのリーダーになるかどうか占ってもらおうとやって来ました。たまたま子猫たちが食べていた煮干しの頭(ヘッド)が食べ残してあったので、賢はそれを彼女に見せて「みんなが必要としているのはリーダー、ヘッドです。今は辛くても、必ず続けて良かったと思える日が来ます」と励ましました。彼女は煮干しの頭をもらい「辛いとき、これを見て頑張ります」と言って、喜んで帰っていきました。賢のアパートに母猫・ルーシーは時々やってくるようになり、賢はルーとシーの世話をしながら、母猫ルーシーにもエサをやりました。そのルーシーに50万という懸賞金がつけられました。張り紙を見ると、ルーシーは誘拐されたようで、その飼い主は探していました。ある日に帰り道、以前ずっと週一で来てくれていた少女が賢の前に現れました。少女は猫アレルギーで来られなくなったことを伝えに来たのでした。寂しそうに帰る少女の姿を見て、賢は複雑な気分でした。ルーシーの誘拐犯と疑われたくない賢は、幸子に子猫たちを預かってもらうと、「やっと分かってきたんだ。自分以外の誰かに責任をもつって感じ」と主張し説得しましたが、幸子は拒みました。その時、その様子を見ていた陽が、急に出てきて子猫たちを抱き、幸子に渡しませんでした。子猫たちは幸子の家で預かってもらうことになりました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:7.「人間って、きっかけなんだな」
その夜、賢がアパートに帰ると、ルーシーがいました。いつの間にか猫に語りかけるようになった賢は、エサを食べるルーシーに、自分のこれまでの人生の悪い節目で必ず黒猫が関係していたことを語ると、今は逆に黒猫のお陰で良い方向に向いている事を痛感し、「人間って、きっかけなんだな」と呟きました。翌日、賢のお店に以前、黒猫ルーシーを探していた男がやって来ました。その男はリストラされた上司への逆恨みで猫を誘拐し、脅迫状も出したのですが、その男は無視して、犬を飼い始めたそうでした。その男は誘拐した黒猫が今、幸せかどうか聞いてきました。賢は「幸せだと思います」と言うと、その男は安心して帰って行きました。ある日、賢は猫を預かってもらっている幸子と陽に会いに行きました。賢は陽から「お父さんは僕のことが嫌いだから。…お父さんは僕の顔を見てしゃべらないから」ときつい言葉を言われ、落ち込みました。その夜、久しぶりに親子3人と黒猫3匹とで夕食を楽しく食べました。賢は、今夜はいい雰囲気だったと喜ぶ幸子に、一度自分が占いをしているところを見に来てと誘いましたが、幸子は恥ずかしいと言って断りました。ある日、母猫ルーシーがアパートからどこかに逃げて行きました。賢は探し回りやっと見つけると、ルーシーは懸賞金のつけた鮫島商会の所にいました。賢は、元の飼い主の鮫島にルーシーを返そうとしましたが、犬を飼っている夫妻は拒否しました。帰り道、賢は冷たい雨が降る中、帰る場所が無くなったルーシーを哀れに思い、ルーシーと子猫たちを本格的に飼う決意をしました。賢の「くろねこ占い」の人気は衰えず、彼も自信を持ち始めました。そこに師匠の新藤が噂を聞いて、やって来ました。新藤は鴨志田のブレイクに喜び、ビジネス占いについて「所詮、占いなんてね。本人が決めるテコになれるかどうかです。…占いは聞いても聞かなかった事にする。これ鉄則ですから」と言うと、賢は「でも99%はそうでも、最後の1%は守りたいと思ってます。…下りてきたこと一度だけあるんです。…予言っていうか」と告白すると、新藤は驚き、賢に「あなたが思っている以上に、みんな、あなたの言葉を信じているんですよ」と励まし帰っていきました。
くろねこルーシーのネタバレあらすじ:8.「あの子(黒猫たち)は僕の家族なんです」
ある日、出勤すると似顔絵師から、賢の占いのことで警察が部長の所に来たという話を聞き、賢は部長の所に行きました。部長は警察の方は嫌がらせだろうと深刻に捉えていませんでしたが、動物保護団体が動物展示業務違反の勧告書を見せ、賢に「他のものじゃできないの?」と言ってきました。賢は「あの子(猫たち)は僕の家族なんです」と言って断りました。数日後、ガリンシャが新潟の温泉旅館に行くことになりました。彼女は「あたしら所詮、消耗品だから」と言い、今後、賢がどうするのか聞きました。賢は「あの子たちと続けていく」と答えました。それを聞いたガリンシャは「あんた、やっとキャラ立ってきたな」と嬉しそうに言うと、旅立っていきました。ガリンシャが旅立って数日後、妻(完全な犬派)との離婚覚悟でルーシーを取り戻しに来た元の飼い主・鮫島修一が、賢のもとにやって来ました。事情を話し、ルーシーを返してくれと頭を下げて懇願する鮫島に、賢が迷っていると、何かが下りてきました。そして、賢は鮫島に毅然と「お断りします。…家族と離れるという選択肢をもっている人に返すわけにはいけません。次に離れるのはルーシーの方かもしれない。…きっと、ルーシーも見てたんですよ。あなたの家を」と言うと、鮫島は無言で帰っていきました。その夜、幸子の家に帰った賢は、ルーシーと子猫たちに迎えられ、幸子に今日、元の飼い主との事を報告しました。賢は幸子に「下りてきたんだ。返しちゃダメだって」と声を聞いたと言うと、幸子は気味悪がりましたが、賢は子供の頃にも一度あり、その時、実際に祖母が亡くなったという話をしました。賢は「真剣に人の話を聞いてると、自然とその人に言うべき言葉が聞こえてくるんじゃないかな~って。どんな仕事も自信なかったけど、この仕事だったらやれるんじゃないかなって思えたんだ」と本心を語りました。賢は彼女に「俺、いつの間にか、人の目を見てしゃべれるようになった。こいつら(黒猫ルーシーと子猫たち)のお陰だよ」と言いました。それを聞いた幸子は「占い師の妻か」と言って別居解消を取り下げ、賢は喜んで家に戻り、親子3人と黒猫3匹と新たな生活を始めました。センターから占いのコーナーは撤去されましたが、その後も賢は「くろねこ占い」を続けました。陽は、楽しそうに占うそんな父・賢の姿を、陰からこっそり見ていました。
くろねこルーシーの結末:エピローグ:「一生懸命やってたら、いい事もある」
30年後、大人になった陽は、2代目黒猫ルーとシーと共に、墓参りをしました。頃合いを見て戻って来た妻・美紀に夫・陽は「ずっと、ああいう風になりたいと思ってた」と告白すると、美紀は「なれたじゃない」と陽に言いました。実は美紀は小学生のとき、陽の父にマンガクラブのリーダーの件で占ってもらった女の子だったのです。その時、陽はルーがしゃべったと言いました。「頑張ったら、いい事ある。一生懸命やってたら、いい事もある」と。そして、陽は占いを続ける決意を固めました。
主演の(ドランクドラゴンの)塚地武雅さんの容姿や性格設定の、現実にも居そう感が良かったです。冴えないおじさんオーラを非常によく醸していて、その演技と役は彼以上に適した者はいなかったものなのかもしれません。
テレビドラマ版もあるらしいのですが、そちらを視聴せずとも差し支えないストーリーに仕上がっていると思います。
過度に期待しすぎなければ良策かと。