百日紅~Miss HOKUSAI~の紹介:2015年日本映画。葛飾北斎の娘で絵師でもあるお栄が、葛飾応為として才能を開花させていくまでを、芸術家ならではの映像美で描き出す。杉浦日向子の代表作の一つ「百日紅」をアニメ映画化した群像劇。
監督:原恵一 出演:杏(お栄)、松重豊(葛飾北斎)、濱田岳(池田善次郎)、高良健吾(歌川国直)、美保純(こと)、ほか
映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
百日紅~Miss HOKUSAI~の予告編 動画
映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」解説
この解説記事には映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
百日紅~Miss HOKUSAI~のネタバレあらすじ:葛飾北斎の娘として
文化11年、江戸。葛飾北斎の娘、お栄は母に父の仕事の心配をされる。北斎はアトリエ代わりの長屋を借りていてめったに家に戻らなかった。庭の百日紅が咲いている。父と長屋住まいのお栄は出来上がりかけの龍の絵に、うっかりキセルの燃えさしをこぼしてしまい、版元には龍は完成間近でいなくなったとごまかした。しかし父は残りの一日でもう一枚描き上げるつもりもなかった。そこへ同じ長屋に住み着いた弟子の善次郎が歌川国直を連れてやってくる。国直は以前、橋ですれ違ったお栄に見覚えがあった。お栄が文机で龍を描こうとしていると、国直は龍は筆で書くのではなく下りてきた龍を筆で閉じ込めるという事を言い出す。しかし、北斎、善次郎、北斎は雲行きが怪しい夜にも関わらず追い出されてしまった。お栄は紙に向かう夜半、嵐が吹き荒れ、彼女は筆を振るった。翌朝、飲み屋に置き去りにされた善次郎が帰ると龍の絵を完成され、北斎と、お栄がその横に眠っていた。
百日紅~Miss HOKUSAI~のネタバレあらすじ:盲目の画家の娘
お栄の妹、お猶は盲目で尼寺に預けられていた。お栄がお猶を外に連れ出すと、お猶は橋へ行きたいと言った。橋にはいろいろな物売りがおり、色々な音があるというのが彼女の楽しみだった。盲目のお猶は両親に孝行ができないから死んだら地獄へ落ちると言った。そんなことないお栄は否定した。そこへ弟子の初五郎が版元に行くところでちょうどすれ違った。初五郎に淡い恋心を抱くお栄はほほについた墨を隠そうとするが、結局見破られてしまう。初五郎と分かれた二人は、船に乗った。お栄はお猶に水に触れさ、この川の水がいつか海になるのだと教えた。海から来た波が富士山をふちどりおなじみの浮世絵になる。長屋で善次郎の顔を書いていた北斎は、偶然善次郎の枕絵の下書きを見つけるそしてそれにダメ出しをした挙句、お栄は知りもしないのに枕絵も描ける、なんでもかけると思い込んでいとる言った。その夜お栄は吉原の桔梗屋の小夜衣の絵を描きに行った。彼女は夜明け近くに夜明け近くになると、首が伸びるという噂があるので北斎と善次郎は興味新進でついていった。下絵完成後、首が伸びることについて聞くと見世物小屋じゃないと怒られた。しかし北斎が、昔、化け物の絵を頼まれた際、自分の手が飛んでいく夢を見お坊さんに相談した話をすると、寝所に入る大夫は鈴が聞こえたら入るようにと言った。果たして隣の部屋から鈴の音が聞こえ入ると、大夫の顔が抜け半透明のろくろっ首のように伸びるという現象を、北斎とお栄は目撃した。
百日紅~Miss HOKUSAI~のネタバレあらすじ:お栄の淡い恋の結末
雪の日、お猶と歩きながら雪景色の説明をするお栄は、落ちていた赤い椿の赤を、暖かい優しい色だと教える。雪が音を吸い込み、いつものような音はなかった。寒さの中甘酒をお栄が頼んでいると、近所の少年が、お猶の目の前に雪玉を差し出していた。しかし。見えないので反応しないでいる彼女に首をかしげていた。しかし、お尚が音で表情を変えたことをきっかけに、その少年は雪を木の枝から落として音を立てた。手探りで遊ぶ二人にお栄は自分の幼少を思い出す。北斎は遊ぶ代わりに彼女に隣で絵を描かせていてた。とあるお屋敷で怪異が起こる。使用人がいくら鳥の声だと言っても、奥様は奥座敷の地獄絵から亡者の悲鳴が聞こえると言ってきかない。そして夜だけでなく昼間も幻影を見るようになり床に臥せってしまった。主人は気に入っている絵なので手放せないと思っている矢先、ボヤ騒ぎにまでなってしまった。その絵を描いたのはお栄だった。事情を聞き下絵を見た北斎は厄介事は絵が未熟な証拠だと一蹴し、書いたら書きっぱなし、始末をしないから悪いといって、お栄と夜中にその屋敷を訪れた。そして、北斎は朝になるまでに菩薩を書き足した。その後、絵に悩まされることはなくなった。枕絵の色気の無さを版元に指摘されてしまったお栄、しかし嫁入り前の娘に枕絵を代筆させる北斎がいけないと版元は彼女をせめなかった。描けない絵があることが悔しいお栄は、帰りの雨道で初五郎の傘に入れてもらいながら、肌の匂いに気づき、分かれると陰間茶屋に向かった。店先で、やっぱり帰ろうとしたお栄だったが、そのまま陰間に二階へ連れて行かれ、濡れた着物を着換えるようにと替えを渡された。その部屋には仏画が飾られており、陰間は坊主よけだと笑った。翌朝、お栄は仏に踏みつけられる幻影を見た。そして、版元に初五郎も行くだろうから、行っておいでと言われた歌舞伎小屋の札を沙汰された。その道中出くわした国直に口説かれるも、めかし込んで訪れた歌舞伎小屋の前で女を連れた初五郎を見つけてしまい、結局札は川へ捨ててしまった。
百日紅~Miss HOKUSAI~の結末:お猶のために父北斎がしてやれること
具合を悪くしたお猶は、寺から母のいる実家へ戻ってきた。お栄は父親にお猶に顔を見せるように頼む者のその腰は重かった。ある日、母親は雀売りに連れた雀を全部逃がすだけの銭を渡す。それを見ていた北斎はやっとお猶のもとを訪れた。声をかけるとお猶は嬉しそうに父の顔を触った。その夜、北斎は朱で一枚の絵を描き魔除けだと言ってお栄にお猶の元へもっていくように言った。その絵は病魔をくじく剣と、癒す手を持った武神の絵だった。その夜、お栄がお尚と一緒に寝ていると、蚊帳の上に誰かいると、お猶が目を覚ました。明かりをつけて蚊帳の上を見ると、それは大きなカマキリで、どんな虫か尋ねるお猶に、優しい言葉で返す。死んだら地獄へ行ってお地蔵様に石を積んであげるのが仕事だというお猶、お栄が否定しようとも、それが仕事なのだから仕方ないとお猶は言った。何とか嘘をついて、北斎にお猶の所へ来てもらおうとしていると善次郎が小さい娘がついてきたと言って長屋へ入ってきた。お栄が戸を弾いて家へ駆けだすと風が吹き抜け、北斎のもとに百日紅が一輪落ちた。ちゃんと一人でこれたじゃないかと北斎は微笑んだ。一方家では母親が、お栄へ、「いっちゃったよ」と告げた。北斎はお猶の目も命も自分がとってしまったのかもしれないとひとりごちた。その後、版元に自分の絵を描くように勧められたお栄は、翌債たちが深川芸者の元へ遊びに出た夜、一人で絵を描いた。何枚も書き直し、できたのは金魚の入った桶を見る少女の絵だった。そして、夜闇に地獄へ行ったんじゃないことは知っている、そちらの暮らしはどうかと、もういないお猶に問うた。その後の北斎が90まで絵師をし、善次郎もそれなりの絵師になり、お栄は一度の結婚と離縁をした。そして江戸から明治へ移る時代の簡単な説明とともに現代の両国と、百日紅の花が一輪、画面に映る。
以上、映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」のあらすじと結末でした。
百日紅~Miss HOKUSAI~のレビュー・考察:女流画家として
北斎の娘お栄が葛飾応為として一人の絵師になるには、女というだけでいくつもの難関がある。それでも日本のレンブラントと呼ばれるほどに当時の浮世絵としては珍しい陰影を用いた絵を描くようになるには、ひとえに彼女の忍耐強さや、感受性、そして好奇心によるところが大きいと思う。そして、いつなん時も、「描く」という事に没頭してきたからこそ、父、北斎とは違う、葛飾応為としての評価を得るようになったのではないだろうか。
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