おまえの罪を自白しろの紹介:2023年日本映画。人気作家・真保裕一の同名小説をの水田伸生監督が映画化した社会派サスペンス作品です。有力政治家の孫娘が何者かに誘拐され、犯人は政治家にこれまでの罪を自白するよう要求。明らかになっていく真実とは・・・。主題歌はB’zが担当しています。
監督:水田伸生 出演者:中島健人(宇田晄司)、堤真一(宇田清治郎)、池田エライザ(緒形麻由美)、山崎育三郎(平尾宣樹)、中島歩(宇田揚一朗)、美波(神谷美咲)、浅利陽介(緒形恒之)、矢柴俊博(木原誠也)、柏原収史(寺中勲)、三浦誠己(高垣義弘)、尾美としのり(加持直樹)、中村歌昇(樫田光太郎)、佐藤恋和(緒形柚葉)、アキラ100%(大島昇)、山崎一(牛窪透)、池田成志(若鷺健太郎)、橋本じゅん(城山敏正)、小林勝也(九條哲夫)、菅原大吉(牧村徹)、升毅(湯浅哲道)、春海四方(寺中清則)、平泉成(草川庄一)、尾野真千子(寺中初美)、金田明夫(夏川泰平)、角野卓造(木美塚壮助)ほか
映画「おまえの罪を自白しろ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「おまえの罪を自白しろ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「おまえの罪を自白しろ」解説
この解説記事には映画「おまえの罪を自白しろ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
おまえの罪を自白しろのネタバレあらすじ:起
衆議院議員で内閣府副大臣の宇田清治郎は政治家一族です。長男・揚一朗は埼玉県議員、長女・麻由美の夫・緒形恒之は戸畑市議員、そして次男の晄司はかつて建築会社を経営していたものの倒産し、今では清治郎の議員秘書となっていました。
清治郎は国会の委員会で、上荒川大橋の建設予定地が変更になった点を問われていました。清治郎は内閣総理大臣・夏川泰平の友人に便宜を図るため国交省や埼玉県に圧力をかけたという疑惑がかけられていましたが、自身の関与を頑なに否定し続けていました。何とか追及を振り切った清治郎に、夏川総理や日本新民党・九條派を率いる九條哲夫は安堵しました。
しかし、国会中継を見ていた埼玉県警の平尾宣樹刑事は苦虫を嚙み潰していました。埼玉県警は5年前にも清治郎が関わったとされる談合事件を追っていましたが、突然捜査の中止命令が下されたのです。
そんなある日、麻由美は恒之との娘・柚葉といたところ、何者かに柚葉を誘拐されてしまいました。麻由美は平尾刑事と巡査部長・樫田光太郎に事情を説明していたところ、清治郎の事務所には「正義を守る会」と名乗る者から柚葉を預かったとの犯行声明が届きました。犯人は身代金は要求せず、柚葉を救いたければ明日午後5時までに記者会見を開き、「おまえ(清治郎)の罪を自白しろ」と要求してきました。清治郎は自分に対する脅迫かと憤りました。
おまえの罪を自白しろのネタバレあらすじ:承
麻由美は何としても柚葉を助けてほしいと清治郎に懇願し、記者会見を開くべきだと主張しました。清治郎は秘書たちを集め、自白しても罪に問われない“指揮権”を発動すると告げて永田町に向かいました。清治郎は厚労副大臣・城山敏正に指揮権の件を話しましたが、城山は国民に示しがつくのかと渋りました。
その夜、清治郎は秘書たちと事務所で泊まり込むことにしました。晄司は公設第一秘書・牛窪透から、清治郎は党の裏の仕事、すなわち“汚れ役”をやっているのだと説明を受けました。
清治郎は内閣官房長官・湯浅哲道に呼び出されました。湯浅は夏川総理が可能な限り手を打っていることを伝えると、清治郎は全ての責任は自分が負うので自身の後継者は身内の者にしてほしいと頼みました。
その頃、平尾刑事らは清治郎の後援会会長の草川庄一と会い、清治郎と対立関係にある人物の洗い出しをしていました。清治郎は恒之が市議を務める戸畑市の青少年研修センターの移転を巡って日本新民党で清治郎の対抗派閥に属する衆議院議員・若鷺健太郎と対立していましたが、平尾刑事は誘拐の直接の要因にはならないのではないかと疑問を持ちました。
若鷺は研修センターの管理を請け負う丸産興業と癒着していましたが、清治郎はライバルの青柳建設と繋がりがありました。しかし、柚葉誘拐の犯行に使われたものとされる車は丸産興業の下請けの秋本園芸から3日前に盗まれた車である可能性が浮上しました。
一方、日本新民党は清治郎の後継者を宇田家の者にすることは認めたものの、指揮権発動のないまま清治郎は会見に臨むことになりました。清治郎は自らの内閣府副大臣辞任と離党をちらつかせつつ、過去の二つの罪を自白しました。ひとつは7年前に会計担当者に暴行を加えて全治1ヶ月の怪我を負わせたこと、もうひとつは青柳建設の子会社の所有地を高く買い取るよう便宜を図ったことでした。しかし、清治郎は今現在の争点である上荒川大橋の件は一切語ることなく会見を打ち切りました。
晄司と平尾刑事は清治郎がどうしても上荒川大橋について触れなかったことが気がかりでした。そんな時、再び誘拐犯から連絡があり、「国民をなめるな」と告げ、本日の午後10時までに再度記者会見を開き、全ての罪を自白しなければ柚葉の命はないと脅してきました。
おまえの罪を自白しろのネタバレあらすじ:転
晄司は清治郎が内密にしていたはずの上荒川大橋の件がなぜ世間に漏れたのかと疑念を持ち、清治郎に問い質したところ、清治郎は国交省から埼玉県の建設局に出向していた官僚のひとりが野党にリークしたことを語りました。晄司は国交省に乗り込み、官僚にリークするよう指示したのは夏川総理の党内でのライバルである日本新民党幹事長・木美塚壮助ことを突き止めました。晄司はいずれ総理の座を追われるであろう夏川総理よりも木美塚側についた方が得策だと考え、寝返ることにしました。
晄司は会見直前の清治郎に、夏川総理は宇田家を見捨てたと伝えました。そして午後10時、二度目の会見に臨んだ清治郎は「もうひとつ、政治家として犯してはならない罪がある」として上荒川大橋の件を白状しました。上荒川大橋の本来の予定地は今の建設地の5km北でしたが、清治郎はある議員から相談を持ちかけられ、建設予定地の5km南にある夏川総理の友人の会社の経営が悪化しているので便宜を図って建設地の計画を変更してほしいと頼まれたのです。その議員は「そうすれば次の内閣改造が楽しみになる」と発言していました。
記者会見が終わり、夏川総理は記者からの問いかけに一切応じませんでした。一方、誘拐犯から「日の出町緑地を探せ」というメッセージが入り、警察が捜索したところ、柚葉は無事に発見されました。しかし、柚葉は恐怖のあまり声が出なくなっていました。
柚葉は解放されたものの、誘拐犯は逮捕されないままでした。晄司は上荒川大橋、青少年研修センターとその移転先、犯行に使われた車が盗まれた場所、日の出町緑地など事件に関連する場所が全て荒川沿いであることに気づき、平尾刑事に誘拐犯を誘き寄せるための作戦への協力を求めました。平尾刑事は中央テレビの報道記者・神谷美咲に清治郎の「議員としての最後の会見」をセッティングしてくれるよう要請しました。
清治郎は晄司、揚一郎、恒之を伴って三度目の会見を開き、衆議院議員を辞職することを表明しました。そのうえで揚一郎が父の意志を継ぐ形で自費で施設である研修センターの地盤調査をすることを発表しました。記者たちは「何の話だ」と声を荒げましたが、宇田家は一方的に記者会見を打ち切りました。
その夜、宇田家は平尾刑事ら警察の立ち合いのもと地盤調査を開始し、神谷ら報道陣も立ち合いました。その時、付近に怪しげな二人組の男女が現れ、現場の地面をスコップで掘り起こそうちしました。二人組は警察によって逮捕されました。実は三度目の会見は誘拐犯を誘き寄せるために晄司らが仕掛けた罠だったのです。
おまえの罪を自白しろの結末
逮捕された二人組は恒之の事務所のボランティア・寺中初美と弟の勲でした。この姉弟が大物政治家の孫を誘拐するに至った経緯は、姉弟の父・清則が経営していた寺中建材工業がは上荒川大橋の当初の建設予定地にあったことがはじまりでした―――。
―――今から4年前。清則の会社は大橋の工事に伴う立ち退き話が浮上していましたが、清則は立ち退きの補償金が支払われるであろうと見込み、これを機に事業拡大しようとして借金までして移転先の土地を買ったのです。ところが、清治郎と夏川総理の密約により大橋の建設予定地は変更となり、補償金は支払われずに寺中一家は莫大な借金だけを抱えてしまったのです。
これに怒ったのは、自宅を売ってまで金を作ったのに借金を背負わされて自己破産した勲でした。勲は清則と揉み合いの大喧嘩となり、清則は階段から転落して死亡してしまいました。初美は弟までも失いたくないがために、勲と共に荒川の河川敷に密かに清則の遺体を埋めたのです。
しかしその2年後、清則の遺体を埋めた河川敷付近では清治郎の主導する再開発計画が進行しようとしていました。工事により清則の遺体が掘り起こされてしまうことを恐れた初美と勲は再開発計画を潰そうと図り、初美はボランティアとして恒之の事務所に潜り込み、清治郎の孫である柚葉を誘拐することを思いついたのです。初美と勲にとっては清治郎の「罪の自白」はあくまでも再開発計画を潰すための手段であり、中身まではどうでもよかったのです。警察署で晄司らと対面した初美は、「誰が橋を変えたんですか? 誰が私たちの人生を変えたのですか」と涙を流しながら詰め寄りました。
柚葉もようやく声を取り戻した頃、清治郎は晄司に自らの歩みを語りました。商店街で惣菜屋を営んでいた父の死後、苦労して学校を出た清治郎は商店街の人々を笑顔にするために政治家への道を志したのですが、いつしか党の裏の仕事に手を染め、自ら汚れ役を買って出るまでに変貌していたのです。清治郎は自分の後継者は晄司しかいないと考えており、そのために晄司の会社を潰したことを明かしました。
晄司は清治郎の地盤を受け継いで選挙に初当選し、新人議員として国会の初論戦に臨みました。晄司の質問を受ける新総理・木美塚は不敵な笑みを浮かべました。
以上、映画「おまえの罪を自白しろ」のあらすじと結末でした。
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