アウトレイジ 最終章の紹介:2017年日本映画。アウトレイジシリーズ3作目。前作『アウトレイジ ビヨンド』で関東の山王会VS関西の花菱会の巨大抗争のあと、大友は韓国へ渡り日韓を牛耳る大物フィクサー張会長の下にいた。韓国の歓楽街を仕切っていた大友のもとへ、花菱会の花田よりクレームの電話が入る。これが元となり花田は大友の手下を殺してしまい、国際的フィクサー張グループを敵に回す形になった花菱会。また時同じくして、花菱会では会長の後釜に元証券マンで娘婿の野村が会長となったことで内紛が勃発していた。裏社会を生きる男たちの裏切りと抗争を描いた大ヒットシリーズが3作目にして最終章となる。キャッチコピーは『全員暴走』。過去の清算の機会を狙う大友の暴走と、花菱会のトップを狙う暴走を軸に、暴力や傲慢の裏で背負った苦悩や悲哀を重厚に描いた本作。第74回ヴェネツィア国際映画祭でクロージング上映され話題を呼んだ。
監督:北野武 出演:ビートたけし(大友 / 元大友組組長)、西田敏行(西野 / 花菱会若頭)、塩見三省(中田 / 花菱会若頭補佐)大森南朋(市川 / 大友の腹心)、ピエール瀧(花田 / 花菱会幹部)、大杉漣(野村 / 花菱会新会長)、松重豊(繁田刑事)、金田時男(張 / 張グループ会長)、白竜(李 / 張の側近)、原田泰造(丸山 / 花田の手下)、池内博之(吉岡 / 木村組組長)ほか
映画「アウトレイジ最終章」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アウトレイジ最終章」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アウトレイジ最終章の予告編 動画
映画「アウトレイジ最終章」解説
この解説記事には映画「アウトレイジ最終章」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アウトレイジ最終章のネタバレあらすじ:起
韓国の済州島。海辺でのんびりと釣りをして過ごす2人の男。元大友組組長の大友(ビートたけし)と腹心の市川(大森南朋)です。市川は太刀魚で作るキムチ鍋を大友に振舞いたくて辛抱強く釣り糸の垂れた水面を眺めます。本来太刀魚はイカを釣るように夜に漁船を出しライトに集めて釣る魚だが、そんな大友の言葉もお構いなしに市川は、明るいうちにこそ釣れる太刀魚もいると聞かない様子。穏やかな時が流れていました。現在の大友は張(チャン)グループ配下の歓楽街を収めています。ある日、買った女が使えないと日本のやくざを名乗る男からクレームの電話が入ります。大友がホテルへ駆けつけると、傷だらけになり泣きじゃくる女が2人。ベッドルームに行くと、SMの装具をつけたままの刺青の男(ピエール瀧)がベッドにいました。男は花菱会の花田と名乗ります。いきり立つ花田ですが、大友に拳銃を見せつけられ女たちを傷物にしたことで逆に200万を要求されしぶしぶ手を打つこととなりました。花田は翌朝に金を取りに来るよう言い残し、後始末を部下へ指示すると自分はひとり日本へ帰ってしまいました。大友は大切な兄弟の木村を花菱会により殺された過去がありますが、花田に自分の素性は言いませんでした。翌朝、花田が指定した通り、部下に金を取りに行かせました。ところが金を取りに行ったはずの部下は無残にも殺されてしまいます。金はおろか張会長(金田時男)の部下まで殺されてしまった大友。しかも相手は憎き花菱会を名乗る男。市川との釣りの最中、大友は水面に向かって銃を連発し苛立ちを隠せずにいます。2人が去った海には、大友の銃弾によって仕留められた太刀魚が浮いているのでした。
アウトレイジ最終章のネタバレあらすじ:承
日本では関西の花菱会が以前の抗争で関東の山王会をほぼ壊滅状態に追い込み、実質配下に収めていました。定年退職した会長の座は、前会長の娘婿である野村(大杉漣)へと引き継がれています。元証券マンの野村は極道の世界ではズブの素人。金さえ稼げればヤクでもなんでもありというやり方に古参幹部の西野(西田敏行)は激しく敵意を燃やしています。西野をどうにか排除したい野村。そこで若頭補佐の中田(塩見三省)に次期若頭の座を約束すると言い、西野を殺すよう命じるのです。ところが野村会長の本心は兄弟分の西野と中田を揉めさせ、いずれは二人まとめて捨てようというところにあります。一方西野は、花田が韓国でトラブルを起こし、張グループを敵に回してしまったことを知り、花菱会の会長代理として花田とともに張会長へお詫びに行くことにします。西野の算段は大金を稼ぐ花田に恩を売り、金をむしり取ること。そして野村はこの帰りに中田に西野を襲わせます。ここまで全ての野村のシナリオを見抜いていた西野は“死んだフリをする”という奇策に出ます。花田を一人で組へ戻らせ、野村会長に西野が殺られたと嘘の報告をさせました。悔しがるそぶりを見せる野村は張の仕業だと周りを焚き付け、配下にある山王会の木村組へ張会長を襲うよう仕向けます。結局、襲撃は失敗に終わり張会長の命は側近の李(白竜)によって守られました。
アウトレイジ最終章のネタバレあらすじ:転
張会長の身に危険が及んでいることを知った大友は会長の恩義に報いるため、そして兄弟分だった木村の仇を取るために帰国を決意。ところが仲間にパスポートを工作してもらい日本の地を踏んだのも束の間、早速過去の刑事殺害の容疑で拘留を余儀なくされます。刑事の繁田(松重豊)は片岡刑事を殺したであろう大友に制裁を加えるため、なんとしても刑務所へ送りたい。ところが張の根回しにより大友は無罪放免となるのです。やり場のない怒りを上司へぶつけても、上層部の命令には背けないと一蹴され、繁田はついに刑事二課へ回されることになります。警察から開放された大友と市川は武器を揃え、まず最初に向かったのは張会長を襲撃した山王会木村組組長の吉岡(池内博之)がいるクラブです。ホステスを従えゆうゆうと酒を飲んでいるところへ乗り込む2人。すぐさま吉岡は銃弾に倒れます。西野は日本に帰ってきている大友を利用しない手はありません。ビルの屋上で会い、まず花田が韓国での一件を詫び、西野は大友にある提案をします。それは花菱会幹部の出所を祝う宴会の場で、会長野村を殺す依頼でした。雨の降る夜、花菱会幹部の出所祝いの会はやってきました。しかし、ここで西野の計画に誤算が生じてしまいます。宴会にくるはずだった野村会長が身の危険を察知したのか突然行かないと言い出したのです。そして野村を殺すため裏で待機しているはずの大友もいません。それでも会は進みます。そして主役である幹部のスピーチがはじまると、壇上へあがりマイクを奪ったのは…殺されたはずの西野でした。会場はどよめき会は混乱していきます。さらに西野はマイクを握り告げます。「野村会長は組の若頭である俺を殺そうとした!今から野村につくか俺につくか決めろ!」という内容でした。騒然とした組員たち。ついに花菱会が決定的に2つに割れると思われたその時。会場に入ってきたのはライフルを携えた大友と市川でした。西野や中田、花田などの幹部数名を残し、ほとんどの組員を次々とマシンガンで射殺し、花菱会を追い込みます。会長殺害の計画が一転、自らの組員が大量射殺されるという事態に陥ってしまいますが、ここでも西野はこの責任を野村になすり付ける策を講じます。中田からの報告で怒り狂う野村ですが、追い討ちをかけるように死んだはずの西野が現れ更に驚愕します。もう野村の命令を聞く部下はいません。野村は西野の手によって大友へ引渡され、大友は野村に「キャンプやろうか」と告げます。首だけ出された形で山道に埋められた野村。その上を大友の車が通り、野村会長の生命はここで絶たれます。
アウトレイジ最終章の結末
野村会長亡き後、会長の座についたのは言うまでもなく西野でした。それと同時に、中田が若頭、花田は若頭補佐へと昇格します。幹部会議でこれからはこのメンバーで盛り上げようと言う新会長の西野。事態はこれで収まるかと思いきや…。大友の怒りの暴走はまだまだ続きます。次のターゲットとなるのは花田。義理堅い大友は、韓国で張会長の部下を殺した男をこのまま放っておくことはできません。出世し気が大きくなった花田は女を買いSMプレイを楽しんでいたところでした。そこへ大友と市川は乗り込み、女たちを逃すと手足を手錠でベッドに固定された花田に、猿ぐつわの代わりに口に爆弾を詰められ爆破。これで張会長への義理を果たします。その後、大友はまだやることがあると言い残し、市川だけを先に韓国へ帰します。張会長の側近である李の運転で向かったのは、弟分の木村を殺した山王会の元組員が働く工場。現在はヤクザから足を洗い車の修理工場を営みのうのうと生きていました。大友はここで2人の男をあっけなく射殺。これで全ての復讐にカタをつけました。長い暴走がやっと終わった。そう思わせつつも不安定な緊張感のある大友と李。ここではじめて静かに大友の行動を見守っていた李が動き出します。もともと李は張会長の命で大友を監視してきたのですが、ついに李は行動に出ました。大友の正面から銃を向け「これ以上、張会長に迷惑をかけないでください」と引き金を引こうとしたその時、大友は自らの銃を喉元に当てます。「もう覚悟はできている。張会長によろしく伝えてくれ」そう言うと、なんの迷いもなく大友は引き金を引きました。弾は脳を抜け大量の血に顔を埋める形で道路に倒れた大友でした。李は張会長に一言「大友が死にました。会長によろしく伝えてくれと」と伝えると、その言葉で全て理解した張会長は何も言わずに空を見つめるのでした。韓国では市川が戻ってくるはずもない大友のために海に釣り糸を垂らします。昼間でも釣れると信じた通り、見事に太刀魚は釣れ「大友さん釣りましたよー!」独り叫ぶ市川とともに幕を閉じるのでした。
以上、アウトレイジ最終章のあらすじと結末でした。
「アウトレイジ最終章」感想・レビュー
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うーん、なんだろうこの物足りなさ
アウトレイジ、アウトレイジビヨンドと見てきて
できればこのままおわってほしかった。
もし続編が作られたら、あとは死ぬしかないんだろうなと思っていましが…
この作品は前作、前々作のような奥行というか広がりが感じられなかった。
結局一番ヤクザに向いていないのは大友だったのではないでしょうか? -
先ず最初に、韓国フィクサーのチャンを演じる金田さんの佇まいが凄すぎる!その辺の俳優さんより貫禄もあり雰囲気がある。見るものを圧倒しますよね。後は、う~ん、なんでしょう(笑)北野武さん、白竜さん、西田敏行さん、塩見三省さん、はとても良い演技をしているのですが、他の俳優さんの貫禄不足というか雰囲気不足というか、全体的に「薄っぺら」な印象を抱きました。
例えばですが、関西の「花菱会」は前作(ビヨンド)では、貫禄と威厳がある組織だったのに、新会長になってからは笑ってしまうほど、「薄っぺら」な組織に様変わりしています。会長が車で移動中に襲撃された時に「死んだらどうすんだこらぁー!」は思わず笑ってしまいました。「ヤクザやめたらいいじゃん」と思ってしまいました。(笑) -
前作の時点で普通の任侠映画みたくなってしまいバイオレンス映画としての魅力は損なわれていましたが、3作目ともなるともはやバイオレンスどころか任侠映画としてもマンネリ感があり尻すぼみの印象が強かったです。
大友も結局組織の都合に振り回された可哀想なキャラという解釈でいいんでしょうか?
全体的に演出が弱くて今一つ煮え切らない結末で終わってしまったのも残念です。 -
なぜ山王会の会長は最後撃たれたのかわかりませんでした
山王会の抗争から花菱の内部抗争へ変わり、チャンの下で静かに暮らしていた大友の仁義に火が付いた静かな怒りを感じました。花菱の跡目争いなど眼中にない、チャンに対して部下を殺された敵を取る仁義が大きな組織を壊滅状態まで追い込む姿はとても面白いですね。言葉じゃなくて映画を見て考えさせられる北野映画はやはり好きです。最後に全ての責任を取って自らの命を絶つ大友の姿はまさに仁義ですね。