終わった人の紹介:2017年日本映画。今まで仕事一筋だった壮介が定年退職となり、毎日愚痴ばかり言って過ごす。これからの余生をどのように過ごせばいいのかわからず妻の千草や娘に愛想をつかされながらも自らの第二の人生を試行錯誤しながら家族や友人達とのつながりを通して確立していく。誰もが人生の転機を迎えたときに考えさせられるテーマをコメディ化している。舘ひろしが扮する壮介が情けないやら背中を押してあげたくなったりの面白くてちょっと切ない物語。
監督:中田秀夫 出演:舘ひろし(田代壮介)、黒木瞳(田代千草)、広末涼子(浜田久里)、臼田あさ美(山崎道子)、今井翼(鈴木直人)、ベンガル(工藤元一)、清水ミチコ(山下正美)、温水洋一(山下良夫)、高畑淳子(桜田美雪)、ほか
映画「終わった人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「終わった人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
終わった人の予告編 動画
映画「終わった人」解説
この解説記事には映画「終わった人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
終わった人のネタバレあらすじ:起
東大卒のエリート街道を歩いていた真面目でこれといった趣味もない壮介だったが同期に負けて出世コースを外され、出向となり、そのまま戻ることもなく定年の日を迎えることになる。出社最後の日も定刻まで机に座り、時間がきた。と同時に部下からの花束贈呈と拍手。「またいつでも来て下さい。」と言われながらも「本当に来たらバカにされるのだろう。」と思いながらタクシーまで見送られ家に帰っていく。家に帰るとテーブルにご馳走が並べられ妻や子どもや孫に「ご苦労様でした。」とねぎらわれ、壮介の母や妻千草の義母からのビデオレターも用意され、「長い間、ご苦労様でした。」とのメッセージをもらう。この日の夜は感慨無量となり、壮介はこれまで自分を支えてくれた妻千草に「これからは二人の時間を大切にしよう。今度、ゆっくり温泉でも行こう。」と提案するのだが、美容師で多忙な千草は「今は卒業式や、入学式で忙しいからまた時間ができたら付き合うわ。」と突き放されてしまう。
終わった人のネタバレあらすじ:承
退職した翌日からフリーになったものの、何の趣味もない壮介は毎日妻の千草に愚痴ばかり言ってはテレビのグルメ番組を見たり公園を散歩したりするのだが、暇をもて余す。翌日には妻千草の仕事が終わるのを待ち、タクシー代わりに送迎を申し出るのだが、翌日からは来なくていいとまたもや突き放されてしまう。仕方なくまた次の日からも図書館や公園に行くのだがどこに行っても年寄りばかり。昼はコンビニの鮭弁当を食べてまたコンビニにごみを捨てに行くのだが家庭内のごみの持ち込みは禁止と言われる。妻や娘には愛想をつかされ、恋でもしたら、とからかわれる始末。そんなある日、いつものように一人で道を散歩していると偶然にも昔の高校時代のラグビー部の仲間の1人、二宮に三十年ぶりにばったり出会う。二宮もエリート街道を歩いていたが人事部でリストラで人をやめさせたりする嫌な部署に嫌気がさして今は自分の好きなレスリングのレフェリーとなり、生き生きと仕事をしているのだった。そこで壮介も何か仕事をしたくなり、職安で仕事を紹介してもらうのだが、東大卒の学歴が邪魔をしてなかなか働き口もない。面接に行っても興味本意に物珍しそうに見られるだけで仕事をしたくても思うような仕事につけないのだった。そんなある日、どこに行っても昼間は年寄りばかりのはずが、スポーツジムに行くと会員さんなのに若くイケメンの直人というゴールドツリー社の社長に出会う。ひときわ目立つイケメンの直人はスタッフよりも目立ち、年寄り達のヒーローのようだった。なぜスポーツジムに来るのかと聞くと年寄りをターゲットにした商品開発のためと言われ、また老人達の情報網が広いことも知り驚く。そして顧問で来てくれないかと誘われる。
定年後の長い時間をどのように過ごせばいいのか全くわかってなかったのだが、時々遊びに来る妻のいとこのイラストレーターの俊彦に勉強することを勧められ、妻にも後押しされ大学院受験をすることにした。その準備のためにもカルチャースクールに通うようにもなった。そこではカルチャースクールの受付嬢で三十代の美人浜田久里さんと出会う。時々久里と食事に出掛けたり、電話があれば相談にのったりもするようになっていた。話もお互いにふるさとの盛岡の方言で楽しく話して過ごすようになっていた。いつの間にか壮介にとっては第二の人生が会社の顧問と大学院受験と恋愛と、とても生き生きとした日々を送るようになっていた。顧問の仕事では持ち前のビジネス英会話で海外ビジネスにも貢献し公私ともにとても充実していた。
終わった人のネタバレあらすじ:転
壮介の第二の人生も上手く順調にいくようになっていた。そんな矢先にゴールドツリー社の若き青年実業家の鈴木社長が急に亡くなる。急なことで奥様と子どもを残して無念だったことであろう。まだまだやりたいことがたくさんあっただろう、そこで急遽後任に壮介が社長に就任することに。当初は上手くいっていたのだが取引先が倒産となり、社長の壮介が責任をとることで一億円の借金を抱えることになる。一方妻の千草は仕事も順調で自分の店を持つための準備に追われていた。上手く行っていた恋愛の方もホテルまで予約して想像たくましくしていたのだが、あと一歩のところで久里が「ごめんなさい。」と言って部屋に入ることもなく、友達に戻ってしまう。
そんなある日、壮介は俊彦から彼女と言って久里を紹介される。俊彦は顔見知りということに気がつくが娘道子も父壮介の顔の表情がだんだん落胆していくのを見て関係がわかっていく。妻の千草があと少しで店を持てるようになったが壮介は借金ができてしまったので自分から「離婚しよう。」と言う。しかし妻の千草は「離婚はしない。でも、出ていって。」と言われ鞄ひとつを持たされ、追い出されてしまう。行き着く所はカプセルホテルで寝起きするようになる。しばらくして盛岡に帰り、かつての友人や家族と再会する。盛岡に帰ると昔のラグビー部の仲間達と後輩のラグビーの試合を見たり、仕事を手伝ってくれないかと誘われたりする。また、母と妹で一緒に墓参りをして故郷の良さをしみじみと感じる。また東京に戻ると妻の千草の店がいよいよ開店することに。また娘の道子には壮介の考えの甘さや久里を好きなことも言われる。そしてとうとう妻からは卒婚を提案される。
終わった人の結末
壮介が盛岡に帰る日、久里が最後のお別れに来る。久里は色々アドバイスしてくれたことのお礼を伝える。そしていよいよ盛岡へ行く。盛岡では壮介の高校時代のラグビー部の仲間達が集まり、一緒に飲みながら色々な話をする。最初は楽しく過ごしていたのだがだんだん時間が経つにつれて壮介は今の自分の状況を話し始める。昔はラグビー部のキャプテンをして東大卒でそのまま東京で一流企業に就職したが、今は妻に家を追い出され、会社でも出向となり、また定年後に再就職したが、そこが倒産になり、九千万の借金があること、今はもう仕事すらしていないことを洗いざらい話した。友人達はそれを聞いて励ましてくれたり、みんなで一緒に踊ってくれた。これからは友人の仕事の手伝いをして盛岡で過ごすようになる。そんなある日、千草が「二ヶ月に一回は髪を染めに来ます。」と突然盛岡にやってくる。
お互いに住む場所は違うけれども離婚するのではなく、卒婚という形でこれからも壮介と千草の関係は続いていくのだろう。
この映画の題名を見た時、ものすごく興味が湧きました。まさにグッドタイミングで上映。実は今、エリート主人の人生の転換期。まだ定年ではありませんがこの先どのようになっていくのか参考にするため、無理やり主人を連れて映画館へ。
奥さんが仕事を持っていると、やはり最後はこのように卒婚になってしまうのか、と。少し寂しい結末に思えるのは、私がまだ若いからでしょうか。主人が終わった人にならないよう傍にいて元気付けたいと思います。