聖の青春(さとしのせいしゅん)の紹介:2016年日本映画。原作は大崎善生さんの「聖(さとし)の青春」。18年まで実在した天才棋士・・村上聖(1969~1998年:享年29歳)のフィクションを交えた、最後の4年間を映画化。幼少期からの難病と闘いながら棋士の道へと進んだ村山の壮絶な人生を描く。羽生善治など同世代の棋士との闘いや、周りの人たちの愛を通して描かれる。
監督:森義隆 出演:松山ケンイチ(村山聖)、東出昌大(羽生善治)、染谷将太(江川貢)、安田顕(橘正一郎)、竹下景子(村山トミコ)、リリー・フランキー(森信雄)、ほか
映画「聖の青春」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「聖の青春」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
聖の青春の予告編 動画
映画「聖の青春」解説
この解説記事には映画「聖の青春」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
聖の青春のネタバレあらすじ:さらば大阪
1994年、春。三谷工業のおじさんがシャッターを開け、仕事に出かけようとした時でした。ゴミ収集所に、誰か倒れていました。慌てて、救急車を呼ぼうとした時、足を掴まれ、三谷さんはこけます。実は、路上に座りこんでいた村山聖(24)でした。彼は言います。「(関西)将棋会館に連れて行ってください。」三谷さんは聖を軽トラの助手席にに乗せて、肩を担ぎ、聖の道案内で、対局室まで入っていき、到着して聖が座ると、すぐに王将戦…田中6段との対局が始まるのでした。三谷さんが下に降りると奨励会生が将棋を指して、しのぎを削っていました。三谷「何者なんじゃ、あのアンちゃん」その日の王将戦は勝ちました。対局が無い日は部屋で大好きな少女マンガを読んで過ごしていました。でも、翌日の朝、7段昇段記念パーティーの迎えに来た同じ森信雄奨励会に所属する江川が、背広を取り出し着るように促しても、「いたずらなKiss」を読み続けます。ようやくスーツに着替えて出かける頃には、すっかり遅刻です。会場では、師匠の森が、引き延ばしていましたが、聖が入ってきて、挨拶します。「僕がここまで来れたのは両親、病院の先生、講演会の皆さま方のおかげです。ありがとうございます。森師匠には、酒と麻雀しか習ってません」で一笑いが起きます。さて、一方で、江川は、3段は取りましたが、その上に行けずあがいてました。講演会の人からの激励は、プレッシャーなだけです。同じ頃、最大のライバルである羽生善治は、米長邦雄名人を下して、とうとう名人位を含め5冠を達成していました。そんな羽生と、王将戦の予選で対局した日。126手で聖は羽生に敗北しました。将棋に負けた翌日は、必ず、自宅のアパートで聖は高熱を出して寝込みます。幼少の頃から患っているネフローゼの影響です。腎機能障害により、タンパク質が尿中に漏れ出す病気です。そのせいで、疲れやすく、顔も体もパンパンに膨れ上がってしまうのです。聖「先生、僕40度やったら死ぬんです。そうじゃなかったら東京に行きます。羽生さんの近くで名人になるんや」見納めに更科食堂を覗き、行きつけの古本屋に行きます。そして「いたずらなKiss」7巻の取り置きをキャンセルするのでした。
聖の青春のネタバレあらすじ:東京での日々
東京では、聖の世話役となるライターの橋口が待っていました。実は原作者の大崎善生さんです。そして、出会うなり、聖は預金通帳と印鑑を渡すのです。その足で、橋口が探していた将棋会館から近い幾つかの下宿先候補をめぐります。聖が将棋を初めたのは、ネフローゼで入院した6歳の時でした。父、伸一がプラスチックの将棋盤と入門書を買ってきたのです。負けず嫌いの聖は入院中に何度も友達と対戦しながら上達していきます。さて、引っ越しも終わり、聖は、将棋会館に乗り込んでいきます。結局、荒崎や橘が来るまで、誰にも話しかけられませんでした。そして、名人たちの対局が始まり、荒崎と橘が長期戦になると読んだ時点で聖に意見を聞くのですが、聖は一言「摘みません」というだけです。荒崎は納得がいかず、聖を飲みにつれ出します。橘は仲裁役で同行します。ですが、聖は酒癖が悪く、言いたい放題です。でも奨励会員が飛び込んできました。「あれから17手で摘みです」橘「”終盤は村山に聞け”だな」 聖が立ち上がり、帰ろうとした時、倒れてしまいました。翌日、荒崎と聖は対戦して、聖が勝ちます。でも、聖は羽生の対局を見入っているのでした。その後も、聖と荒崎、橘は麻雀をしたり、飲んだりを続けます。一方、羽生はとうとう将棋界の全てのタイトルを総なめする7冠へ到達してしまいました。聖もそれなりに順調でしたが、ある日、突然路上で倒れてしまいました。医者は、進行性の膀胱がんと診断します。その日の対局は橘との対局でした。体調不良でも何とか勝ちましたが帰宅するのがやっとでした。帰宅した聖は、医師から何度も手術前の検査を促されるも、留守電を、すぐに消去し、ペットボトルをシビン代わりにして寝て痛みに耐えるのでした。聖は、ふらりと住み慣れた大阪の街へ戻ってきました。この世の名残を惜しむかのように、更級食堂、古本屋、公園を見て、最後に関西将棋会館へ向かいました。
聖の青春の結末:燃え尽きる命
将棋会館では、弟弟子の江川が奨励会の年齢制限ギリギリの崖っぷちに立たされていました。明日の一戦に負けると、プロへの道を絶たれるという江川を勇気づけるために聖は稽古をつけるのです。しかし、翌日の対局で、江川は鼻血を出しましたが敗れ、奨励会の退会が決定してしまいます。その晩、聖は師匠の森、江川の3人で飲み明かします。でも、酔うと酒癖の悪い聖は、店を出ると「こんなもの、死んだら何にもならんのじゃ」とお札を破り捨て、暴言を吐き、江川に殴られます。ゴミ収集所に倒れ込んだ聖は、起き上がり、江川に殴り掛かりますが、倒れ込んでしまうのです。森が抱え起こす中、江川は、立ったまま泣くのです。聖は気分転換に北海道旅行に行き、雪の中、座りこんで、将棋を指し続けるのです。それから帰ると、聖はいよいよ羽生とのタイトル戦での対決に臨みます。紋付袴を師匠の森にあつらえてもらい、その大一番は見事に聖の勝利となりました。その晩、関係者の打ち上げを抜け出した聖は、羽生を誘い出し、二人だけで2次会へ出かけます。羽生と互いの趣味を語るのですが、聖が、麻雀・競馬をするのに対し、羽生の趣味はチェスと、合いません。結局、共通点は将棋だけ。将来の再戦とお互いの健闘を誓い合うのだった。タイトル戦が終わり、病院へ行くと、膀胱がんの状態がステージ3Bまで進行しており、前立腺と膀胱を切除しなければ、余命3ヶ月と宣告されました。「手術後は最低1年間復帰できない」と聞き、ショックを受けた聖は、麻酔で頭が鈍るので、麻酔なしの手術を希望しますが、医者に止められます。しかし、対局にも影響し、A級から降格した聖は、手術のため長期休養に入ります。手術は成功し、実家の広島で久しぶりに大好きな吉野家の牛丼を食べ、つかの間の休息を取った聖は、伸一に、トミ子に内緒で密葬を頼みます。聖は、それまで伸ばし続けた髪と爪を自分で切り、深夜、将棋を指し始めます。トミ子は止めようとしますが、伸一に止められ、嗚咽します。医師の反対を振り切って復帰してはじめての棋戦は、羽生名人との対決でした。緊急時に備え、ナースが控室に待機しています。特別対局室で深夜まで及んだ熱戦は、誰もが聖の勝ちを予想したのにもかかわらず、聖の痛恨の悪手(68手目7六角)で決着がついてしまいました。その後、すぐにガンが肝臓へ転移して再度入院したのですが、懸命の治療もむなしく、1998年8月8日に29歳で亡くなりました。「2七銀」が最後の言葉でした。聖の弔問には師匠の森を始め、羽生も大阪での対局前に広島までかけつけました。聖には追贈9段が贈られました。聖の死後、橋口は羽生戦後、B級トーナメントの命を削るような5局で、A級昇格を決めた追悼記事をまとめます。江川は将棋雑誌社へ再就職していました。橋口から託された原稿を入稿しに、自転車に乗ると、聖が将棋会館を見上げて笑っているように思えました。しかし、誰も居ないので、再び自転車を漕ぎだします。エンディングは秦基博さんの「終わりのない空」です。
以上、映画 聖の青春のあらすじと結末でした。
より詳細なネタバレあらすじ解説は次で。
「聖の青春」感想・レビュー
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実在する(した)人物を扱ったものだけに、俳優さん達の役作り、寄せ方が大変すばらしかったです。
特に序盤での7段昇段パーティのシーンに於いて、マツケン扮する村山君のスピーチ。
恐らく師匠の森信雄7段の結婚披露宴でのスピーチをモデルにしたと思われるのですが、
よくぞここまで似せたというくらいに、飄々とした仕草や話し方。
羽生君役の東出君も、対局シーンとか若かりし頃の羽生さんそっくりです。
羽生さんこういう仕草、するする!って感じでした。
出演者や製作者の皆さんの、愛を感じる映画でした。
私は、主題歌を歌っている秦基博さんのファンであることがきっかけで、この映画のことを知ったのですが、映画の中で聖が「イタズラなKISS」という漫画を読んでいるシーンがあります。秦さんは過去に、イタズラなKISSのアニメの主題歌を担当したこともあり、何だか運命だなということを思いました。
また、聖役の方を最初に見た時「この俳優さん誰だ?」となり、調べたら松山ケンイチさんだとわかり、「普段と違う!」と、役作りの為にあそこまで体重を増やしたことに凄いなと思いました。
また、対局のシーンは対局を見守っている人々の反応や、棋士の方の表情に引き込まれドキドキしながら観れたので、将棋のルールを知らなくても楽しめる映画だと思います。