その日、カレーライスができるまでの紹介:2021年日本映画。斎藤工が企画・プロデュースを務め、主演のリリー・フランキーがワンシチュエーションの一人芝居に挑戦したヒューマンドラマです。妻の誕生日祝いのためのカレーライスを仕込む主人公の男が、愛聴するラジオ番組を通して何気ない日常に想いを馳せる姿を描きます。
監督:清水康彦 出演:リリー・フランキー(健一) 声の出演: 中村羽叶(映吉)、吉田照美(村田長太郎)、岡田ロビン翔子(東向未夕)、黄栄珠、福田信昭、神野三鈴(美津子)ほか
映画「その日、カレーライスができるまで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「その日、カレーライスができるまで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
その日、カレーライスができるまでの予告編 動画
映画「その日、カレーライスができるまで」解説
この解説記事には映画「その日、カレーライスができるまで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
その日、カレーライスができるまでのネタバレあらすじ:起
くたびれた中年男の健一(リリー・フランキー)は土砂降りの雨の中、古く薄暗い自宅アパートに帰ってきました。健一が持っていたビニール袋の中には食材と手作りの募金箱が入っていました。
健一は妻・美津子(声:神野三鈴)と息子・映吉(声・写真・ホームビデオ:中村羽叶)と暮らしていましたが、映吉は幼くして心臓病で他界し、美津子も家を去っていきました。今や映吉の面影は健一と楽しそうに遊んでいた頃のホームビデオと写真立てでした。映吉の死後、健一は映吉と同じ心臓病に苦しむ子供たちのために募金活動を始めましたが、まだまだ目標額までは程遠い現状でした。
健一は風呂に入りましたが、上がった時に雷で停電が発生しました。停電はすぐに収まりましたが、気が付くと台所に置いてあった映吉の写真立てが倒れました。健一は写真立てを大事に元に戻すと、台所に立って料理を始めました。三日後は美津子の誕生日であり、健一は毎年彼女のためにカレーを仕込んでいるのです。
その日、カレーライスができるまでのネタバレあらすじ:承
健一は缶ビールを飲み、タバコを吸いながら野菜の調理をしていきました。健一の料理のお供は、健一がいつも愛聴しているラジオ番組「ムラチョーのいいかげんなイブニング」です。
パーソナリティーの村田長太郎(声:吉田照美)と東向未夕(声:岡田ロビン翔子)がお送りするこの番組、この日のテーマは「私のマル秘テクニック」です。健一はガラケーを手にして番組への投稿メールを打ち始めました。
番組ではリスナーからのリクエスト曲として、映吉がよく見ていたテレビ番組「クウセンジャー」のテーマ曲が流れてきました。健一が口ずさんでいると、壁がトントン叩かれる音がしてきました。健一は一旦ラジオを消して様子を見てみたのですが、結局音の出所はわからずじまいでした。
健一は気を取り直して再びラジオを聴き始めると、今度は押し入れのところから物音が聞こえてきました。押し入れの中には特に怪しいものはありませんでしたが、怖がった健一が思わず悲鳴を上げたところ、隣人の女性が「うるさい」と言ってきました。
健一はカレーをぐつぐつと煮込みながら、雨に濡れた募金箱をセロテープで補修しました。その時、ラジオで健一の投稿が読まれました。「今年も妻の誕生日にカレーを作っています。三日後が、誕生日です。妻は三日目のカレーが好きで。ただ、いろいろあって今年はひとりです」。ちなみに健一が投稿したマル秘テクニックとは、「お餅を削ってルーと一緒に煮ると、あっという間に三日目のカレーになる」というものでした。
その日、カレーライスができるまでのネタバレあらすじ:転
カレーを煮込む健一の元に、兄から電話がかかってきました。健一を心配する兄はお盆には実家に戻って来るよう誘いましたが、健一は募金活動を続けていることを理由に断りました。健一は兄にまた連絡すると告げて電話を切りました。
その時、雷が鳴り、再び停電が発生しました。電気が元通りに復旧すると、映吉の写真立てがまた倒れていました。健一は思わず「ここにいるの?」と呼びかけてみると、まるで健一の呼びかけに応じるかのように雷が鳴り響きました。
健一はかつて映吉としたように、部屋の柱に手をかけて「だるまさんがころんだ」と言ってみせました。続いて健一は押し入れに封印してあったビデオカメラを取り出し、かつて公園で映吉と「だるまさんがころんだ」をしていた時の様子を振り返りました。いつしか健一の顔はほころんでいました。
健一は映吉の写真立てを見つめながら、今度「クウセンジャー」が映画化されるという話をしていました。そして健一は募金の現在の状況を語り、美津子を泣かせてしまったことも語りました。健一はたとえ偽善や自己満足と言われようと募金活動を続けるつもりでした。健一は酒をあおりながら、映吉を守ってあげられなかったことを悔やんでいました。
その日、カレーライスができるまでの結末
そして三日後。美津子の誕生日です。健一はようやくカレーを仕上げました。「ムラチョーのいいかげんなイブニング」では、心臓病に苦しむ子供のための募金が目標額に達したことが報じられていました。
この日の「私のマル秘テクニック」のコーナー、読み上げられたのはラジオネーム「バースデーウーマン」からの投稿でした。健一は「バースデー」という言葉から、投稿者が何者なのか即座に悟りました。「バースデーウーマン」のマル秘テクニックとは「食べ終わったカレーの鍋を洗う前に、白いご飯を入れて炒めればピラフができる。鍋も綺麗になって洗う際の面倒な手間が減る」というものでした。
「いいかげんなイブニング」が終わった頃、健一の元に美津子から電話がかかってきました。「バースデーウーマン」の正体はやはり美津子でした。健一は美津子に一緒にカレーを食べようと呼びかけ、美津子は「考えさせて」と返答しました。
健一は三人分のカレーをよそいました。ひとつは健一、もうひとつは美津子、そして最後のひとつは写真立ての映吉に捧げるものでした。その時、健一の玄関からチャイム音が鳴りました。どうやら美津子が戻ってきたようです。
以上、映画「その日、カレーライスができるまで」のあらすじと結末でした。
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