余命10年の紹介:2021年日本映画。小坂流加が2007年に発表した同名小説を小松菜奈と坂口健太郎のダブル主演で映画化したラブロマンス作品です。数万人に一人の難病を患い、余命が10年であることを知った女性が生きる希望を見失った同窓生の男性との恋を通じて残された人生を精一杯生きる姿を描きます。主題歌および音楽はロックグループ「RADWIMPS」が手掛けています。
監督:藤井道人 出演者:小松菜奈(高林茉莉)、坂口健太郎(真部和人)、山田裕貴(富田タケル)、奈緒(藤崎沙苗)、井口理(三浦アキラ)、黒木華(高林桔梗)、田中哲司(平田先生)、リリー・フランキー(梶原玄)、原日出子(高林百合子)、松重豊(高林明久)、山中崇(鈴岡聡)、安藤聖(礼子)、富山えり子(寺田美幸)、根矢涼香(絵梨)、上原実矩(美弥)、三浦透子(サオリ)、安部賢一(礼子の夫)、川原瑛都(礼子の息子)、MEGUMI(並川)、安井順平(会社の人事担当者)、山下容莉枝(高林家の親戚)、中島唱子(高林家の親戚)、呉城久美(和人の店の客)ほか
映画「余命10年」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「余命10年」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「余命10年」解説
この解説記事には映画「余命10年」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
余命10年のネタバレあらすじ:起
2011年。
20歳の短大生・高林茉莉(小松菜奈)は数万人に一人という難病の肺動脈性肺高血圧症を患い入院していました。この病気は未だ治療法が確立されておらず、茉莉は担当医の平田先生(田中哲司)から10年生存率は極めて低い、「余命10年」であることを宣告されていました。
茉莉の病室には、茉莉と同じ病を患った礼子(安藤聖)という女性が入院していました。桜が満開の季節、礼子は息子(川原瑛都)の小学校入学式まで何とか生きてこられたことを茉莉に語ると、息子の入学式の撮影に使ったビデオカメラを茉莉に託し、「最後まで生きてね」と声をかけました。礼子は程なくしてこの世を去り、茉莉は車椅子姿で葬式に参列しました。
2013年。
茉莉は2年間の闘病生活を終えて退院しました。父・明久(松重豊)と母・百合子(原日出子)、姉・桔梗(黒木華)が迎えに来てくれました。帰り道、茉莉は礼子から託されたビデオカメラで車窓の景色を撮っていきました。
茉莉は2年ぶりに自宅に帰宅しましたが病気は決して完治したわけではなく、今後も月に1度の定期診察と投薬治療、食事制限などはまだまだ必要でした。
短大時代の友人はみんな卒業しましたが、茉莉は闘病生活を優先するため中退していました。茉莉の友人である美弥(上原実矩)たちは美弥の恋人である三浦アキラ(井口理)が経営するカフェで茉莉の退院祝いをしました。
出版社でコラムの編集に携わっている茉莉の親友の藤崎沙苗(奈緒)は、小説家志望だった茉莉に小説は書かないのかと尋ねました。沙苗は職場の人手が足りないので茉莉にも手伝ってほしいと声をかけました。
余命10年のネタバレあらすじ:承
2014年。
茉莉は中学生時代を過ごしていた静岡県三島市での同窓会に出席しました。出席前、桔梗は同窓会がきっかけで恋が始まるかもしれないと語りましたが、茉莉は恋愛なんかしないと心に誓っていました。
同窓会には茉莉と同じく卒業後に東京に出ていた真部和人(坂口健太郎)や富田タケル(山田裕貴)も顔を出していました。同窓会の席上では茉莉らが14歳の時に埋めたタイムカプセルが開封され、中から14歳の茉莉が今現在の自分に宛てた手紙が取り出されました。手紙には「素敵な人生を生きてください」と書かれてありました。
参加者らが二次会へ向かおうとしている時、つい飲みすぎた和人は具合が悪くなって座り込みました。茉莉は和人に水を与え、このことがきっかけで二人は打ち解け合いました。しかしその翌日、和人は衝動的に自宅のベランダから飛び降りました。
その頃、茉莉は就職活動のため面接を受けていましたが、難病を抱えていることや就職経験がないことを理由に断られそうになりました。その時、タケルから茉莉に電話があり、和人が自殺未遂を図って入院していると知らされました。
和人は一命を取り留めていました。父の会社を継がずに状況した和人は1ヶ月前に仕事をリストラされており、生きる意味を完全に見失っていました。茉莉は和人に「凄くズルい」と言い放ちました。茉莉の事情を知らない和人はこの言葉の意味がわかりませんでした。
和人は定期健診に百合子を伴って訪れていた茉莉を偶然にも見かけ、つい百合子が診察を受けるものだと勘違いしてしまいました。その後、タケルは“東京の父”と慕う居酒屋「焼き鳥げん」店主の梶原玄(リリー・フランキー)と和人を引き合わせました。その後、茉莉は和人と一緒に歩きながら、ビデオカメラで満開の桜を撮り始めました。和人はこれから職を探すと茉莉に告げ、茉莉も和人にもう死にたいなんて思うなと声をかけました。
茉莉は沙苗からのオファーを受け入れ、雑誌のウェブ版コラムの記事を書くことになりました。一方の和人も「焼き鳥げん」で働き始めました。茉莉、沙苗、和人、タケシは4人で一緒に過ごす機会が増え、やがて沙苗とタケシは交際を開始しました。和人は茉莉のことを意識するようになっていましたが、茉莉は恋愛なんてしないと固く誓っていました。
余命10年のネタバレあらすじ:転
2016年。
茉莉の病気は少しずつ悪化の一途を辿っていました。そんな時、桔梗は恋人の鈴岡聡(山中崇)と結婚式を挙げました。式に出席した茉莉は体調不良を隠し通していましたが、親戚(山下容莉枝、中島唱子)の間では茉莉は余命が短いのではないかという噂が立っていました。
順調に「焼き鳥げん」で働いていた和人は、梶原から2、3年後を目途に独立して自分の店を構えることを勧められました。和人は茉莉のおかげで生きる希望を取り戻したことを伝えましたが、茉莉は頑なに和人を受け入れようとはしませんでした。和人は改めて茉莉を呼び出し、交際してほしいと告白しましたが、茉莉は「私のこと何にも知らないで色々決めつけないでよ」と拒みました。その直後、茉莉は倒れて病院に搬送されました。
和人はこの時初めて茉莉の病気のことを知りました。思い悩む和人は梶原に励まされ、意を決して茉莉に「俺が茉莉ちゃんを守るから一緒にいてほしい」と再び交際を申し入れました。茉莉は同窓会に行ったことを後悔しつつも、涙を流しながら和人を抱き寄せました。その後、茉莉は自分自身をモデルにした小説を書き始めました。余命10年の難病を患った主人公が恋をするというストーリーでした。
2018年。
茉莉は小説を完成させました。原稿を読んだ沙苗は書籍化したいと茉莉に告げました。茉莉は病をおして和人とのスノーボード旅行に出かけ、和人からプロポーズを受けました。しかし、茉莉は自分の病気は決して完治せず、自分は余命10年だと告げたうえで「これ以上和人くんといると死ぬのが怖くなる。彼女にしてくれてありがとう」と和人に別れを告げました。和人は言葉を失いました。帰宅した茉莉は百合子に涙ながらに「私、もっと生きたい」と心中を打ち明けました。
余命10年の結末
2019年。
茉莉は再び入院生活を送っていました。茉莉は書籍化が決まった原稿の手直しに着手しました。沙苗はタケルと破局していました。
桔梗は茉莉の見舞いに訪れ、自分は妊娠2ヶ月で来年の夏に産まれる予定だと報告しました。おそらくその頃には自分は生きていないだろうと思った茉莉は桔梗に最後まで自分のために尽くしてくれたことへの感謝を伝えました。
その頃、和人は独立して自分の店を構え、茉莉(まつり)の名を取って店名を「まつり」と名付けました。オープンの日、「まつり」に沙苗とタケルが訪れ、沙苗は仕事が終わってから見てほしいと出版社の袋を置いていきました。
茉莉は病室で、これまで10年近くかけて撮ってきた映像を観返しては削除していました。和人との思い出、友人たちとの思い出、家族との思い出・・・。茉莉はもし自分が病気でなかったら自分は和人と結婚し、子宝にも恵まれて幸せな生活を送っているのだろうと想いを馳せました。その直後、茉莉の容態が急変しました。
仕事を終えた和人は早苗が持ってきた袋を開けてみました。中には茉莉の書き上げた本が入っており、和人は本を読み始めました。茉莉は和人と出逢ったことは間違ってなかったと確信しており、自分の人生は幸せだったと振り返っていました。
本を読み終えた和人は急いで茉莉のいる病院に駆け付けました。和人は最期の時を迎えようとしていた茉莉に自分の店を構えたことを報告し、「茉莉ちゃん、頑張ったね」とねぎらいの言葉をかけました―――。
―――茉莉の遺作となった『余命10年』は書店に並びました。和人は茉莉が遺したビデオカメラを片手に満開の桜を撮り始めました。和人は茉莉と過ごした日々を振り返りながら歩いていきました。
以上、映画「余命10年」のあらすじと結末でした。
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