来る の紹介:2018年日本映画。人間の嫌な部分をこれでもかと見せつける鬼才が岡田准一と妻夫木聡をW主演に迎え、得体の知れないものに迫られる恐さと日常の身近な人間に潜む怖さ、二重の恐怖を突きつける。ただのホラー映画にとどまらない良質な作品を彩るのは黒木華、小松菜奈、松たか子ら女優陣の怪演。彼女たちの演技を観るだけでも一見の価値ありの作品になっている。第22回日本ホラー小説大賞に選ばれた澤村伊智原作「ぼぎわんが、来る」の映画化。選考委員絶賛のこの作品を映画化したのはあの「告白」「渇き。」の監督を務めた中島哲也。
監督:中島哲也 キャスト:岡田准一(野崎和浩)、小松菜奈(比嘉真琴)、妻夫木聡(田原秀樹)、黒木華(田原香奈)、松たか子(比嘉琴子)、青木崇高(津田大吾)、柴田理恵(逢坂セツ子)、太賀(高梨重明)ほか
映画「来る」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「来る」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「来る」の予告編 動画
映画「来る」解説
この解説記事には映画「来る」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「来る」のネタバレあらすじ:起
小学生の少年少女。山の中で少女は「あんたもあれによばれる」と告げ、その後消息を絶ちました。
少年の名前は田原秀樹。現在は東京でサラリーマンをしている秀樹(妻夫木聡)は法事のため、新妻の香奈(黒木華)と実家に帰ってきます。そこで幼い日、病床の祖父と二人きりの家に恐ろしい何かがやって来たことを思い出しますが、行方不明になった少女の名前など細かいことはよく覚えていませんでした。一方、妻の香奈は、自堕落な母に虐げられながら育ち、スーパーで働いていたところを秀樹に見初められ結婚しました。しかし、家族の温もりを知らない彼女は秀樹の実家や賑やかな同僚たちに馴染めないでいました。新居のお披露目パーティで妊婦の香奈は気疲れしてしまいます。そんな彼女にやさしく接したのは夫の親友、津田(青木崇高)でした。
ある日、秀樹の職場で後輩の高梨重明(太賀)が突然血まみれになって倒れてしまいます。大したケガではなかったものの、その後彼は入院してしまい、暗い病室で人が変わったように暴言を吐き、一年後に亡くなりました。
「来る」のネタバレあらすじ:承
娘の知紗は二歳になり、“イクメンパパ”の秀樹は育児ブログに没頭する毎日。でも実際は、部屋は荒れ放題、妻の香奈はノイローゼで寝室に籠っています。それは恐ろしい何かがやって来て部屋を荒らしたからでした。秀樹は津田に相談し、ライターの野崎和浩(岡田准一)とその知り合いのキャバ嬢霊媒師・比嘉真琴(小松菜奈)を紹介してもらいます。しかし真琴に「ちゃんとやさしくすれば来なくなる」と言われた秀樹は怒って飛び出し、しばらくしてから帰宅すると、そこには野崎と真琴が…。心配して来てくれた二人と楽しそうに笑う香奈と知紗。
久しぶりに穏やかな時間を過ごした秀樹たちでしたが、翌日、再び部屋に「あれ」がやって来て皆の目の前でお守りが切り裂かれます。するとそこへ真琴の姉、日本屈指の霊媒師である琴子(松たか子)から電話が入り、この後どうするか、指示を受けます。家族を避難させ、再びスマホにかかってきた琴子の指示どおり、「あれ」を迎え撃つ準備をしていると家の電話に琴子から電話が! 恐怖で混乱する秀樹。スマホの琴子は偽物で、本物が正しい指示をするも時すでに遅し、秀樹は下半身を奪われ絶命しました。
「来る」のネタバレあらすじ:転
香奈は再びスーパーで働くも、体の弱い知紗はよく熱を出し、保育園から呼び出されることが多く、イライラして娘にあたり散らす悪循環の日々。そんな時、津田から連絡が…。実は香奈は秀樹が生きている頃から津田に悩みを話し、いつしか男女の仲になっていたのでした。
何もかもうまくいかず幻覚が見えるようになっていた香奈はある日、真琴に留守番を頼み、おしゃれして津田に会いに行きます。ベッドで愛し合う二人。津田の背中には異様な傷が浮かび上がっていました。
野崎は津田が田原家の仏壇に置いたお護り札が「あれ」を呼び込む呪いの札であることを突き止め、真琴がそれを破いて燃やしました。
帰宅した香奈は真琴に「知紗あげるよ」と言います。そんな香奈たちに再び「あれ」が襲いかかり、真琴が二人をかばい一人ベランダに出ると、ガラス一面に血が…。知紗を抱いて逃げ出した香奈はどこかへ逃げろと野崎に言われるも、頼れるところはどこにもありません。店でオムライスを嬉しそうに食べた知紗を連れ、トイレに入った二人に迫る「なにか」。ドアを破って覗いた「それ」は香奈の母の顔をしていました。「知紗を返せ」香奈は一人、トイレで血まみれになって死にました。
「来る」の結末
真琴は一命を取りとめ病院に。琴子が邪気を祓い、起き上がれるまでに回復します。琴子は野崎に自分がこの事態を正常に戻すと告げ、日本全国から霊能力者を招集しますが一部は見えない何かによって殺されてしまいます。琴子は国家権力をも巻き込んで田原家のあるマンション一帯を封鎖し、大々的な祓いの儀式の準備を進めます。野崎はマンションの掃除を指示されて部屋に入ると、そこには霊媒師・逢坂セツ子(柴田理恵)と秀樹が座っていました。ブログを更新している秀樹の手にナイフを突き立てたセツ子。痛くないのは死んでいるから、と言われ、秀樹は消滅しました。部屋の掃除を終えて儀式の準備が整うと琴子が現れ、野崎はきちんと見届けるべく部屋に残る決意をします。何時間もかけ、何十人もが祈り、踊り、その時を待ちます。
夜になり、琴子は知紗がすべての元凶だとして縛り上げ祓おうとしています。そのたびに苦しそうにゆがむ知紗の顔。野崎は知紗を救おうと、儀式に使う大切な鏡を奪って割ってしまいます。外の舞台は崩れ、次々と人々が倒れていきます。琴子は苦しみながら虫を吐き出します。琴子でさえ心の弱い部分につけ込まれていたのです。渦巻く禍々しい流れから真琴をかばい、野崎に知紗を託してベランダから突き落とした琴子。そのあと部屋の窓から想像もつかないような大量の血が噴き出すのでした。
血だらけのままコンビニで飲み物を買った野崎は、駅のホームで知紗を抱いた真琴と合流します。知紗はやさしい真琴の腕の中でオムライスの国の夢を見ているのでした。
以上、映画「来る」のあらすじと結末でした。
「来る」感想・レビュー
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びっくりするくらいの駄作。
ここまでやりきるとすがすがしいが、出演者の方々も何とも言えない気持ちだったのではないかと思いました。 -
表現するなら「一級品のごちそうレシピを自己アレンジして台無しにした」作品。
公開前にコミカライズを読み、”あれ”が襲ってくるシーンで背筋が凍るほどの恐怖を感じ、さらに後半になって登場人物の陰の一面が別視点から分かっていくのが面白かった。
そんな風に原作の面白さと恐怖を期待しながら映画館に向かったが、見終わった後に感じたのは金と時間を無駄にしたという残念さのみ。
後半もクソもなく、最初から登場人物の悪い面が出されていてイライラし、”あれ”の襲撃もろくに怖くなかった。最後の決戦シーンを凝るばかりで、肝心の『ホラー』がまるで感じられない。
時間制限があるとはいえ、無駄(と思える)シーンも多かった。もっと原作に忠実に再現すればよかったのにと思う残念な作品。原作者やファンにとっては確実に黒歴史だろう。
まだ見ていない人は、これを見ずに原作小説を読むことをお勧めする。 -
妻夫木のチャラパパは良かった
ああいうサイコパスっているもん
私は原作を知らないので見たから
面白かったです -
小松菜奈ちゃんの演技が上手だった。途中まで小松菜奈ちゃんだと気が付かなかった。
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一部で原作信者のアンチコメントが酷いことになっているが映画として充分面白い
原因不明な理不尽な展開こそホラーの王道だが、出演者はみな上手い演技で作品にのめりこませてくれる
原作含めた前情報なしで見るのが一番楽しめると思う
傑作 -
原作を知らずに映画を見て、何じゃこのラスト?と思い原作読んだら超面白い!典型的な実写化失敗例。いや酷い、こりゃ酷い。全然違います。こんなにしなきゃ作れないなら実写化するなよ、って感じ。
ホラー映画ではあるとは思うが、一概にそのジャンルの映画だとは決められないとトーク番組で松たか子さんが仰られていましたがまさにその通りでした。
確かに霊が出てきたり怖いシーンがありますが、観終わって思うのは生きている人間が一番汚くて怖いという事でした。主要な登場人物の殆どがクズみたいな人たちでさすが中島監督だなと思いました。個人的には柴田理恵さんの演技がとても印象に残っています。
ホラー映画が苦手な私も少しビビる場面もありましたが楽しめたので、血が苦手でない人でしたらお勧めの映画です。