草原の椅子の紹介:2013年日本映画。小説家である宮本輝の新聞連載小説を映画化した作品。実際に舞台となるパキスタンのフンザでロケを敢行し、主人公の娘を演じた黒木華は日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。50歳になったことを悲しむ中年のサラリーマンが、母親から虐待を受けた子どもの世話をすることになったことで、人とのつながりや自らの過ちを振り返り、再生していくヒューマンドラマである。
監督:成島出 出演者:佐藤浩市 (遠間憲太郎)、西村雅彦 (富樫重蔵)、吉瀬美智子 (篠原貴志子)、黒木華 (遠間弥生)、小池栄子(喜多川祐未)、AKIRA (鍵山) ほか
映画「草原の椅子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「草原の椅子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
草原の椅子の予告編 動画
映画「草原の椅子」解説
この解説記事には映画「草原の椅子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
草原の椅子のネタバレあらすじ:起
ある日、仕事一筋の遠間憲太郎(佐藤浩市)の元に会社の取引先の富樫重蔵社長(西村雅彦)から電話がかかって来ます。彼は妻との喧嘩により全身灯油だらけになっていました。遠間は仕方なく彼を介抱します。
雨の日、遠間はタクシーに乗っていると、美しい女性が目に入ったため、彼女の後を追って陶器の店に入ります。彼女は篠原貴志子(吉瀬美智子)という女性で、店の店主でした。遠間はそれ以降、その店に通うようになります。
その帰り道、偶然遠間の一人娘の弥生(黒木華)が男性と車に乗ったところを見つけ、後をつけてしまいます。その男性は喜多川圭輔という幼い子どもを育てていました。遠間は、圭輔がかつて母の祐未(小池栄子)から虐待を受けていたことを聞き、さらに圭輔が弥生に懐いたため、弥生が進んで男性を手伝っていたということを知ります。そして男性は出張、弥生は大学ゼミの合宿でしばらく留守にするため、1週間だけ圭輔を預かって欲しいと2人から頼まれるのでした。
草原の椅子のネタバレあらすじ:承
遠間は圭輔に話しかけますが、なかなか口を開いてくれません。困った遠間は離婚した元妻の道代に助言を求めます。彼女は遠間の母の介護に疲れ切っていた頃に、彼が浮気をしていることを知り、他の男を作って出て行ったのでした。遠間は自分の家族のことを何も分かっていなかったのだと思い知ります。そのことを富樫に話すと、連休中に田舎に帰るので圭輔と共に来ないかと誘われました。3人は富樫の実家にお世話になることになります。
富樫の父は身障者のための椅子を手作りする職人で、遠間はその仕事ぶりに触れます。圭輔は次第に遠間と富樫に対して心を開いていくのでした。あくる日、遠間の元に鍵山(AKIRA)という写真家が現れ、初めて出したという自費出版の写真集を渡されます。それは、最後の桃源郷と呼ばれるパキスタンのフンザの人々を収めたもので、遠間は鍵山の生き方を羨ましく思います。
遠間はこの写真集を富樫や篠原に見せます。篠原は写真集に感動し、カメラの購入を検討するために、藤間から富樫を紹介してもらうのでした。3人は写真集を見ながら楽しく語らいます。
草原の椅子のネタバレあらすじ:転
ある日、圭輔を育てていた男性がやって来ます。会社を辞め、トラック運送の仕事を始めるという彼は、その夜勤の間、圭輔の面倒を見てもらえないかと相談します。しかしその後、祐未が再婚することを知り、独身寮に入る決意を固めた男性は、もう圭輔とは暮らせないと言い放ちます。
このままでは圭輔は母の元に連れ戻され、虐待を受けてしまうかもしれないと考えた遠間は、圭輔を24時間の預かり保育に入れ、慣れない家事に悪戦苦闘するのでした。
ある日、喜多川祐未が遠間の会社を訪ねてきて、圭輔と生き直したいと伝えられ、遠間は悩みます。風疹に罹ってしまった遠間の元に、篠原が見舞いにやって来ますが、そこへ祐未が訪ねてきました。彼女は、やはり再婚相手と圭輔は共に暮らせなくなったと言い出したうえ、遠間が風疹にかかっていると知って逆上し、彼に暴力を振るって帰ってしまいます。篠原はその間、怯える圭輔を優しく抱いて守りました。
草原の椅子の結末
そのことを知った弥生は、圭輔を引き取るために大学を休学しようと考えます。遠間も、あの母親と出会ったことから、圭輔を守っていくことを誓いますが、お互いの生活を考えると、それは難しいことでした。遠間は泣く泣く圭輔を施設に入れることに決めます。
遠間は別れる前に、富樫と共にフンザに旅行に行こうと計画します。これを聞いた篠原は、子どものできない体で不妊治療に耐えたつらい経験に今も苦しんでいることを打ち明け、自分も連れて行って欲しいと遠間に頼み込みます。
一行はフンザへ行き、鍵山がかつて出会ったという長老に会いに行きました。長老は圭輔の目を見て「この子は星から生まれた子だ」と言います。次の日、篠原は遠間に、圭輔の新しい母親になりたいと打ち明け、遂に遠間は思いを寄せていた篠原と新しい家族を手に入れるのでした。
以上、映画「草原の椅子」のあらすじと結末でした。
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