映画「記憶にございません！」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
記憶にございません！の紹介：2019年日本映画。舞台演出を経て、いまや日本を代表するコメディ映画監督となった三谷幸喜の長編映画第8作目。史上最低の支持率を記録する、身勝手で横暴な総理大臣・黒田啓介は市民の投石が頭に命中し、記憶を失くしてしまう。首相の記憶喪失で引き起こされる、周囲の官僚、家族、そして日本国全体を巻き込んだドタバタ喜劇。実力派俳優陣のコミカルな演技に注目。
監督：三谷幸喜 出演：中井貴一（黒田啓介）、ディーン・フジオカ（井坂） 、小池栄子（番場）、石田ゆり子（黒田聡子）、斉藤由貴（寿賀）、木村佳乃（スーザン・セントジェームス・ナリカワ）、草刈正雄（鶴丸大悟）、佐藤浩市（古郡裕）、 木村佳乃（スーザン・セントジェームス・ナリカワ）、吉田羊（山西あかね）、田中圭（大関平太郎）、濱田龍臣（黒田篤彦）、ほか
この解説記事には映画「記憶にございません！」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
主人公（中井貴一）は病院のベッドの上で目を覚まします。体に繋がれた管や病室の前のスーツ姿の男達にパニックになった彼は、頭に包帯を巻きパジャマのまま病院を脱走しますが、行く先々で人びとの憎悪にさらされて困惑します。
テレビには、自分そっくりの首相が市民からの投石によって負傷したというニュースが流れており「まさか」とは思いながらも、助けを求めた警官にまで冷たくあしらわれる始末。やがてスーツ姿の屈強な男達に連れて行かれた先は首相官邸。記憶を失くした彼の正体は「史上最悪のダメ総理」 と呼ばれる総理大臣・黒田啓介その人でした。
秘書官に見せられた国会中継の録画映像に写し出された、野党議員に暴言を吐く自分の姿を見て愕然とする気弱な男は、横暴な黒田総理とは別人のようです。首相の記憶喪失という日本を揺るがしかねないこの大問題は、本人と首相秘書官・井坂（ディーン・フジオカ）、事務秘書官・番場のぞみ（小池栄子）だけの秘密として当面の間は処理することになりました。
私邸に戻っても妻・聡子（石田ゆり子）の顔さえ思い出せず、ハウスキーパーに抱きついたり、おかしな行動を取る黒田に、家族は不審の目を向けますが、それ以前に妻も一人息子（濱田龍臣）も元々自分を嫌っていた針のむしろ状態です。家族の問題以外にも黒田の周囲は公私共に問題が山積みであることが徐々に明らかになっていきます。
表面的には黒田を補佐しながらも、権力の座を虎視眈々と狙う官房長官・鶴丸（草刈正雄）と、ボンクラ揃いの閣僚達。その中心にいた黒田は、首相の地位を利用して行く先々で特別サービスを受けて悦に入り、夫人の聡子には冠テレビ番組を持たせ、国民からの支持率が最低なことも納得のダメ総理ぶり。
更に幼なじみの建設業者から賄賂を受け取り、どう考えても無駄な公共事業を無理矢理進めようとしていたこと、国会で黒田の不正を厳しく追及していた野党党首の山西（吉田羊）とは実は不倫関係にあったこと、更に古郡祐（佐藤浩市）と名乗るガラの良くないフリーライターには何で脅されているのかわからないまま、ゆすられているらしいこと…など、次々と明かされる自分の非道っぷりと、立たされている苦しい状況に途方に暮れた黒田でしたが、小学校時代の恩師を招き、密かに政治の勉強に文字通り一から取り組み、問題ひとつひとつに誠実に対処していこうとする黒田に、家族以外の周囲の黒田を見る目は少しずつ変わっていきました。
ドタバタが続く総理の周辺ですが、一方ではアメリカ大統領の来日という大イベントが迫っていました。米国初の日系女性大統領スーザン・ナリカワ（木村佳乃）に対し黒田は、得意のゴルフや自宅で手料理を振る舞う約束をしていたようですが、今の黒田にはそんな記憶もない上に、ゴルフも料理も、ペラペラだったという英語すら全くできない状態です。
何とかこの場を上手く取り繕いたい黒田と井坂や番場達は「何かあったらとりあえず『me too』で！」という、この上なく不安な状態でアメリカ大統領を迎えます。何とか数々の難所を切り抜けた黒田達ですが、夕食後の黒田の忖度の無い発言によって大統領は席を蹴って立ち去ります。
「アメリカを怒らせた黒田は遂に退任だな」と、ほくそ笑む鶴丸でしたが、帰国直前のアメリカ大統領と首相との共同会見の場で大統領の口から出たのは、黒田の率直な姿勢に対する賛辞と、これをきっかけに新たな日米関係を築いていこうという感動的なスピーチでした。
日米外交問題をなんとか乗り切った黒田達はフリーライターの古郡に撮らせたスキャンダル写真で鶴丸を辞任に追い込むことにも成功しました。
全てが良い方向に流れ始めたかに見えた矢先に、首相夫人・聡子と秘書官・井坂の不倫現場のスクープ写真が流出したという一報が官邸を揺るがします。夫との仲が冷えきっていた聡子と、政治家を志しながら叶わず、最低最悪と言われる黒田の下で働く鬱憤を晴らしたい井坂は密かに関係を持ち、その現場を以前、古郡に撮られていたのでした。
辞表を提出してきた井坂を引き留め「君が必要だ」と言う黒田の言葉に、これからは誠心誠意尽くすことを誓う井坂。その裏で聡子は官邸を抜け出し、姿をくらませようとしていました。聡子を取り戻すために黒田は国会中継で聡子に呼び掛けます。聡子は逃亡中に目にした「君を愛してる！」という夫の必死の訴えに、聡子は夫の元へ帰りました。
日本中が見守る中で抱き合う二人。依然、支持率は伸び悩んでいるものの、周囲の信頼と妻の愛情、息子からの「お父さんみたいな政治家になりたい」という言葉を得た黒田。
そんな黒田に秘書官の番場が、黒田の小学校時代の作文を読んで聞かせます。そこには自分の性格をなかなか変えられない悩みと、頭に石が当たって記憶喪失にでもなればもっと素直な自分が出せるのに…という黒田少年の気持ちが綴られていました。
もしかして記憶は戻っていたのか？と言う番場の問いに「国家機密だよ」と言って黒田は微笑むのでした。
以上、映画「記憶にございません！」のあらすじと結末でした。
中井貴一の演技がすごく良くて総理のことをどんどん好きになってしまいます。冒頭辺りに出てくるかつての暴君な総理とは打って変わって下手にでて少し自信なさげな感じが可愛らしくて（笑）まわりを固める俳優側も個性豊かで申し分ないです。
内閣支持率・約2パーセントという前代未聞の総理大臣が記憶を無くし、いちから政治の勉強をして、総理大臣の仕事を全うするという作品です。中井さんの記憶喪失の演技や、石田ゆり子さんの可憐さも魅力です。脇役も濃いキャラクターばかりなので是非皆さんに見て欲しいです。
TV「総理と呼ばないで」の映画版。最低支持率総理、有能な秘書官、婦人の不倫等設定はそのまま。古畑の後で視聴率苦戦したが当時も面白かった。
史上最低の総理が記憶喪失というかなりインパクトがある出だしからの三谷幸喜監督作品らしさふんだんに盛り込まれてて面白かったです。特に怪しい首相秘書官井坂(ディーンフジオカ)と熱い事務秘書官番場(小池栄子)中身のない秘書官補の野々宮やり取りかコミカルで私はとても面白かったです。