旅のおわり世界のはじまりの紹介:2019年日本,ウズベキスタン映画。日本のテレビバラエティ番組のリポーターである葉子は、異郷をさまよい異文化の人々と出会い、新しい世界に自分を開いていく。日本とウズベキスタンが国交を樹立してから25年が経ち、また戦後に抑留された日本人が建設に関わったナヴォイ劇場が完成から70周年を迎えたことを記念した両国の合作映画のために黒沢清監督がオリジナル脚本を執筆。主演は『Seventh Code』、『散歩する侵略者』に続き黒沢監督と組んだ前田敦子。ウズベキスタンの人気俳優アディズ・ラジャボフが見事に日本語の台詞をこなしている。
監督:黒沢清 出演者:前田敦子(藤田葉子)、染谷将太(吉岡)、柄本時生(佐々木)、アディズ・ラジャボフ(テムル)、加瀬亮(岩尾)その他
映画「旅のおわり世界のはじまり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「旅のおわり世界のはじまり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
旅のおわり世界のはじまりの予告編 動画
映画「旅のおわり世界のはじまり」解説
この解説記事には映画「旅のおわり世界のはじまり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
旅のおわり世界のはじまりのネタバレあらすじ:ウズベキスタンに来ています
ウズベキスタンのサマルカンド。ホテルの部屋から出てきた葉子は他の撮影スタッフがいないのでとまどうが、現地の人のバイクに乗せてもらって撮影現場のアイダル湖へ。ベテランのカメラマン岩尾、ディレクターの吉岡、通訳のテムル、ADの佐々木は先に来ていた。バラエティ番組のリポーターを務める葉子はジャージに防水ズボンをはいて下半身まで水に浸かりカメラの前で明るい声を上げる。この国に来た目的は湖に棲む幻の怪魚を探すことだったが、獲物は網にかかってくれない。そして迷信深い漁師は、怪魚が獲れるかどうかは運次第、魚は女の匂いが嫌いだと言うのだった。
しかたなく、サマルカンド市内のチャイハナ(食堂)に移動するが、突然の撮影のせいで薪がないためほとんど火が通っていない名物料理のプロフを、葉子は美味しそうに食べるより他なかった。慣れない異郷の地で葉子をなぐさめてくれるのは収録後ホテルに帰ってする、日本にいる恋人とのLINEでのやりとりだった。
その日、葉子は夕食を求めバザールに行く。言葉が通じない土地で地図をたよりに一人でバスに乗り込む。しかしバザールの喧騒に耐えられない葉子はごく普通の商店で食料を買い込み、見知らぬ街をさまよって、すっかり日が暮れてからホテルに帰る。結局、チャイハナのおばさんがお土産にくれた料理で夕食をすることになる。
旅のおわり世界のはじまりのネタバレあらすじ:本当は何をしたいの?
次の日は最初に街の中の遊園地の絶叫マシーンのリポートを収録するが、湖の漁師が今日は船を出さないと言い出す。葉子は、前日の日暮れに旧市街のはずれで出会った、家の裏庭の柵の中につながれた一匹のヤギを思い出す。そのヤギを草原に開放するというアイデアが採用される。ヤギの飼い主からオクーというその牡ヤギを買い取り、草原につれていって放すのだが、元の飼い主が自動車で現れてヤギを捕まえようとする。葉子たちは撮影ができたのだからもうヤギはいらないだろうというのが彼らの言い分だった。吉岡は例によって金を払って解決して、ヤギは草原に残される。葉子はヤギに、オクー、あなたは本当は何をしたいのと問いかける。
旅のおわり世界のはじまりのネタバレあらすじ:夢のような劇場
一行は首都タシケントに移動。葉子はテムルにスマートフォンで連絡を取っている相手のことをきかれる。東京湾で働く消防士と答える葉子にテムルは日本に帰ったら結婚するのかと尋ねる。葉子はそのつもりであると答えた。
その恋人への絵ハガキを郵便局で出した後、葉子はまた見知らぬ街をさまよう。噴水のところで歌声を聞いた葉子はその方向へ歩む。大きな建物をみつけその中へ入っていく。次々美しい装飾のある部屋を抜けて奥に入っていく。最後に女性歌手が練習をしている部屋に出た。赤い多数の座席。そこは大きな劇場だった。やがてオーケストラピットに楽団が現れ、葉子は舞台に上がっていく。演奏に合わせて葉子は「愛の賛歌」を歌う…そこで葉子は夢から我に返る。警備員にとがめられて座席から立って劇場を後にした。
旅のおわり世界のはじまりのネタバレあらすじ:カメラをもった葉子
翌朝、レストランで葉子は岩尾といっしょになる。葉子はリポーターの仕事は自分の本当にしたいことではないと話す。そして日本に帰ったらオーディションを受けること、オーディションで「愛の賛歌」を歌うことも話すのだった。岩尾は自分も本当はバラエティでなくドキュメンタリーをやりたかっと言う。でも彼は今いいドキュメンタリーが撮れているとも言う。葉子のドキュメンタリーである。
その日は水族館で怪魚を撮影するはずだったが、許可が下りていたはずの撮影が許されない。吉岡は融通が利かず約束を守らないウズベキスタン人について不満をぶちまける。そして番組の素材が全く足りない。テムルは、前日に葉子が迷い込んだナヴォイ劇場の撮影を提案する。ウズベキスタンの各地方を象徴する、劇場の美しい装飾は、かつてシベリアに抑留された日本兵がウズベキスタンに連れてこられて作ったものだった。その故事はテムルが日本について学ぶきっかけでもあった。だが、番組の視聴者の好みと違うという理由で吉岡はその案を却下し、不満な岩尾と言い争いになる。しかし、ただちに和解し、結局バザールを取材することになり、試しに葉子にもカメラをもたせることになった。
ところが、カメラに夢中の葉子は一人でどんどん歩いていき、ネコを追いかけるうちに皆とすっかりはぐれてしまった。そして撮影禁止の建物の前に出てしまい警官たちに呼び止められ、カメラを奪われそうになり逃げるが、肝心のカメラを地下道に置きっぱなしにしてしまう。地上に出て橋の下に隠れているところを逮捕される。
警察にテムルが迎えに来てくれる。警察官から、逃げたのがよくない、そして話し合わなければ知り合うこともできないと言われ、葉子はあやまるより他なかった。カメラもみつかり、ようやく葉子は解放されるが、警察署のテレビは東京湾で大きな火災があり消防士の死者が出ていることを伝える。スマートフォンから恋人に連絡が取れない。取り乱す葉子を吉岡は、日本から情報があったらすぐ教えると言ってホテルに帰らせる。疲れ切った葉子は夜ホテルで恋人からの電話で目を覚まし、彼の無事を知ることになる。
旅のおわり世界のはじまりの結末:愛の賛歌
翌日、岩尾と葉子を残して撮影クルーはいったん日本に帰る。岩尾と葉子は再びアイダル湖に行くがやはり怪魚はつかまらない。漁師は葉子たちに友達が謎の哺乳類を見たという話を紹介する。岩尾、テムル、葉子と現地で雇ったスタッフは漁師の友人に導かれて丘を登る。岩尾たちが外景を撮影する間葉子は一人で丘を登っていく。
やがてヤギの鳴き声を聞き、草原を一匹のヤギが歩くのを見る。あれはオクーだろうか。その時葉子はその丘で「愛の賛歌」を歌うのだった。
以上、映画「旅のおわり世界のはじまり」のあらすじと結末でした。
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