アイヌモシリの紹介:2020年日本,アメリカ,中国映画。アイヌに生まれた中学生カントは、亡き父の友人だったデボから子熊の世話をしてくれと頼まれる。何も知らず世話をしていたカントでしたが、その子熊がイヨマンテの儀式で殺されることを聞いてしまいます。阿寒湖を舞台にアイヌ民族の伝統と文化を見せながら、その中で揺れ動く中学生の心をとらえたドラマです。登場人物のほとんどがアイヌ民族の関係者で占められています。
監督:福永壮志 出演者:下倉幹人(カント)、秋辺デボ(デボ)、下倉絵美(母・エミ)、三浦透子(吉田先生)、リリー・フランキー(岡田記者)ほか
映画「アイヌモシリ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アイヌモシリ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アイヌモシリの予告編 動画
映画「アイヌモシリ」解説
この解説記事には映画「アイヌモシリ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アイヌモシリのネタバレあらすじ:起
阿寒湖中学校に通うカント(下倉幹人)は、吉田先生(三浦透子)の進路指導に母・エミ(下倉絵美)と一緒に出ます。アイヌ文化に触れながら育ったカントは、吉田先生の問いかけに「何も考えていない」と答えます。面談が終わると、母がカントに「アイヌの文化ばかりやらされるので、ここを出たいって言ってたじゃないの」と言いますが、カントは答えません。
カントの家は、アイヌの民芸品を売る店で、父コウジ(結城幸司)はすでに他界し、母が一人で切り盛りしています。その母も、アイヌ文化の伝統を観光客に見せる手伝いなどをしています。一方カントはロックにハマリ、仲間とバンドを組んでボーカルとリードギターをやっています。
森の中で”イヨマンテ”の儀式用に子熊を飼うデボ(秋辺デボ)は、その夜、実行メンバーとの会合に参加します。あくまでも、昔のままのイヨマンテを行い熊を送りたいと意見を言うデボに対し、複数の人が「時代は変わっている。目の前で生き物を殺すのはやめた方がいい。風評というものがある」と反対意見を出します。
ある日、デボはカントに「光の森を抜けたところの洞窟の向こうに、死んだ人が住んでいる村がある、行ってみないか?」と誘います。「伝説なんか今どき無いよ」と言うカントに、デボは「キャンプがてら行ってみよう」と言います。
アイヌモシリのネタバレあらすじ:承
デボはカントにアイヌの伝統や文化を教えながら、洞窟へ向かいます。洞窟へ着くと「この奥に先祖の死者の村があるんだ、見てみろ」と言いますが、カントは見ません。デボはカントに釣りを教えるために川に行きます。
夜はキャンプをし、釣った魚を食べます。デボはカントの父が作ったというナイフを渡し、魚のさばき方を教えます。そしてデボはカントの父との思い出を話します。「お父さんとも来たの?」と聞くカントに「あの時は大きなフクロウがいた」と話します。
翌日は雨になり、雨宿りをしながらデボは、色々な事を教えます。雨が止むとデボはカントを子熊の小屋に連れて行きます。「オレが見せたかったのはこれだ。一緒に飼ってみるか?名前はチビだ」と言います。カントがうなずくと、デボは「このことは誰にも言うなよ。他人が知ったら見に来るから」と言います。翌日からカントはチビに餌を与え始めます。
デボの店に新聞記者の岡田(リリー・フランキー)がやって来ます。岡田は「阿寒でイヨマンテの儀式をやると聞いたんだが?」と尋ねます。デボは「そんな話は無い」と言います。その夜、イヨマンテの実行メンバーとの会合があり、「誰がしゃべったんだ?」と犯人さがしが始まります。リーダーが「誰が言ったかはもういい。参加したい人だけ来てくれればいいんじゃないか?」と言います。するとデボが「みんなでやろう」とつぶやきます。
アイヌモシリのネタバレあらすじ:転
アイヌのロックバンドのヴォーカルであるOKI(オキ)と話す機会を持ったカントは、二人で山の上に登ります。OKIが「ここから見える景色は、昔すべてアイヌモシリと呼ばれてアイヌのものだったんだよ。カントのお父さんとはよく来たものだ。カントも来たか?」と言います。カントは「たまに」と答えます。
カントがチビに餌をやりに行くと、カヨコ婆さんがいます。驚いた様子のカントに、カヨコ婆さんは「みんなで世話をするんだよ、儀式だから」と言います。「儀式って?」とカントが聞くと、「聞いてないのかい?」とカヨコ婆さんが言います。
カントはデボに会いに行きます。デボはすべてを話します。「冬にイヨマンテの儀式をやってチビを送るんだ」と言うデボに、カントは「ダメだよ」と言います。デボは「カントのお父さんもやりたかったんだよ」と言っていなくなります。
デボの店にあったイヨマンテのビデオを持ち帰り、内容を見ます。熊を矢で射ぬいて殺すシーンがあり、途中で止めてしまいます。すっかり落ち込み、寝るだけのカントでしたが、外ではまりも祭りが始まっています。多くの観光客が押し寄せ、家の前を行列が通ります。
夜の懇親会に、母がカントを無理やり連れて行きます。カントが「アイヌの事も何もかもやめようかな」と言うと、母は「カントの人生だから好きにすればいい」と言います。懇親会で食事をしていたカントが、酒に酔ったデボを見つけます。カントは会場を飛び出し家に行くと、たくさんある鍵を取り、森へと向かいます。
アイヌモシリの結末
カントはチビを逃がそうと鍵を差し込みますが、どれも合わずチビを逃がすことが出来ませんでした。
冬になり、イヨマンテの準備が始まります。当日、デボがカントを誘いに来ます。カントは部屋の引き戸を開かないようにして無視します。カントは部屋でイヨマンテのビデオを見はじめます。それと同時進行で、イヨマンテの儀式が始まります。そしてカントが熊を射抜いて殺すシーンを見た時、デボがチビを射抜いて殺したのでした。
カントは走って洞窟に向かいます。洞窟の中に雪を何度も投げつけ先祖への怒りをぶつけます。振り返ると死んだ父が立っています。本当に死者の村があったのでした。カントは父に抱きつきます。
カントはイヨマンテの儀式に向かいますが、すでに殺されたチビは運ばれていました。屋内の儀式場へ入ると、チビの首だけがありカントの目を見つめています。カントはそのまま眠りこんでしまいます。
デボの「チビを送る時間だ」の声に目覚めたカントは、森へついて行きます。そしてデボが木の間から空に向かって矢を射ぬき、チビは送られたのでした。カントは何かすっきりした気分になります。
翌朝、カントはいつも通り朝食を食べ、父の遺影を見て学校へ向かいます。途中、チビが送られた木の間を見ると、大きなフクロウがとまっていました。
以上、映画「アイヌモシリ」のあらすじと結末でした。
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