こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話の紹介:2018年日本映画。幼いころから筋ジストロフィーで首と手しか動かせない鹿野が自ら自立して生活するためにボランティアを募る。そこで多くのボランティアと関わっていくなかで介護される側と介護する側ではなく、人間同士対等に向き合う関係になっていく。鹿野を通してボランティアの人達も自らの気持ちを発信することで鹿野とぶつかり合いながらも色々な経験をし、お互いに人間的に成長していく。笑いあり涙ありのヒューマンドキュメンタリー映画です。渡辺一史著「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」を映画化。
監督:前田哲 出演:大泉洋(鹿野靖明)、高畑充希(安堂美咲)、三浦春馬(田中久)、萩原聖人(高村大助)、渡辺真起子(前木貴子)、宇野祥平(塚田心平)、韓英恵(泉芳恵)、宮澤秀羽(島田亘)、矢野聖人(城之内充)、大友律(大沢)、中田クルミ(加奈)、古川琴音(由美)、竜雷太(鹿野清)、綾戸智恵(鹿野光枝)、佐藤浩市(田中猛)、原田美枝子(野原博子)、ほか
映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話の予告編 動画
映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」解説
この解説記事には映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話のネタバレあらすじ:起
1994年、34歳の鹿野靖明(大泉洋)は筋ジストロフィーのため今は手と首しか動かない。ところが病院嫌いのため自らボランティアを募り、アパートの一室を借りて自立生活を始めます。
鹿野は重度の障がいを抱えるため、24時間必ず誰かの介護がないと生きることができないのです。いつも大勢のボランティアに囲まれ、自分の好きなことをして言いたいことを言って楽しく過ごしています。
ボランティアも様々な人がいて、初心者からベテランまで性格も性別も様々です。実家が病院を経営している真面目な医学生の田中久(三浦春馬)もその中の一人です。医学生との合コンで田中と知り合った安堂美咲(高畑充希)は最近、なかなか時間がとれない恋人の田中の浮気を疑い、そっと後をついていきます。
この日もそこには鹿野のボランティア達が大勢集まっていました。ところが、突然用事ができたと要領のいいボランティアは口実を見つけて帰ってしまい、田中が夜中の当番になります。そして鹿野が美咲をボランティアと勘違いしてしまい、二人で一晩中、鹿野の世話をすることになってしまいます。
ワインを飲んで一晩中話す鹿野だが、だんだん美咲は眠くなり、うとうとしてしまう。時計を見ると夜中の2時になっていた。突然、鹿野が「バナナが食べたい」と言った。田中は「えっ?」と思ったが、いつもこんな調子で鹿野に振り回されている。
そして田中はこの日もバナナを買いに行こうとするが、美咲がそれを見て自分が行くと言って夜中に全力で走ってバナナを買いに行く。しかし、今と違って当時はコンビニもなくスーパーに行っても24時間営業していることもなく、個人商店も閉まっていて、何軒も周ってやっと一本のバナナを見つけてアパートに帰ってきます。そんな美咲に鹿野はバナナを食べ終わると「もう一本」と言うのだった。
翌日、あきれ果てた美咲は頭に来て「何様のつもり?障がい者ならなんでも許されるわけ?もう辞めます。」と言って怒って帰ってしまいます。ところが鹿野は美咲が気に入ったようで田中に代筆を頼み、デートの申し込みをします。田中も優柔不断なところがあり、美咲が自分の恋人だと言うこともできずに代筆を引き受けてしまいます。
美咲はもちろん断ろうとします。美咲はどうしてそこまでして田中がボランティアをしているのか理解できずに詰め寄ります。田中はただひたすら美咲に一緒に行こうと頼みます。そして美咲はまたボランティアを引き受けてしまいます。
こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話のネタバレあらすじ:承
美咲はジンギスカンパーティーに参加します。そこで鹿野とボランティア数人で楽しく過ごします。鹿野のボランティア達のことを「鹿ボラ」と呼んでいます。みんなで一緒に食事をしながら鹿野は「自分の夢は英検二級に合格することやアメリカに行くことだ」と話します。
食事の途中で生演奏が始まり、みんなで一緒に踊り出しました。ところが鹿野の様子がおかしいことに気づいた美咲はトイレに連れていくことに。ところが野外のトイレを見つけたものの、さらにまた向こうが身障者用のトイレとなっていて、急いで車イスを押して行ったが結局は間に合わなかった。
他のボランティアの仲間が着替えを準備してくれていたので、なんとか着替えることができたが、少し鹿野は落ち込んでいた。そこで美咲は自分の受験の時の間に合わなかった失敗談を話して二人で笑いあった。
鹿野は当時、筋ジストロフィーの人が一人で自立生活をするのはとても珍しいことだったので、マスコミにも注目されていて、家に取材に来る記者もいた。また、シンポジウムも頼まれていました。鹿野は車イスでシンポジウムに参加して、駅のエレベーターが障がい者達の声から実現したこと、今はベビーカーや足の不自由な人も当たり前のように利用できるようになったことも発表していました。
田中は美咲とも順調に付き合うようになっていた。美咲もデートの日には手作りの弁当を持参して二人で楽しく過ごしていた。そこで田中は来週の日曜日には親にも会って欲しいことを話します。ところが美咲は教育学部というのは嘘だと話します。
田中は親に会わせることをためらい、自分が医学生だったから合コンに来てただけだったのかとショックを受けます。美咲は、教育学部ではないが学校の先生になりかったのは本当のこと、今度の日曜日は無かったことにしてほしいと言って帰ってしまう。それから二人は気まずくなり、お互いにボランティアは続けていたが時間をずらしたりしてお互いを避けるようになった。
そんな頃、美咲は田中のこととは言わずに鹿野に、嘘をついて後ろめたいことを話すと「嘘を本当にすればいい」と言われる。いつの間にか美咲は鹿野には本当の自分を出すことができるようになっていた。その後美咲はフリーターだったのだが本気で教員を目指して勉強を始めるようになった。
お正月には鹿ボラの人達と一緒に近くの神社に行きました。いつも鹿ボラの人達は鹿野の家族のように一緒に行動していました。いろんな話をしていると結婚歴もあるとのことでした。また鹿野の本棚にエロ本を見つけたときは、美咲はエッチができるのかどうかまで聞くようになっていました。
少しずつ鹿野と美咲はお互いに惹かれ合うようになっていました。たまに鹿野の母親が鹿ボラの人達に手作りのいなり寿司を持参して来ることもあるのですが、顔を見るなり「出ていけ、くそばばあ」と素っ気ない態度をとるのでした。
こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話のネタバレあらすじ:転
ある日、鹿野が倒れました。鹿野の両親や鹿ボラの人達も心配して病院に集まりました。鹿野の母親は自分が辛いときにこの子を連れて一緒に死のうと言った時に、「生きたい」と励ましてくれたことをみんなに話し、ものすごく生きたい気持ちの強い子だからこの子は死なないと言いました。
本当に死ぬのではないかと心配する周囲でしたが鹿野は目を覚ましました。そこで「何がしたいの?」と聞くと「女の人の胸を触りたい」と言って一同を笑わせました。ただ、生き返ったものの呼吸器を付けないと生きていけなくなりました。
呼吸器を付けると声が出なくなる。鹿野は自分の気持ちを声だけでしか表現できないので、呼吸器を付けるとそれさえも不可能になる。そこで美咲は知り合いから人工呼吸器をつけたままでも声を出すことができるという情報を聞き出して、主治医に黙って鹿ボラの人達でやってみることにします。
少しずつ練習していくと、半年でしゃべれるようになりました。ところがその事が主治医にばれてしまい、言うことが聞けないなら面倒を看きれないと言われます。田中はそれを見て、鹿野さんが鹿野さんらしく生きるためにもなんとかできないかと思い、自分の病院に連れて帰って面倒を看ようと思い、父に相談します。
父ははじめはボランティアばかりする田中に難色を示したが、初めて自分の強い気持ちを伝えて許してもらうことができた。鹿野は田中に感謝して彼の病院に入院して過ごします。ところが、また調子が悪くなり倒れてしまいます。今度はさすがに再び田中の病院にお世話になるのもはばかられ、元の病院に戻ることに。
そんな中で田中は自分の無力さを感じたり、理想と現実のギャップに悩むようになり、「医学部を辞めようと思う」と美咲に告げます。また、鹿ボラも辞めると鹿野に電話します。ところが、鹿野は大学にまでやって来て「正直に生きてるか?」と田中に聞きます。田中は「正直がそんなにいいことなんですか?もう、振り回すのはやめてください。」と言って鹿野の前から立ち去ります。
入院してからしばらくすると、鹿野はまた自宅に戻りたくなってきます。しかし、退院するとなると今度は呼吸器の痰をとる人手も必要なため、さらにまた多くのボランティアを募集しました。また、痰の取り方の勉強会も開催しました。
いよいよ退院できることになり、退院パーティーを開催しました。パーティーでは鹿ボラの人達は僕の家族だと言い、みんなのいる前で美咲にプロポーズします。ところが美咲は「気になる人がいます。ごめんなさい。」と言い、鹿野のプロポーズを断ります。結局、田中と三咲の距離はそのままで時間が過ぎていきました。
こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話の結末
鹿野は元気に過ごしてはいたものの、主治医からは鹿ボラの人達に「今のうちに好きなことをさせてあげて」と言われるようになっていました。
鹿野は鹿ボラの人達と北海道の美瑛に旅行に行きました。田中も三咲も不参加でしたが旅行は楽しく、二人がいなくても十分楽しんでいました。ところが車イスから転倒してしまい病院に搬送されてしまいました。
田中と美咲にも連絡があり、二人はあわてて駆けつけるのですが、行ってみると大したことはなく、それは鹿野が二人を仲直りさせるきっかけ作りとなったのでした。鹿野は退院パーティーの件から二人のことを色々考えていたようでした。
鹿野は田中に「なぜ二人が付き合っていることを始めに言わなかったのか?」と聞いていました。そこに美咲が入ってきて三人で色々話しているうちに、三咲と田中はお互いに自分の心に正直になっていきました。そして、田中は再び医者を目指して、美咲は教員を目指すことにします。
しばらくして鹿野は英検二級合格もアメリカ行きも叶わないまま、あの世に旅立ちました。
7年後、田中と美咲は結婚し、田中は地域に根差した医療をするため、親の跡を継いで医者になりました。そして、美咲は小学校の教員になっていました。
鹿野が母親に残した手紙には「お母さん、僕をこんな体に生んだことを自分で責めるのはやめて下さい。お母さんにも自分のための時間を作って欲しい」と綴られていました。
たくさんの人が鹿野のボランティアとして助けていましたが、実際は、自分が鹿野を助けているのではなく自分が鹿野に助けられていたということに気づくのだった。
以上、映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」のあらすじと結末でした。
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