お父さんと伊藤さんの紹介：2016年日本映画。20歳年上の伊藤さんと同棲する34歳フリーターの彩。自由気ままな暮らしを楽しむ二人ですが、ある日彩の父が部屋に転がり込んできます。娘とその恋人、娘の父という微妙な関係の三人が繰り広げる共同生活をユーモアとペーソスを込めて描いたヒューマンドラマです。
監督：タナダユキ 出演者：上野樹里（山中彩）、リリー・フランキー（伊藤康昭）、長谷川朝晴（山中潔）、安藤聖（山中理々子）、渡辺えり（小枝子）、藤竜也（お父さん）、ほか
映画「お父さんと伊藤さん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「お父さんと伊藤さん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
お父さんと伊藤さんの予告編 動画
映画「お父さんと伊藤さん」解説
この解説記事には映画「お父さんと伊藤さん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
お父さんと伊藤さんのネタバレあらすじ：起
34歳の山中彩はコンビニのバイトで知り合った20歳年上の伊藤さんとなんとなく付き合い始め、同棲することになりました。二人は少し広いアパートへ引っ越し、庭で野菜などを育てながらのんびりと暮らしています。現在彩は本屋で働き、伊藤さんは近くの小学校で給食のおじさんとして働いています。ある日兄の潔から呼び出された彩は74歳になる父をしばらく預かってもらえないかと頼まれてしまいます。潔の子供達のお受験が終わるまでだと兄は言いますが、父と兄嫁の理々子との間に何かあったようです。彩は無理だと突っぱねますが、家へ帰ってみると父が家に上がり込んでおり、しばらく厄介になると言い出します。こうして彩と伊藤さん、父との奇妙な共同生活が始まります。40年間小学校の教員をしていた父は頑固で気難しい昔気質の男性です。父は彩の作る料理にいちいちケチをつけ、フリーターの伊藤さんの素性について詮索し始めます。彩は伊藤さんがバツイチであることなどを話しますが、娘の将来が心配でたまらない父は彩に考えが足りないなどとついお説教をしてしまいます。伊藤さんは父に何かと気を使ってくれますが、彩は口うるさい父が疎ましく、つい冷たい態度を取ってしまうのでした。彩は父が大事にしている小さな段ボール箱の中身が気になってしかたありません。父の外出中何度も開けてしまおうかという欲求に駆られますが、伊藤さんに止められます。
お父さんと伊藤さんのネタバレあらすじ：承
ある日彩の勤める本屋に叔母の小枝子と兄嫁の理々子が訪ねてきます。理々子は彩に父を押し付けてしまったことに深く罪悪感を感じている様子で何度も謝り続けます。そこにちょうど帰宅途中の父が通りかかります。理々子は父の顔を見るや否や拒絶反応を起こすかのように激しく嗚咽し始めます。明らかに理々子から嫌われている父には何か重大な秘密があるのではないかと彩は考え始めます。そして毎日どこかへ出かけていく父を尾行してみることにしました。しかし父の一日の行動はスーパー巡りに、図書館での読書とごく平凡なものでした。日暮れ時になると父は小学校のそばのベンチに一人腰掛け、いつまでもその場を動こうとしません。寂しげな父の背中を見ていると彩は無性に悲しい気持ちになってしまいます。彩は伊藤さんと父と三人で遊びに行く計画を立てます。三人はボーリングに行きますが、ストライクを出しまくる伊藤さんに対して、父はガーターを連発してしまいます。拗ねた父は帰ると言い出しますが、伊藤さんは帰る前に寄りたい場所があると言い出します。三人はネジを買うためにホームセンターにやってきますが、父は工具や園芸など多方面において博識な伊藤さんに一目置くようになります。父はこの日伊藤さんに勧められてビワの植木を買います。
お父さんと伊藤さんのネタバレあらすじ：転
季節は秋。ある日仕事を終えた彩のもとに父が警察に呼び出されたという知らせが入ります。慌てて駆け付けると父がバスで暴れる男を取り押さえたと警官から知らされ、彩は何事もなかったことに安堵します。しかし遅れて現れた小枝子はまたやったのかと何故か父をきつく叱り始めます。実は父には万引き癖があり、小枝子は父がまた犯罪を起こしたと思い込んでいたのです。父が万引きの常習犯だと知った彩は愕然とします。潔によればスプーンやフォークなどを万引きを繰り返しながらも、本人は覚えていないようだといいます。潔は父が認知症などの病気なのではないかと心配し、理々子も父の万引きを自分のせいだと思い込み、心身を病んでしまったのでした。彩が家へ帰ってくるとしばらく出かけるという書き置きを残し、父は姿を消してしまいます。途方に暮れてしまう彩でしたが、伊藤さんが知人に頼み、携帯の電波から父の居場所を突き止めてくれました。父が生まれ故郷の近くにいると知り、彩と潔、伊藤さんの三人は父の元へと向かいます。父の生家に着くと、ちょうど父がスーパーから帰宅したところでした。彩と潔は東京に帰ろうと言いますが、父はここで暮らすことに決めたと言って譲りません。彩は家族に心配をかけてばかりの父を自分勝手だと責めますが、父も厄介払いをしたのはそっちのほうだと怒り出します。さらに父は伊藤さんに一緒にここに住まないかと驚きの提案をします。しかし伊藤さんはその誘いを断り、三人でよく話し合うようにと言い残して一旦帰っていきます。
お父さんと伊藤さんの結末
その夜三人は久しぶりに親子水入らずで過ごしましたが、次の日になっても結論は出ませんでした、戻ってきた伊藤さんはとりあえず東京の家に帰ってこの先について考えようと提案し、父も同意します。しかし外では雷雨が激しさを増したかと思うと、雷が大きな音を立てて近くに落ちます。窓を開ければ落雷した庭の柿の木が勢いよく燃えています。さらに火は家にまで燃え移り、周辺は瞬く間に炎に包まれていきます。家に飛び込んだ父は小さな段ボール箱を持ちだそうとしますが、あやまって箱をひっくり返してしまいます。中から飛び出してきたのは帯びたたしい数のスプーンでした。結局家は全焼し、父は手に大きな火傷を負ってしまいます。その後彩の自宅に戻ってきた父ですが、すっかり元気をなくし、引きこもる生活が続いていきます。それでも教え子の女性達が父を見舞いにやってくると、父は気丈に振舞い、女性達は優しい娘に世話してもらって先生は幸せ者だと話し始めます。彩は父を鬱陶しがってきた自分が情けなく涙が止まらなくなってしまうのでした。伊藤さんは少し田舎に大きな家を借り、父と三人で暮らさないかと彩に提案します。しかしその後父は介護付き有料老人ホームに入ることに決めたと彩達に伝えます。彩と伊藤さんは突然の報告に戸惑いますが、父はもう契約を済ましてきたと言います。翌日父は伊藤さんにビワの木の世話と彩のことを頼み、家を出ていきます。伊藤さんは父の背中を見送る彩の頭をなでながら、俺は逃げないからぽつりと呟きます。彩は父を追いかけ、走り始めます。雨が降ってきましたが、角を曲がると前を歩く父の小さな背中が見えてくるのでした。
「お父さんと伊藤さん」感想・レビュー
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親子の関係は、本当にお互いのことを分かり、大事に思うことで充分で一緒に暮らすより迷惑をかけないことが大事だと思わせてくれるいい映画でした。これからは、きっといい親子関係が伊藤さんを交えて形成されていくのでしょうね。私も私に中身が似ている娘たちとのいい関係を築いていけそうな気持ちになれました。
この藤竜也演じるお父さんが本当にやっかいで、癖から仕草から老害？？ってくらい見ててイライラさせてくれるほど好演！娘の恋人役・リリーフランキーは物腰は柔らかくお父さんを凄く大切にしてくれるんだけどちゃんと見るとこは見てる実は意外に闇ありそうな感じがこれまた良かった。
家族ってこんな感じかなぁ～と最後には思わせてくれる作品でした。