阪急電車 片道15分の奇跡の紹介:2011年日本映画。兵庫県宝塚市の阪急宝塚駅から西宮北口駅(西宮市)までの、15分間の短い区間を往復する電車に乗り降りする人々のそれぞれのエピソードや、人間模様にスポットを当てた、人情ドラマ作品です。
監督:三宅喜重 出演:中谷美紀(高瀬翔子)、戸田恵梨香(森岡ミサ)、南果歩(伊藤康江)、谷村美月(権田原美帆)、宮本信子(萩原時江)、有村架純(門田悦子)、芦田愛菜(萩原亜美)、勝地涼、玉山鉄二、鈴木亮平、大杉漣ほか
映画「阪急電車 片道15分の奇跡」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「阪急電車 片道15分の奇跡」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
阪急電車 片道15分の奇跡の予告編 動画
映画「阪急電車 片道15分の奇跡」解説
この解説記事には映画「阪急電車 片道15分の奇跡」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
阪急電車 片道15分の奇跡のネタバレあらすじ:起
32歳OLの高瀬翔子(中谷美紀)は、同僚の彼氏との結婚準備をすすめている中にもかかわらず、彼氏が後輩を妊娠させてしまいます。結婚を破棄したいと言われ、三年も付き合ってきた彼氏の身勝手な言い分に、翔子はブちぎれます。会社に入って仕事も友達もできない後輩の面倒を見てきたにもかかわらず、裏切られる形となってしまった翔子。彼氏からは「翔子に自分は必要ない」とまで言われ、しばらく黙っていた翔子は、披露宴に自分を招待する条件で承知しました。
結婚式当日、彼氏と後輩に対する復讐のため、翔子は純白のウエディングドレスの姿で出席。式場ではウエディングドレスで出席する翔子は、好奇の目で見られます。何も知らずに式場に入ってきた新郎の彼氏と新婦の後輩は、翔子を見て唖然とした表情を浮かべ、翔子は復讐ができたことに満足していました。その後に退席を求められ、引き出物をもって電車で一人帰る翔子。
翔子と同じ電車に乗っていた時江(宮本信子)は、夫を亡くし一人で暮らし。孫の萩原亜美(芦田愛菜)の母が出かけるときは、孫の面倒を見ています。日頃から電車で携帯をいじる大人たちのマナーの悪さに、時江はがっかりしていました。
ウエディングドレス姿で涙を流す翔子を見て、不思議がる亜美。時江はウェディングドレスに引き出物を持った翔子の事情を察して、亜美を黙らせた後、翔子に話しかけます。「話せば楽になる」と言われ、翔子は洗いざらいすべてを告白しました。その心意気を称え、涙の止まらない翔子を次の駅で下車して少し休むように勧める時江。小林駅で降りた翔子は、時江の言葉で自信を取り戻し、服を着替えて気持ち新たに進みだすことを決めたのでした。
翔子が降りた後、亜美から犬を飼うようすすめられる時江ですが、絶対に犬は飼わないと決めていました。時江が若い頃、実家に挨拶に来た夫が犬に噛まれ、それ以来夫は犬が苦手になってしまいました。そんなことを時江が思い出していると、カツヤ(小柳友)の怒鳴り声が聞こえます。
阪急電車 片道15分の奇跡のネタバレあらすじ:承
21歳の大学生・ミサ(戸田恵梨香)は、同じ大学に通う恋人のカツヤ(小柳友)がいます。いつもカツヤの言動に怯え、暴力も受けているミサ。家政婦のようにカツヤの家に通い掃除などの家事をしているミサは、同棲をしようと持ち掛けます。しかし機嫌の悪くしたカツヤはミサにお菓子の袋を投げつけ怒鳴り、家を出ていってしまいます。
後日、同棲する物件を探しに行く途中の電車の中で、カツヤはミサからバカにされたと思い、怒って暴力を振るおうとします。急に大きな声を出された亜美は泣いてしまい、カツヤはそのまま次の駅で電車を降りてしまいます。追いかけてカツヤをとめたミサは突き飛ばされてしまい、その様子を見ていた時江はミサに「くだらない男ね」と言い、絆創膏を怪我した膝に貼ってやりました。そして泣き続ける亜美に時江は、「自分の意志で涙を止められる女になりなさい」と忠告し、それを聞いたミサは、彼氏と別れる決心をします。しかしいざメールを送ろうとしても、踏みとどまってしまうミサ。結局メールできずに、次に来た電車に乗り込みました。
同じ電車には18歳の悦子(有村架純)たち高校生が乗っており、悦子は社会人の恋人・竜太(玉山鉄二)の話を始めます。竜太は悦子が大学に受かるまで、初体験はお預けという約束をまじめに守る優しい青年です。
同じ電車に乗っていた関西学院大学生の19歳・小坂圭一(勝地涼)は、軍事オタクで服装も目立ちます。しかも方言が強く、イメージが合わないので同級生に受け入れられず、いつも一人で過ごしていました。一方、同じ大学の権田原美帆(谷村美月)も方言のせいで、コンプレックスを感じていました。そんな二人が偶然、電車から見えたヘリコプターを見て言葉を交わします。思いきって自己紹介する圭一ですが、美帆は自分の名前を名乗ろうとしません。美帆は自分の名字である「権田原(ごんだわら)」の名前で馬鹿にされることが多く、なかなか自分の名前を言い出せませんでした。勇気を出してそのことを告白した美帆と圭一は、すぐに意気投合します。
阪急電車 片道15分の奇跡のネタバレあらすじ:転
電車の中で悦子が恋人の話を楽しそうにする様子を見て、カツヤに別れのメールを送るミサ。カツヤの部屋に行き、荷物をまとめて出ていこうとしますが、彼氏は別れ話に納得せず、アパートまで押しかけて怒鳴り続けます。ミサは女友達の兄にカツヤと別れられるように仲介してもらい、カツヤは迫力に負けて、渋々承諾。こうしてようやくミサは、自分らしい生活を見つけました。
そんなある日の三月、康江(南果歩)は奥様たちとランチに行く途中でした。伊藤康江は42歳の主婦で、夫と息子との三人暮らしです。慎ましい生活を送る康江ですが、元PTAでのメンバーからこの日もランチの誘いを受けていました。高価なランチを断ろうとする康江ですが、いつも断り切れずにいました。そんな康江に、夫と息子は「付き合いなのだから行ってきては?」とやさしく声を掛けます。他の奥様方は康江より生活に余裕があり、会食は高級レストランが多く、負担がかかります。それでも康江は我慢してお付き合いを続けていました。自分は豪華な中華を食べているのに、夫は自分の作るチャーハンが美味しいと言ってくれたことを思い出し、電車の中で奥様たちの会話を聞いていて、ストレスで胃痛を起こす康江。その様子を見ていたミサは康江に付き添って下車します。胃薬を飲もうとする康江に水を渡すミサ。以前の自分を見ているようで、ミサは康江に価値観の違うやつらと付き合う必要はないと話します。康江は自分の思いを理解してくれた言葉を聞いて、気持ちが楽になりました。
阪急電車 片道15分の奇跡の結末
一方、子供の頃からのあこがれである関西学院大学を第一志望に受験勉強に励んでいた悦子ですが、担任からは難しいと言われ落ち込む悦子。悦子は関西学院大学をあきらめ、やけになり、竜太をホテルに誘います。竜太は「やけっぱちな悦子と初体験したくない」とはっきり断ります。自分がどんなに真剣に悦子のことを思っているかを熱く語り、悦子も竜太の気持ちに心打たれて思っていることを打ち明けました。自信の無いこと、兄弟にお金がかかることなどの不安を打ち明けた悦子に、竜太はその気持ちを理解して元気づけてくれました。悦子は大学前で学生の圭一と美帆に「受験勉強に苦労しましたか?」と質問し、二人ともめちゃめちゃ勉強したことを聞き、安心します。
そんな圭一と美帆は、恋人同士になっていました。クリスマスの日に初めて結ばれた二人は、ラブラブです。
時江から忠告された通り、会社を辞めて再就職した翔子。住まいもあの時、途中下車した小林駅周辺に住んでいます。ある時小学生の女の子が、他の女の子たちにいじめられている所を目撃します。いじめられた少女を慰める翔子は、自分のことを話しました。女の子に「今は幸せですか?」と質問された翔子は戸惑いますが、「絶対に幸せになる」と微笑みます。「綺麗な女は損するように出来ている」と慰め、女の子もそれを聞いて明るい顔になりました。
康江が降りてからも電車の中では、あのPTAの奥様たちが周囲の迷惑も気にせず大声で話しています。時江が注意すると、「嫌味なバアさんだ」と言い返して、時江の怒りを買います。時江は「私を怒らせてしまいましたね」と、迫力ある説教を始め「いい大人が恥ずかしいと思いなさい!」と叱りつけます。終点の宝塚駅に着くと、電車から逃げるように去っていく奥様たち。その様子を見ていた美帆と圭一は、時江に拍手をおくるのでした。
以上、映画「阪急電車 片道15分の奇跡」のあらすじと結末でした。
「阪急電車 片道15分の奇跡」感想・レビュー
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「電車」というありふれた場所の中で、人々がどんな思いをしながら毎日生きているのだろう。
この映画を見て、はじめて電車に乗った時、この車両に乗っている人全員に深くて甘くて悲しくて、でも素敵なエピソードがあるんだろうな、と思いました。
日常に近い場所だからこそ、深く心に染み入ってくる映画なのではないかと思います。
中谷美紀の討ち入りや、戸田恵梨香の彼氏との決別、南果歩の葛藤など、一人ひとりの心の中が丁寧に表現されていて、まるで誰かの心の中を覗き見しているかのような不思議な気持ちになりました。 -
阪急電車を利用する女性たち+男性1人の物語を描いたオムニバス的な映画です。何度見ても面白いですし、何度見ても泣いてしまいます。自分の人生のステージで感情移入する場面や人が違ったりと毎回違う発見があります。一期一会の知らない人とのやりとりや言葉って、知り合いより、本音だったり、真に迫っている感じで勇気づけられたり、人生が変わるものだと、自分の人生でもそう思います。特に好きなのは花嫁さんのエピソード。男性から見ると怖いかもしれませんが、女性目線だと共感できます。同じ経験はないけれど、仕返しをするのは自分が針のむしろになったり傷ついたり、辛いこと。それなのに仕返しをした彼女はケリをつけたというか、侍のようでかっこよかったです。日本中がこの阪急電車みたいに温かくなればいいなぁと思いました。
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テレビ放映された時に録画し、何回か見ております。定年退職までの大部分は、阪急電車で通勤しました。京都線がメインですが、西宮北口も宝塚も甲東園もよく行きましたので、赤茶色の車輌と発車音のチャイムは懐かしいです。
この物語の主人公は、何と言っても、萩原時江(宮本信子)だと思います。おせっかいであるが、「人一人は大切なり」を地で行く生き様です。この時江に勇気をもらった翔子とミサは、次に少女や康江を勇気づけるところに人生の機微を感じました。秀作です。ありがとうございました。 -
阪急今津線という西宮・宝塚を走るニッチな路線のお話。最近この沿線に引っ越してきたので満を持してみたら馴染みの景色に豪華キャストが重なっているストーリーにめちゃくちゃ見入ってしまいました。
中谷美紀、戸田恵梨香が美しく目立ちますが、私がこの映画でいいなあと思った3人は、時江役・宮本信子、けいすけ役・勝地涼、えつこ役・有村架純。そして特別賞はやはり芦田愛菜さん。今でも聡明な学生さんっていう感じですが、この頃の天才具合も改めてすごいです。 -
後半でオバサンたちがランチに行くにしては太陽が西に傾いていたことと、康江さんが電車を降りた後でオバサンたちは西宮北口方面にランチに行っていたはずだが、いつの間にか宝塚駅に着いてしまったのが分からなかった。また兵庫県のオバサンも大阪のオバサンに負けず劣らずガラが悪いことと、小林聖心の小学生の女の子が意地が悪いことが分かった。
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それなりに味のある映画でした。邦画はなかなか良いのがないので直のこと。
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BSプレミアで視聴しました。
中谷美紀のマウントの取り方が凄い、あれでは相手が誰でも圧倒されるわ。
戸田恵梨香もスカーレットの時より数段良かった。
驚いたのは子役の高須瑠香ちゃん、どこかで見たと思ったらカーネーションのチビ奈津やんか、同級生に意地悪されて泣いた後で中谷に「綺麗な女は損をするのよ」と言われて表情が変わったのが可愛かった。
自分は関東人だがこういった関西系の映画は大好きだ。
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面白い
ここのシーンが!と言った所が逆にないのがこの映画の良さなのかもしれません。
何度見ても飽きない不思議さを持っていて、内容はとてもシンプルなのにも関わらず何故か何度も求めてしまう作品です。
実際にこの電車に乗って通勤通学をする人は馴染みがあり余計好きになれます。
何も残らないシンプルな作品だからこそ生かされています。