劇場版 SPEC~天~ 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿の紹介:2012年日本映画。特殊能力・SPECを持った犯人たちに、警視庁公安部の特別捜査官たちが立ち向かっていく姿を、ユーモアを交えつつもシリアスに描いたTVドラマの劇場版です。キャッチコピーは「真実を疑え。」「未来を掴め。」で、新たなSPECを持った強敵が出現し、更にスケールアップしたバトルを繰り広げるクライムサスペンスドラマです。
監督:堤幸彦 出演:戸田恵梨香(当麻紗綾)、加瀬亮(瀬文焚流)、福田沙紀(志村美鈴)、でんでん(市柳賢蔵)、岡田浩暉(馬場香)、松澤一之(鹿浜歩)、載寧龍二(猪俣宗次)、有村架純(正汽雅)、麿赤兒(似内晶)、三浦貴大(宮野珠紀)、利重剛(福富薫)、伊藤淳史(伊藤淳史)、栗山千明(青池里子)、浅野ゆう子(マダム陽)、神木隆之介(一十一)、椎名桔平(津田助広)、竜雷太(野々村光太郎)、ほか
映画「劇場版 SPEC~天~」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「劇場版 SPEC~天~」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
劇場版SPEC天の予告編 動画
映画「劇場版 SPEC~天~」解説
この解説記事には映画「劇場版 SPEC~天~」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:1.ファティマ第3の預言
1917年7月17日、ポルトガルの小さな町ファティマで、聖母マリアが公衆の面前に出現し、三人の羊飼いの子供たちに「預言」を託しました。これが有名な「ファティマの預言」です。三部からなるこの預言「第一」「第二」は恐るべきことに、その後の世界情勢を正確に言い当ててしまいました。すなわち、第一次世界大戦の終焉、そして第二次世界大戦の勃発、その後のソ連の台頭と東西の軍事的政治的対立です。世界は残る「第三の預言」に注目しました。しかし、なぜか「第三の預言」はバチカンによって長らく厳重に秘匿されていました。
ところが1981年5月13日、バチカンは教皇ヨハネ・パウロ2世が狙撃された事件を指して、「この事件こそ、ファティマ第三の預言であり、ファティマの預言は、これで全て実現された」との見解を発表しました。無論、狙撃事件自体は小さな出来事ではありませんが、「第一」「第二」と出来事の文脈があまりにも、かけ離れており、また、預言を授かった羊飼いの子供の一人が「神の罰ではなく、正しい道への導きである」と述べたこと、別のバチカン関係者が「人類の絶滅、核戦争、あるいは宗教戦争などというような生易しいものではない。第三の預言は黙示録であり、人類がかつて遭遇したことのない残酷なものである」という証言を残していることなどから、バチカンが公開している「第三の預言」はごく一部であり、一番重要な核心は隠蔽されているという指摘が出てきました。そこには果たして何が書かれていたのでしょうか。我々人類は、今、その預言の刻を迎えたのでした。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:2.スペックホルダー
2014年11月3日、海岸でひとり、正汽雅は刑事・野々村光太郎からの手紙を読んでいました。それは野々村から雅へ「君は生き延びて、真実を必ず歴史に残して欲しい」という遺言状でした。野々村が指揮していた警視庁公安部公安第五課・未詳事件特別対策係は、特殊能力者(スペックホルダー)の犯罪を秘密裏に取り締まる部署です。当時、100万人に1人の割合で何らかの特殊能力(スペック)を持つ人間が確認されていました。そしてその割合は急速に増加をしていました。そのスペックの種類は多岐に渡り、スペックホルダーたちはその才能を買われ、様々な国や世界的大資本がその争奪戦を繰り広げていました。そして、スペックホルダー同士の血で血を洗う戦いが激化していましたが、それは序章でしか過ぎませんでした。遂に、スペックホルダーたちの暴走が始まろうとしていたのでした。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:3.「シンプルプラン」
2012年8月30日、都内某所で日本国家を陰で操る賢人会議である「御前会議」が開かれていました。御前会議では「シンプルプラン」の進行についての話し合いがなされていました。その中の紅一点がある危惧を呈しました。「謎の事が多すぎるわ。ファティマ第三の預言に出てくる白い教皇はともかく、左手に火の剣を持つ天使とは何を指すのか…」と。
そして2012年9月、海上に漂流していたクルーザー内で、乗客全員が謎の変死体で発見されるという怪事件が起きました。この事件資料を似内晶警視総監と福富薫内閣情報官が、直々に未詳に持ち込んで来ました。明らかに様子がおかしい二人は突如、「シンプルプランを辞めないと、みんなこうして殺しちゃうわよ。…私たちが世界のサブコードを支配する」と挑発、警告してきました。似内と福富は、体制に反抗するこの事件の犯人であるスペックホルダーに一時的に憑依されていたのでした。この事件の被害者たちは、かつて殺された未詳の仲間・吉川と同じミイラ化状態でした。未詳の刑事・当麻紗綾と瀬文焚流は、早速この事件の捜査に向かいました。共に聞いていた野々村と公安特務機構最高指揮官第24代総警・津田助広も覚悟を決め、スペックホルダーとの戦いを決意したのでした。
ミイラ化死体事件の捜査のため、現場となったクルーザーに向かった当麻と瀬文は、そこで「シンプルプラン」がスペックホルダーだけを皆殺しにする計画だと知りました。その捜査中、瀬文にスペックホルダーの一人・志村美鈴から助けを求める電話がかかってきました。美鈴は何者かに追われているそうでした。当麻と瀬文は美鈴のもとに駆けつけました。そこで2人は内閣情報調査室(CIRO)特務班の2人と遭遇しました。その特務班の1人は、瀬文の元カノ・青池里子でした。思わぬ再会に瀬文と青池は驚きました。青池は美人でアメリカのSEALs出身でSIT(特殊捜査班)の元訓練教官でしたが、相変わらず変な日本語を使っていました。青池と宮野珠紀は、御前会議の「シンプルプラン」を偶然知ったと思われる美鈴を取り調べますが、美鈴は何も答えませんでした。そんな美鈴の身柄を未詳が保護することにしました。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:4.生きていた弟
未詳で美鈴を預かった紗綾の前に、突如、死んだはずの弟・陽太が現れました。死者を蘇らせるスペックを左手に持つ紗綾は、驚きました。時を止めるスペックを持った陽太は、ニノマエジュンイチと名を改め、「シンプルプラン」を遂行しようとする国家権力サイドに対抗するため、スペックホルダーを集めた自らの組織を作り世界を支配しようとしていました。陽太は姉・当麻のスペックを「その気になれば、世界を簡単に変えられる最強のスペック」と評し、当麻を自分の組織へと誘ってきました。「僕はもう自分しか信じない。逆らうようなら、姉ちゃんだって殺す」と脅す陽太には、当麻が知る弟・陽太の面影はありませんでした。当麻は「私はどっち側でもない。人は人。人の道を外そうとしているのが、この国なら命を懸けて戦う。人の道を外そうというなら、私が全力であんたを潰す」と、陽太の誘いを断固拒否しました。姉・紗綾の返事を聞いた陽太は、以前からスカウトしていた美鈴を連れ去りました。美鈴はその去り際、当麻に「ファティマ第三の予言は絶対に阻止して」と訴えました。
当麻のスカウトに失敗したニノマエは、肉体の形状を自由に操れるスペックを持つ伊藤淳史と共に、その夜、偽御前会議のメンバーたちを全員殺害しました。伊藤はスペックで一瞬のうちに、自らの手を幾本の針状態にして、メンバーたちを串刺しにして殺しました。その一連の犯行をニノマエたちはビデオに撮り、その死体はご丁寧にもミイラ処理して、警視庁に犯行声明として送りつけてきました。そして、ニノマエは不敵にも、近日中に全員を抹殺すると犯行予告までしてきました。
これを受け、警視庁は直ちに対ニノマエ対抗部隊として津田助広指揮官の下「特殊能力者統合対策本部」を設置しました。任務は「生死を問わず、ニノマエたちを全員逮捕せよ。超法規的処置も認める」というものでした。当麻は津田に「裁判にもかけずに殺せというのか」と噛みつきましたが、津田は「これはテロだ」と一喝しました。そして、青池はニノマエが当麻の実の弟であり、当麻にはスパイの可能性があると津田に報告しました。しかし、津田はそれを意に介しませんでした。その会議中、モニターにニノマエがライブ中継で割り込んできました。ニノマエは似内警視総監と青池の娘・潤(瀬文は潤が自分と青池の子ではないかと疑う)を人質に取り、子猫を殺して、対策本部を脅しました。津田は当麻や青池たちを外し、ニノマエたちが立て籠もる御前会議の会場へと向かいました。
当麻は監視役の野々村と宮野を眠らせ、青池と共に潤の救出に向かおうとしました。その前に、当麻は敵のスペックに対抗するため、特殊な武器が必要だと考え、これまでの疑問点を洗い出し、IQ200の頭脳をフル回転させ対抗する武器を考案し、愛用の真っ赤なキャリーバッグにそれを仕込みました。そして当麻と青池は密かに、ニノマエたちのもとへ急行しました。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:5.刑事魂
対策チームは、ニノマエたちがいると思われる御前会議の会場を急襲しましたが、逆にマダムヤンのスペックに苦戦を強いられました。マダムヤンは瞬間冷凍するスペックで、マダムインは高温の炎のスペックで乗り込んできた瀬文に重傷を負わせますが、応援に駆けつけた当麻と青池によって、倒されてしまいました。それを監視モニターで観ていたアジトのニノマエは伊藤をけしかけ、チームを窮地に追い込みました。青池は当麻を庇い重傷を負ってしまい、窮地に追い込まれた当麻は突然、封印していた左手のスペックが暴走を始め、死者を蘇らせようとしました。暴走する当麻を何とか瀬文が押さえつけ、当麻のスペックは封印されました。
態勢を立て直すために何とか撤収した当麻の携帯に、美鈴から電話がかかってきました。その美鈴の声は弱々しい声で、最期にニノマエたちの居場所を知らせるものでした。美鈴の最期の声の向こうから微かに銃声が聞こえました。それは美鈴の死を意味していました。それを聞いた瀬文は怒り狂いました。両足に重傷を負いながらも「俺の痛覚は赤チンと心頭滅却で完全に封印した」言い張る瀬文に、当麻は「冷静に」と促しました。当麻は自分のプランで最後のアジト急襲をするように、津田に進言しました。津田はそれを了承しました。画して最後の急襲は当麻のプランで決行することになりました。
しかし、当麻はスペックに対して複雑な思いと葛藤に苛まれていました。「進化の終着駅がスペックホルダーなら、私たちがしようとしていることはこの星の意思に反しているのではないか。スッペクホルダーだって人間だ」と。そんな思いを抱く当麻に瀬文は「スペックは私欲の産物だ。そんなの進化じゃねえ。いずれ我執に落ちるだけだ」と一喝しました。すると当麻の封印されていた左手のスペックが再び暴走を始め、彼女を苦しめました。当麻の左手のスペックは彼女の意思を越えて動こうとしていたのでした。そのタダならぬ様子に気付いた瀬文はついに当麻に銃を向けました。当麻は暴走するスペックを押さえようとしながら、瀬文に向かって銃を乱射しました。その弾丸は瀬文の両頬をかすめましたが、瀬文は引き金を引きませんでした。正気に戻った当麻は瀬文に「なぜ撃ち殺してくれなかったんですか」と目に涙を溜めて問うと、瀬文は「俺にお前は撃てない。刑事失格だ」と呟き、うなだれました。その時「いや、立派な刑事だよ」という声がしました。そこには野々村刑事がいました。野々宮は二人に自らの想いを説きました。「我々が成すべき事は、歴史を正しく導く事だ。生きて細やかな一死を歴史のために賭す。それが公務員の大儀だ。いつかは歴史という法廷で裁かれる時が来るだろう。しかし今だけは歴史を誤った方向に進めてならない。それが刑事魂だ」と。そして、当麻に野々村は諭しました。「君のスペックは神でも悪魔でもなりえる最も危険な能力だ。だからこそ、君自身の資質が最も問われる。真実を見極める力だ。真実を見極められないから迷う。迷うから亡者に憑りつかれる。だからこそ、心臓が息の根を止めるまで、真実を求めてひた走れ」と。
劇場版SPEC天のネタバレあらすじ:6.想いをかけた決戦
翌朝、当麻の作戦に基づき、チームは再度、人質救出とニノマエたちを壊滅させるべく、アジトを急襲しました。警視長官の救出には成功したものの、突入した津田の部隊は、ループ親父のスペックで苦戦を強いられました。このままでは全滅すると踏んだ津田は、自爆攻撃で屋敷ごとニノマエたちを木っ端微塵に爆破しました。突入しようとしていた当麻、樽に入って応援に来た瀬文もその爆破に巻き込まれました。
津田の命を賭した爆破も虚しく、ニノマエと伊藤は健在でした。その前に、何とか一命を取り留めた当麻と瀬文が対峙しました。不敵に尚も組織に入るよう誘ってくるニノマエに、当麻は「スペックを使って何かを得ても、それは本当の幸せには繋がらない。本当の幸せとは、懸命に頑張って、壁にぶつかり、人に裏切られながらも、いつか本当に大事な仲間に出会い、本当の愛に包まれていくことだよ」と諭しました。しかしニノマエは聞く耳は持っていませんでした。当麻はニノマエが実の弟・陽太のクローンである事を暴き、スーツケースに仕掛けた彼と伊藤に用の罠を炸裂させました。この作戦は見事に成功し、ニノマエと伊藤を倒す事ができました。当麻はニノマエの亡骸を前に「貴方を作った者が、本当の敵だ。絶対にこの手でぶっ潰してやるからな」と、真の敵を葬る事を誓いました。
当麻を庇った瀬文は瀕死の重傷を負ってしまいました。ICUで虫の息の瀬文は当麻に「進化より大切なものがある。それは人の想いだ。お前の抱えている痛み・想いはお前だけのものじゃない。俺も抱えて生きていく。お前がスッペクホルダーでも、俺にとってお前はお前だ。それは俺にとって変わらん。それが俺の想いだ」と呟きました。そう呟くと瀬文は息を引き取りました。当麻が泣き叫ぶと、なんと瀬文が息を吹き返しました。二人は一生、お互いを巻き込み合うことを誓いました。瀬文は大きな鼾をかいて眠りにつきました。
その病院の屋上では、ニノマエのクローン4人が現われ、再び新たな活動をしようとしていました。しかし、そんな彼らを見た白い服の謎の青年・セカイは彼らの存在を、左手をかざしただけで消去してしまいました。そして、セカイは潤を連れて、どこかに消え去って行きました。
劇場版SPEC天の結末:7.命ある限り
そして正汽雅は、野々村からの「ファティマ第三の予言」に関する遺言のような手紙を読んでいました。野々村は「預言は預言だ。私は未来を信じている。なぜなら、命ある限り全ては変えられるからだ。命とは希望の光だ。だから生きろ。何があっても生きる事を諦めるな」と綴っていました。雅は涙を流しながらそれを読みました。そして月日が加速度的に進み、その雅の姿の後ろには、荒野と化してしまった東京が広がっていました。
場面は切り替わり、当麻と瀬文が登場します。「起、承、転」と瀬文が言うと、「結をやると思ったら大間違いだぞ!」と当麻が眼を飛ばして言いました。すると瀬文がおもむろに背中から「欠」と書かれた紙を出し、「欠(ケツ)でいいか」と言い、幕は閉じます。
specシリーズはドラマの初期のころから見ていますが、シリーズ完結となる今回の映画では、歴代スペックホルダーが集結し豪華に感じました。また、specは伏線回収がかなりこの映画は3回見ましたが、最後まで伏線の意味が分からないところ(敢えてそうしてるのかもしれないが)あり、全編見てきた私からしても難しい内容だと感じました。しかし、最後に明らかになる点も多いので私としてはかなり楽しめました。