返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すの紹介:2018年日本映画。民主党政権下の時代に、沖縄返還に関する機密資料が公開され、沖縄返還に尽力した外務省の千葉一夫という職員の存在がわかりました。この作品は千葉一夫が、沖縄返還の為、アメリカとの交渉に粘り強く挑み、日本の要求をほぼのませた姿をリアルに再現したドラマです。元々NHKで放映されたものですが、新たな映像を加え、劇場用に再編集された映画です。
監督:柳川強 出演者:井浦新(千葉一夫)、戸田菜穂 (千葉惠子)、尾美としのり(石野文男)、中島歩(倉持昌幸)、佐野史郎(西條公彦)、大杉漣(植田啓三)、石橋蓮司(屋良朝苗)ほか
映画「返還交渉人 いつか沖縄を取り戻す」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「返還交渉人 いつか沖縄を取り戻す」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すの予告編 動画
映画「返還交渉人 いつか沖縄を取り戻す」解説
この解説記事には映画「返還交渉人 いつか沖縄を取り戻す」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すのネタバレあらすじ:起
1945年アメリカ軍が沖縄を攻撃しました。この攻撃命令を傍受した日本軍の通信士官の千葉(井浦新)は、ただ聞き流すことしかできませんでした。その後、日本の全面降伏により、沖縄はアメリカの統治下となり、その発表記者会見を聞いた千葉は、妻の惠子(戸田菜穂)の目の前で猛烈に抗議しますが、報道官から無視されます。この時、千葉は「沖縄を日本に取り戻す」と惠子の前で誓いました。
1965年、佐藤総理が戦後初めて沖縄に降り立ち「1970年までには沖縄を日本に返還する道筋をつける」と約束します。外務省の北米局長の西條が職員の前で沖縄返還までの交渉について説明がありました。この場で倉持は「核廃棄、米軍基地縮小が目標です」と話すと、ベテラン職員たちは「理想論だけじゃダメだ」と苦言を呈します。すると千葉は「理想を持たないで、交渉は出来るのか」と反論します。最終的に西条は「核なし、基地縮小で進めよう」と締めくくりました。
このころ沖縄の嘉手納基地近くの住宅地にB52が墜落します。千葉は米軍に猛抗議をする一方、西条には「B52がベトナム戦争に飛び立っているのをやめさせましょう」と提案します。同時に沖縄市民のB52排除に向けた抗議活動が始まっていました。
返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すのネタバレあらすじ:承
植田大使が、西条と千葉に会いに来ます。そして「市民のB52排除運動をやめさせてくれ」と言います。千葉が「あなたはどこの大使ですか」と言い返すと、植田は「戦争を放棄した日本を守ってくれるのはアメリカであり米軍基地だ」と説明します。すると千葉は「正々堂々とアメリカと交渉をする、沖縄島民を国民を欺いてはダメだ!」と言い返します。
沖縄主席の屋良と会った千葉は「口に出したことを実行しない人は、こちらでは嘘つき呼ばわりされ非難される」と忠告します。千葉は沖縄各地を回り、島民に会い話を聞きました。そこにはアメリカが島民の土地と水源を取り上げ、広い土地に豪華な家を建て、水を目いっぱい使う光景がありました。一方島民の飲み水の地下水は、オイルが混じり、使用できない状態でした。
ワシントンに向かった千葉と倉持は、親交のあったスペンサー特使に根回しをして交渉の席に着きます。千葉は交渉スケジュールと、日本側の核なし、基地縮小の要望を伝えますが、アメリカは激しく抵抗し「そんな要求はのめない」と突き返します。その後スケジュール通りの交渉は実行されたが、アメリカ側から「核なしを認め、基地縮小も認める代わりに爆撃機は自由に飛ばせるように密約しろ」と言われますが、千葉は断りました。
返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すのネタバレあらすじ:転
植田がやってきて「密約を受けて、アメリカをたててやれ」と相談にきますが、千葉は受けませんでした。東京でスペンサーに会った千葉は、日本の要求は全て受け入れないという回答書を渡されます。落ち込んだ千葉は弱気になりますが、惠子が励ますと千葉は、しつこいくらいスペンサーを待ち伏せして説得を続けます。
屋良は千葉を酒に誘います。屋良は沖縄島民の苦しみを黙々と千葉に話します。1972年アメリカと沖縄返還の調停が結ばれました。核なし、基地縮小、爆撃機の自由出撃は認めないの3つは受け入れられ、代わりに緊急時は核持ち込み可能が加えられ、基地縮小もわずかでした。
千葉は「これからの仕事は基地縮小だ」だと惠子に話し、スペンサー夫妻を東京の団地内の自宅に呼びます。狭い部屋で惠子の料理で接待しながら「こんな狭い部屋に大勢の人が来たら困ります」と沖縄の米軍基地を揶揄します。理解したスペンサーは「沖縄の話はしないはずだ」と機嫌を損ねます。
進展しない基地縮小にいら立つ千葉でしたが、沖縄では米軍基地撤去に向けた市民運動が暴動並みに拡大していました。しかしアメリカは本土の基地を縮小し、その分の兵士を沖縄に投入するという想定外の案を西条に出していました。これを知った千葉は西条に文句を言いに行きますが、部屋には時期局長の石野がいました。西条は局長から外れることになっていたのでした。
返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻すの結末
千葉は石野に自分の考えをぶつけ沖縄に飛びましたが、主席室にはアメリカ兵の増員の話を聞いた市民団体が来ていて、屋良と千葉は激しい抗議を受けます。
西条の退任と石野の着任慰労会をする料亭で、スペンサーと石野、植田が密談しているのを見た千葉は愕然とします。その後の千葉は酒に溺れる毎日が続きました。惠子は千葉の両親の位牌を前にして「こんな情けない姿をご両親に見せるのですか」と叱責します。
再びやる気を出した千葉でしたが、石野に呼ばれモスクワ転勤を命じられます。職務は総務で現場から外されました。千葉は沖縄に飛び、屋良に会うと「残り少ない在任中に出来ることはやります」と言います。屋良は「次の人がやってくれますよ、自分の仕事を次の人に託すのも貴方の仕事です」と言います。そして屋良は、主席室の壁にあった大きな絵画を千葉に笑顔で渡します。千葉は「主席の笑顔を始めて見ました」と言います。
やがて沖縄は日本に返還され、定年退職した千葉は惠子を連れ沖縄に降り立ちます。米軍基地は以前のままで、一つの家族がフェンスの前で墓参りの義をやっていました。話を聞くと「お墓は基地の中だから、毎年ここでやっている」と言います。千葉は「基地の中に入れるように局長に会ってくる」と言います。そして惠子に「取り戻すのが僕の仕事だ」と言って歩きはじめました。
以上、映画「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」のあらすじと結末でした。
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