羊と鋼の森の紹介:2017年日本映画。2016年本屋大賞を受賞した、宮下奈都の同名ベストセラー作品を、映画『orange』以来となる山崎賢人と橋本光二郎監督とのタッグで映画化したヒューマンドラマです。ピアノ調律師を目指す青年が周りの人間関係を経て成長する姿を描いています。
監督:橋本光二郎 出演者:山崎賢人(外村直樹)、鈴木亮平(柳伸二)、上白石萌音(佐倉和音)、上白石萌歌(佐倉由仁)、光石研(秋野匡史)、三浦友和(板鳥宗一郎)ほか
映画「羊と鋼の森」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「羊と鋼の森」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
羊と鋼の森の予告編 動画
映画「羊と鋼の森」解説
この解説記事には映画「羊と鋼の森」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
羊と鋼の森のネタバレあらすじ:起
将来に対して、特にこれといった夢を持ち合わせていなかった高校生・外村直樹(山崎賢人)。そんなある日、外村の学校にベテランのピアノ調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)がやってきました。板鳥の調律したピアノの音を聴いた外村は、生まれ故郷である北海道の豊かな自然が浮かび上がっていました。
上質の“羊”毛で作られたフェルトのハンマーが“鋼”のピアノ線を叩くことによって生まれる世界。そこに“森”を感じた外村は、まさにこれこそ自分の生きる道だと確信。家族を説得すると、高校を出るとともに東京の専門学校で調律師の資格を習得、北海道に戻って板鳥の働く『江藤楽器店』への就職を果たしました。
羊と鋼の森のネタバレあらすじ:承
まだまだ調律師の世界においては右も左もわからない外村は、先輩調律師の柳伸二(鈴木亮平)のもとで見習いとしてキャリアをスタートさせ、様々なピアノとその持ち主のもとを回っていきました。外村は柳や板鳥、元ピアニストで耳の良い秋野匡史(光石研)たちのもとで学んでいきました。
そんなある日、外村は柳に付き添って、天才ピアニスト姉妹の佐倉家へ調律に出向きました。姉の和音(上白石萌音)は努力型、妹の由仁(上白石萌歌)は天才型とピアニストとしてのタイプは異なっており、求める音色も異なっていることから、外村はもちろん柳ですら調律には苦労させられました。
そんな時、柳は恋人の濱野絵里(仲里依紗)にプロポーズするため席を外し、外村がひとりで調律することになりましたが、上手くいきません。それでもひたむきにピアノを愛し、楽しむかのように音色を奏で続ける姉妹の姿に、外村も感銘を受けていました。
羊と鋼の森のネタバレあらすじ:転
外村はその後も気難しいジャズバーの店主・上条(城田優)や、無口で気怠そうな青年・南(森永悠希)の、長年放置されていたピアノの調律に携わっていきました。
そんな中、ピアノコンテストに参加していた佐倉由仁が突然ピアノを弾けなくなるというトラブルが発生しました。外村は、意識的に調律を和音に合わせたせいだと自分を責めました。更には由仁が弾かなくなったことで後ろめたさを感じた和音までもがピアノに触れなくなっていきました。
そんなある日、外村は祖母の訃報を聞き、葬儀のため一旦故郷に帰省しました。外村は弟の雅樹(佐野勇斗)から「おばあちゃんは、兄は森で迷っても必ず一人で帰って来ると言っていた」と聞き、森を歩いているうちに、雨の音や木の葉のざわめきなど自然の音にピアノの音色を重ね合わせていました。
羊と鋼の森の結末
ある日、板鳥はドイツからコンサートのために来日した大物ピアニストの使用するピアノの調律に指名され、その様子を見学した外村は心が震える思いがしました。コンサートの会場には由仁がいましたが、和音の姿はありませんでした。
そんなある日、楽器店の前に来たものの中に入れないでいた和音を見た柳は、彼女に助け舟を出すことにしました。柳は婚約者・濱野絵里との結婚披露宴で和音にピアノを弾いてもらうことにし、その調律を外村に頼みました。外村は和音のためにと引き受け、和音は将来プロのピアニストになるという情熱を取り戻していきました。
そして由仁は姉・和音を支えるために調律師になると決意しました。外村は披露宴会場の特性を踏まえて見事に調律を成し遂げ、板鳥も外村の成長を讃えました。自信をつけた外村はいつか大きなコンサートで調律できるようになることを誓いました。
以上、映画「羊と鋼の森」のあらすじと結末でした。
私は原作の小説を先に読んでから映画を観ました。
ピアノの音に森といった自然を感じるシーンのみずみずしい描写や、外村の調律に対する情熱や考え、双子の音色の違いなど、原作の静かだけど独特な雰囲気を細かく再現していて、原作が好きな身としては嬉しい限りでした。
外村役の山崎賢人をはじめ、板鳥さんや柳さんといった先輩を演じる役者さんの演技が素晴らしく、原作を尊重しつつ、映像で魅せる映画でしか引き出せない味を出していました。
唯一不満なのが、秋野さんの出番が原作よりも少なかったことです。秋野さんは原作で、見守る存在である板鳥さんたちと異なる形で外村に影響を与えていて印象が強かっただけに、映画でもそこをしっかり描写してほしかったです。
それ以外は、どこを取っても文句の付け所のない良作で、原作を読んだ方もそうでない方も是非観てほしい映画です。