一度も撃ってませんの紹介:2019年日本映画。『エルネスト』などの阪本順治監督と『行きずりの街』などの脚本家・丸山昇一がタッグを組み、本作が19年ぶりの主演作となる石橋蓮司を主演に迎えたハードボイルド・コメディです。巷で噂の伝説のヒットマン。しかしその正体は売れない小説家であり、一度も人を撃ったことのない彼はハードボイルド小説を書くために本物の殺し屋と組んでいたのですが…。
監督:阪本順治 出演者:石橋蓮司(市川進/御前零児)、大楠道代(市川弥生)、岸部一徳(石田和行)、桃井かおり(玉淀ひかる)、佐藤浩市(児玉道夫)、豊川悦司(周雄)、江口洋介(守山秀平)、妻夫木聡(今西友也)、新崎人生(ポパイ/南雲雄平)、井上真央(福原歌留多)、柄本明(連城孝志)、寛一郎(五木要)、前田亜季(中道亜美)、渋川清彦(西浜雄大)、小野武彦(若山得安)、柄本佑(植田順)、濱田マリ(王陽)、堀部圭亮(鹿内雪広)、原田麻由(長谷部待子)ほか
映画「一度も撃ってません」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「一度も撃ってません」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
一度も撃ってませんの予告編 動画
映画「一度も撃ってません」解説
この解説記事には映画「一度も撃ってません」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
一度も撃ってませんのネタバレあらすじ:起
とある立体駐車場に週刊誌記者の鹿内智広(堀部圭亮)が車を停めました。鹿内は車中で何者かに金絡みの電話をしていましたが、しきりに自分の後をつけている様子のバイクを警戒していました。やがて車を降りた鹿内はバイクが何事もなく走り去ったのを見て安心しましたが、その直後に突如現れたレインコートの男がサイレンサー付きの銃で鹿内を射殺しました。男は現場をスマホで撮影するとすぐにその場から立ち去りました…。
御年74歳になる市川進(石橋蓮司)は“御前零児”のペンネームで活動する鳴かず飛ばす売れない小説家です。市川は学校教員の妻・弥生(大楠道代)との二人暮らしであり、生活費は自らの年金と弥生の稼ぎを当てにしていました。市川は殺し屋を題材にしたハードボイルド小説「サイレントキラー」を執筆していましたが、どの出版社からも採用される見通しはありませんでした。
市川は弥生が出勤した後、書斎に一人きりで籠り、誰も侵入しないことを確認してから執筆に取り掛かりました。そして市川は引き出しから鹿内殺害に使われたものと同じ型の拳銃を取り出し、その質感を確かめながら執筆を続けていました。
市川は原稿を出版社「光文社」に持ち込んでいました。そこでは新人発掘を担当する五木要(寛一郎)が上司で市川の担当編集者・児玉道夫(佐藤浩市)に若き新人を推薦していました。その新人の小説のタイトルは「サイレントリバー」であり、それは市川が持ち込んできた「サイレントキラー」とタイトルが酷似していました。
一度も撃ってませんのネタバレあらすじ:承
夜になると、市川は弥生には行き先を告げることなく、トレンチコートに黒いハット、サングラス姿で夜の街に繰り出しました。市川はとあるバーで旧友のヤメ検エリート・石田和行(岸部一徳)と落ち合いました。このバーでは石田の娘・中道亜美(前田亜季)がバーテンダーをしていました。
その後、バーを出た市川は、旧知の仲である裏通りのガンショップの店主・梶井が亡くなったことを知りました。地元住民の間では、梶井は“サイレントキラー”に殺されたのではないかという噂が立っていました。
その頃、“ポパイ”こと南雲雄平(新崎人生)がマスターを務める裏通りのバー「Y」では、児玉と五木が酒を飲みながら市川の小説について語り合っていました。児玉は五木に、自分が定年を迎えたら市川の担当を引き継ぐよう頼みました。
ここ20年、東京では未解決の殺人事件や自殺・事故に見せかけた他殺などが20件ほど多発しており、それらの手口はいずれも市川の「サイレントキラー」で描かれている殺害シーンの描写と酷似していました。児玉は描写があまりにもリアルなことから、市川こそが一連の事件の真犯人なのではないかとふと考えていました。
やがて「Y」には石田、続いて市川がやってきました。児玉は五木を市川に紹介しましたが、五木は躊躇なく市川の作品を陳列だと酷評しました。石田はこの店に張り込んでいた刑事と何やら話をしていました。その直後、刑事はバー内で薬の売人・植田順(柄本佑)を取り押さえました。一時バー内は騒然としましたが、すぐに落ち着きを取り戻しました。
程なくして、「Y」には市川の旧友である常連客の元ミュージカル女優・玉淀ひかる(桃井かおり)が来店しました。他の常連客はひかるがサービスで歌ってくれた歌に大喜びしました。やがて児玉や五木、他の常連客たちも帰っていき、午前0時を迎えた頃には「Y」に残っているのは市川、石田、ひかる、ポパイだけとなりました。
その後、帰路に就いた市川は、石田からUSBメモリを受け取り、「できれば自殺に見せかけてほしい。期限は1週間、報酬はいつもと同じ」という依頼を受けました。
一度も撃ってませんのネタバレあらすじ:転
翌朝。市川は何食わぬ顔で朝食を摂っていました。弥生は市川が書いている小説の内容について尋ねてきましたが、市川は際どい描写があるからと頑なに拒みました。そして弥生がいつものように出勤した後、市川は昨晩石田から受け取ったUSBメモリから次の標的のデータを見ました。
実は市川は小説のリアリティにこだわるあまり“伝説のヒットマン”に成りすましており、石田から密かに“殺し”の依頼を受けては本物の殺し屋・今西友也(妻夫木聡)に実際の仕事を頼み、その暗殺の状況を確認しては小説に反映させていたのです。
次の標的は、表の顔は投資コンサルタント、真の姿は顧客から出資金をふんだくる詐欺師の守山秀平(江口洋介)でした。市川は守山の実態を探るために彼が主催するセミナーに参加し、その後は守山のマンションに張り込みをかけました。更に市川はひかるにも協力を求め、ひかるは“守山の詐欺に引っかかって自殺した息子の母”を装って守山に接近しました。
守山の態度を観察していた市川は、守山は「もうこの世には要らない」と判断、そこから今西の出番となりました。今西は消防士に成りすまして守山の部屋のベランダから侵入、手際よく守山を射殺するとその手に拳銃を握らせ、現場の写真を撮るとすぐに姿を消しました。
翌日、市川は今西と待ち合わせをし、今西から守山殺害に使ったのと同型の拳銃と現場の写真データを受け取りました。その際、今西は市川から当時の状況を訊かれ、「前の時は歯の奥が痛かった。神経に来たのかと思った。今度は終わった時、女のことを考えた」と答えました。市川は今西が通う心療内科の病院に向かい、看護師の女・福原歌留多(井上真央)を観察すると、これらのことも自らの小説に反映させていきました。
しかし、只のネタ集めをしていたはずの市川にも最大の危機が訪れようとしていました。ある日、石田は中国系のヒットマン・周雄(豊川悦司)に命を狙われました。石田は市川に何とかしてほしいと泣きつき、市川は周雄の素性について調べることにしました。現在50歳の周雄はかつて中国海軍の特殊部隊に在籍していた経歴があり、除隊後に上海マフィアを経て今では東京連合会の舎弟となっていました。
一度も撃ってませんの結末
市川は何とか石田の危機を救おうと動いていましたが、今度は自分自身が弥生に浮気を疑われてしまいました。弥生は市川がかねてから不審な行動を取っていることを怪しんでおり、市川が夜の街で一体何をしているのか独自に探ることにしました。
その頃、市川は周雄がよく出没する中華料理店に向かいました。そこでは東京連合会の組長・連城孝志(柄本明)が周雄に指示を出していました。どうやら連城は“サイレントキラー”を誘き寄せるために石田を利用しようとしているようです。
市川は今西のアジトに向かいましたが、今西は不在でした。市川は仕方なく今西が隠し持っている拳銃を持ち出すと、今西が飲んでいる居酒屋へと向かいました。泥酔した今西は自分はすっかり歌留多に惚れ込んでしまったことを明かし、彼女を守るために殺しの世界から足を洗うと言い出しました。
その頃、弥生は「Y」に来ていました。弥生はひかるが市川の浮気相手だと勘違いして詰め寄りました。ひかるがのらりくらりと否定していた時、「Y」に周雄が現れました。周雄は市川を探しており、不穏な空気を感じ取った常連客たちは次々と逃げ出していきました。
やがて「Y」に市川が現れました。店内にはポパイ、ひかる、弥生、そして周雄しかいませんでした。直感で“サイレントキラー”の正体が市川であることを見抜いていた周雄は市川に銃を向け、市川も今西の銃を周雄に向けて対峙しました。しかし、二人とも銃を向け合うだけで何もせず、ポパイは周雄に「撃てない奴はすぐ分かる。お前、人を撃ったことがないだろう」と銃を向けました。実は周雄も市川同様に一度も人を撃ったことがないようで、周雄は逃げるように店を立ち去っていきました。
その後、店に石田が訪れ、市川は石田、弥生、ひかる、ポパイの5人で飲みました。ポパイは「Y」を畳むことにしましたが、すぐに新しく「Z」を立ち上げることにしました。
市川は石田やひかるらと別れ、有無を言わさずに弥生をタクシーに乗せて帰しました。時間はまだ午前0時なであり、市川は夜はこれからだと思いながら一人夜の街へ繰り出していきました。
以上、映画「一度も撃ってません」のあらすじと結末でした。
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