斬、の紹介:2018年日本映画。『鉄男』『野火』などの塚本晋也監督が20年以上温め続けた構想を基に映画化した、自身初となる時代劇作品です。幕末の動乱期のとある農村を舞台に、腕は立つもの一度も人を斬ったことのない一人の浪人と、周囲の人々の生きざまを通して「生と死」とは何かと問いかける作品です。
監督:塚本晋也 出演者:池松壮亮(都築杢之進)、蒼井優(ゆう)、中村達也(源田瀬左衛門)、前田隆成(市助)、大槻修治(嘉兵衛)、クノ真季子(滝)、横内直人(一蔵)、塚本晋也(澤村次郎左衛門)ほか
映画「斬、」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「斬、」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
斬、の予告編 動画
映画「斬、」解説
この解説記事には映画「斬、」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
斬、のネタバレあらすじ:起
時は江戸時代末期の動乱期。若くして浪人となり、藩を離れた都築杢之進(池松壮亮)は、江戸近郊の農村に身を寄せていました。杢之進は農家を手伝う傍ら、農家の息子・市助(前田隆成)に剣術の稽古をつける日々を送っていました。
この頃、世論は開国するか否かの瀬戸際に立たされており、杢之進に想いを寄せる市助の姉・ゆう(蒼井優)は、いつかは杢之進も江戸に上がって動乱に身を投じるのではないかと思うと共に、武士に憧れる血気盛んな市助の身を案じていました。
ゆうは杢之進に、市助をその気にさせないよう釘を刺すと、「死ぬんですか?」と問いかけました。杢之進はしばらく間を置いた後「死にません」と答えました。
斬、のネタバレあらすじ:承
ある日、市助は近くで果たし合いがあるから見に行こうと、杢之進とゆうを誘いました。その後、いつものように市助に稽古をつけていた杢之進の元に、先程果たし合いをしていた剣の達人・澤村次郎左衛門(塚本晋也)が訪れ、杢之進の剣の腕に惚れ込むと、自分の組織に加わって一緒に江戸に行き、京都へ上って動乱に参加ないかと呼びかけました。
杢之進は誘いを引き受け、澤村から「自分の組織は身分は関係ない」と言われた市助は、自分も連れて行ってもらえると喜びました。ゆうはそんな弟を心配し、もう少し力をつけてからにすべきではないかと諭しますが、市助にとっては余計なお節介としか映りませんでした。
一方の杢之進も、剣の腕は立つものの、今まで一度も人を斬ったことがないことに葛藤していました。
そんな時、村にどこからともなく源田瀬左衛門(中村達也)率いる無頼者たちがやってきました。悪い噂のある源田たちに村人たちが恐れをなす中、杢之進は挨拶に行ったところ無頼者たちに気に入られました。村人たちは杢之進に何とかしてほしいと頼みますが、江戸行きを翌日に控えていた杢之進は、彼らはそこまで悪い人ではないとして話を聞いてあげるよう村人たちに頼みました。
ところが、杢之進は突然高熱を出して倒れてしまい、市助は江戸行きが延期になったことに苛立ちました。そんな時、市助は無頼者たちと喧嘩沙汰を起こしてしまい、ボコボコにやられます。澤村は無頼者たちを一掃しますが、一人だけ取り逃がしてしまいます。その夜、村人数名が無頼者たちに襲撃され、市助も殺害されてしまいました。
斬、のネタバレあらすじ:転
市助の死に打ちのめされたゆうは、泣きながら仇を討ってほしいと訴え、澤村は一人を取り逃がしてしまったことに責任を感じて、敵討ちに応じようとしました。そこへ杢之進が先に手を出したのは我々であり、復讐の恩讐はいたちごっこになってしまうと警鐘しますが、ゆうは「武士なのに何でいざとゆう時に戦わないのか。その刀はただの飾り物か」と杢之進を叱りました。
結局、杢之進は澤村と共に敵討ちに向かうことにし、源田らのアジトを見つけました。それでもなお人を斬るつもりのない杢之進に対して澤村は「京都でこれから俺たちが何をしようとしているのか知っているのか。刀を抜け。お前の実力を見せてみろ!」と檄を飛ばしました。
しかし、それでも杢之進は何もできずに、ただ立ち尽くしていると、そこにゆうの悲鳴が聞こえてきました。密かに杢之進たちを尾行していたゆうは無頼者たちに捕まってしまい、乱暴されようとしていました。杢之進は刀を抜くことなく、そばに落ちていた棒で無頼者たちを成敗していきましたが、源田に刀を突き付けられると、その途端に身動きが取れなくなってしまいました。
ゆうも無頼者たちに襲われようとしていたその時、駆け付けた澤村が無頼者たちを斬り倒していきました。そして澤村は源田の片腕を斬り落とし、とどめを刺せと言う源田に「しばらく時間がありますので己の人生を振り返ってください」と告げて、その場を後にしました。
斬、の結末
ゆうを自分の手で救うこともできず、結局何もできなかった杢之進は、どうすれば人を斬れるようになるのか悩み苦しみました。そんな杢之進の姿を見た澤村は「一緒に江戸に行くのは止めだ。これからお前を斬る。嫌なら俺を斬れ」と挑発してきました。
駆け付けたゆうが見守るなか、遂に杢之進と澤村の斬り合いが始まりました。杢之進は歴戦の剣士である澤村の前に苦戦を強いられ、もう止めてくれと叫ぶゆうの声に反応しながら、互いに斬り合いました。杢之進は胸を斬られるも、冷静に澤村の動きを見切って斬り捨てました。
激闘を終えた杢之進は、ふらふらとその場から歩き出し、ゆうは彼の姿を見て泣き叫びました。
以上、映画「斬、」のあらすじと結末でした。
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