凜-りん-の紹介:2018年日本映画。又吉直樹が芥川賞を受賞した『火花』より前のに書いた初長編、それが『凛』。2007年に舞台化され、又吉の文才がファンの間で話題になった幻の作品が待望の映画化。物語は長野県の小さな村を舞台に、神隠しの伝説さながらに起こった子どもたちの失踪事件を追う男子高校生たちの日々が描かれる。7人組ボーカルダンスユニット「M!LK」のメンバーとしても活躍する佐野勇斗と、漫画原作の実写化作品に多く出演する本郷奏多がW主演を果たし、7歳の年の差を感じさせない同級生ぶりを演じている。
監督:池田克彦 脚本:又吉直樹 キャスト:佐野勇斗(野田耕太)、本郷奏多(天童義男)、須賀健太(石倉優太[大仏])、亀田侑樹(折田竜二)、櫻井圭佑(真島泰輔)ほか
映画「凜 りん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「凜 りん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
凜 りんの予告編 動画
映画「凜 りん」解説
この解説記事には映画「凜 りん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
凜 りんのネタバレあらすじ:起
長野県のとある村。川原で遊んでいた少女たちのうち一人がこつ然と姿を消してしまいました。警察による捜索活動を山から見下ろしているのは…?
高校生の野田耕太(佐野勇斗)は今朝もバタバタと登校。学校ではケンカっ早い親友の真島泰輔(櫻井圭佑)、うわさ好きの折田竜二(亀田侑樹)、いつもニコニコ[大仏](須賀健太)と楽しく過ごしています。東京から転校してきたばかりでクラスになじめていない天童義男(本郷奏多)を、真島がグループに誘い5人で行動するように。
するとすぐに竜二が転校の理由を詮索しますが、天童ははっきり答えませんでした。話題は先日起こった少女の失踪事件に移り、行方不明になったのは保健室の先生の娘だということが判明。実はこの村には百年に一度、5人の子どもがいなくなるという神隠し伝説があり、天童が興味を示すとすかさず真島が「俺らで真相をつきとめよう」と言い出します。
そんなとき、代理の保健の先生がやってきます。「里中のぞみです。よろしくね」その女性に耕太は一目惚れしてしまったようです。
凜 りんのネタバレあらすじ:承
耕太が授業をサボっていると、里中先生(山口紗弥加)が話しかけてきます。彼女が赤ちゃんを抱いた写真を発見し質問すると、それは彼女の娘で離婚して以来会っていないこと、その子は耕太たちと同じ年頃だということを教えてくれました。
週末、5人は少女がいなくなった川原にやってきました。手がかりが見つかるわけもなく、結局、耕太が持ってきた釣り竿で釣りを始める5人。竜二がスマホで記念写真を撮ろうとしますが天童がこれを拒否、「思い出はスマホじゃなくて心に残すものだ」と言うので一同は爆笑。するとそのとき[大仏]の弟が橋の上に現れます。態度の悪い弟に真島たちは不快感をあらわに。実は[大仏]は継母とその子どもである弟から疎まれており、家の中に居場所がなかったのです。
以前は頭のよかった[大仏]がニコニコとバカなふりをしており、本当は実の母に会いたくてたまらないということを知った天童は急に歩き出し、[大仏]の家に着くなり石を投げてガラスを割ってしまいます。しかも間違えてとなりの家に…。「もっと全力で、正直に生きろよ」そう言った天童に[大仏]は、「ありがとう、天童。ぼくのために、ありがとう」と涙を流すのでした。
凜 りんのネタバレあらすじ:転
数日後、今度は神社で男の子が行方不明に。神主(堀部圭亮)に話を聞きに行った5人は山伏の伝説のことを聞き、「絶対行ってはいけない」と念を押された山にやってきました。たき火を囲み、好きな女子の話など他愛もない話で5人は絆を深めていきます。やがてみんな眠ってしまいますが、天童が「[大仏]がいない」と皆を起こします。
山の中を探し回っているうちに小屋を発見して中に入ってみると、そこにはたくさんのバッグや財布などが隠すように置いてありました。結局[大仏]は見つからず、耕太は最初に目覚めた天童が冷静すぎる、と彼を疑い始めます。
翌日[大仏]は欠席、耕太と天童の間に険悪な雰囲気が漂い、真島は耕太を落ち着かせようと自宅に誘います。しかしそこに真島の父が帰宅し、違和感をおぼえた耕太はすぐに帰りました。真島は父に日頃から暴力を受けていたのです。
その夜、耕太は一人で小屋に向かいました。そこには竜二も来ていて二人で小屋に入ると、ゆうべあった荷物がなくなっていました。するとそこへ天童もやってきたのですが、耕太は天童を問いつめてしまいます。仲裁に入る竜二を置いて、耕太は小屋から出ていってしまいました。
翌日、竜二が夕べから帰っていないと聞かされた耕太。幼なじみの雪菜から、天童が東京の高校でクラスメイトを殺したらしいと聞き、彼につかみかかります。殺人を否定しない天童。
結局その日は休校となり、耕太は帰宅。すると母(石田ひかり)が部屋にやってきて、めずらしく離婚した耕太の父の話をします。「努力しなければ終わってしまう」母のその言葉に耕太は考え込みます。そして生徒手帳にしのばせた里中先生の写真に、あの山で過ごした夜に天童が書いた落書きを見つけます。あわてて天童に電話する耕太。「話がしたい」と天童を神社に呼び出すのでした。
凜 りんの結末
そのころ真島は、ずっと窃盗を強要してきた父親を「俺もうやだよ!」と拒否。学校内で先生たちの財布にまで手を出し、真島はもうこれ以上犯罪に手を染めたくないと初めて父親に逆らったのでした。
暗くなり、神社で天童を待つ耕太。しかし突然何者かに背後から襲われてしまいます。気がつくと結束バンドで拘束され、[大仏]や竜二、行方不明の小学生たちとともに閉じ込められており、練炭が炊かれています。あわてて大声を出して皆を起こす耕太。そのとき出入口に人影が…。
ドアを開けたのは天童でした。
監禁されていたのは学校のプールの更衣室。すぐに警察がやってきて天童が捕まってしまいます。警察と天童に向かって耕太が叫びます。「天童じゃないんだ!俺たち友だちなんだ。天童、疑って、マジでごめん」
警察によると、事件は何者かに依頼された男によって引き起こされていました。では依頼したのは誰なのか?
そこに真島が現れます。彼は里中先生から盗んだ財布の中に、天童と同級生の女の子が二人で写っている写真を見つけ、それを知らせるために自首したのです。そして、神隠し伝説を利用して5人を殺し、天童に罪を着せようとした犯人が里中先生だったということが明らかになりました。
居合わせた里中先生は、「会いたかった娘を死に追いやった天童が許せない。法で裁けないなら自分で手を下すしかない」と告白し、「なんでお前が生きているんだ!」と天童をののしります。天童は泣きながら土下座し、好きだった彼女とうまく距離が縮められず、からかうつもりでやったSNSが原因で彼女が自殺してしまったことを本当に後悔していると謝るのでした。そして、天童の携帯電話に保存されている動画の中に、彼女が母親である里中先生のことを大切に思っていることがわかる証拠が残っていました。母からもらったおそろいの鈴をカバンにつけ、「大切な人からの贈り物」と言っていたのです。
事件は終わり、5人の日常が戻ってきました。
「そういえばなんであのとき、監禁場所があそこだってわかったの?」と聞く耕太に、「神社に行ったら耕太いなくて、そのとき音が聞こえて…」と山伏の持つ錫杖(しゃくじょう)の音に導かれたという天童。それには一同「いやいやいやいや」と総ツッコミ。その様子を遠くから見つめているのは………?
以上、映画「凜 りん」のあらすじと結末でした。
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