ペンギン・ハイウェイの紹介:2018年日本映画。第31回日本SF大賞を受賞した森見登美彦の小説を映画化した長編アニメーション・ファンタジー作品です。とある街に突如現れたペンギンの群れを巡る、小学4年生の少年と謎多き女性のひと夏の不思議な体験を描きます。主題歌を宇多田ヒカルが手掛けています。
監督:石田祐康 声優:北香那(アオヤマ君)、蒼井優(お姉さん)、釘宮理恵(ウチダ君)、潘めぐみ(ハマモトさん)、福井美樹(スズキ君)、能登麻美子(アオヤマ君の母)、久野美咲(アオヤマ君の妹)、西島秀俊(アオヤマ君の父)、竹中直人(ハマモトさんの父)ほか
映画「ペンギン・ハイウェイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペンギン・ハイウェイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ペンギン・ハイウェイの予告編 動画
映画「ペンギン・ハイウェイ」解説
この解説記事には映画「ペンギン・ハイウェイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペンギン・ハイウェイのネタバレあらすじ:起
とある郊外の住宅街に住むアオヤマ君(北香那)は、探求心が旺盛で研究熱心な小学4年生です。そんなアオヤマ君にとっての一番の関心事は、歯科医院に勤める胸の大きなお姉さん(蒼井優)のことでした。
夏休みが近づいたある日、海がないはずのこの住宅街に突如大量のペンギンの群れが現れ、そして忽然と姿を消すという謎の怪事件が発生しました。アオヤマ君は友人のウチダ君(釘宮理恵)ともに事件の謎を解明するため「ペンギン・ハイウェイ研究」を立ち上げ、ペンギンがなぜこの街に現れたのか、そしてどこへ向かおうとしているのか調査を開始しました。
アオヤマ君とウチダ君は学校裏の水路にペンギン数羽を発見しましたが途中で見失ってしまい、アオヤマ君はクラスのガキ大将・スズキ君(福井美樹)に捕まって自動販売機に縛り付けられてしまいました。アオヤマ君はたまたまその場に居合わせたお姉さんに助けてもらいましたが、ひょんなことからお姉さんの放り投げた空き缶が突如ペンギンの姿に変わりました。唖然とするアオヤマ君に、お姉さんは「この謎を解いてごらん。君にはできるかな?」と意味深な笑みを浮かべました。
ペンギン・ハイウェイのネタバレあらすじ:承
アオヤマ君はなぜお姉さんがペンギンを出現させられるのかを暴くため、お姉さんに空き瓶、ボールやフライパンなど様々なものを上空に投げてもらいますが、いずれもペンギンには変身せず失敗に終わりました。お姉さん曰く気分次第で出来る日と出来ない日があるとのことであり、なぜペンギンを生み出せるのかお姉さん自身にもわかっていないようでした。ウチダ君は自宅に一羽のペンギンを連れて帰り飼うことにしましたが、そのペンギンは餌を一切食べず、そのうちにやがて衰弱していき、最後にはコーラの缶へと姿を変えてしまいました。その様子を見たアオヤマ君とウチダ君は、ペンギンのエネルギーは街から離れると消えてしまうのではと思い、ペンギンを生み出せるお姉さんこそがそのエネルギー源ではないかと考えました。
そんな時、アオヤマ君とウチダ君はクラスの優等生ハマモトさん(潘めぐみ)に連れられ、森の奥の草原で彼女が見つけたという謎の透明な球体“海”を目撃しました。
ペンギン・ハイウェイのネタバレあらすじ:転
夏休みに入り、アオヤマ君とウチダ君、ハマモトさんはペンギンの謎の解明と並行して“海”の共同研究も開始しました。そんなある日、突如として“海”が暴走を始め、周囲には雷が鳴り響き、“海”の中からはいくつもの小さな球体が飛び出してきました。その時、どこからともなくペンギンの大群が現れて小さな球体に突進、それらを壊していきました。ペンギンの大群はお姉さんが呼び出したものでした。アオヤマ君はお姉さんにも“海”の共同研究を手伝ってもらおうとしましたが、アオヤマ君は“海”が拡大するとお姉さんの体調がよくなり、縮小すると悪化することから、お姉さんと“海”との因果関係に目をつけました。更には、お姉さんが“海”から遠ざかると、ペンギンと同じように体力が奪われていくことも明らかになりました。やがて壁に突き当たったアオヤマ君は、「世界の果ては、外側ではなく内側に折りたたまれているのかも知れない」という父(西島秀俊)の言葉にヒントを得て、“海”の正体は世界にあいた穴であり、ペンギンはその穴を修復しようとしていたのではないかと思いを巡らせました。
ペンギン・ハイウェイの結末
新学期が始まり、スズキ君から“海”の話を聞いた国立科学技術大学の研究員であるハマモトさんの父(竹中直人)らを中心に大学の調査隊が編成され、“海”の謎の徹底調査に乗り出しました。ところが、“海”は街を覆いつくすまでに巨大化、調査隊を飲み込んでしまいました。街中に避難勧告が出されるなか、アオヤマ君とウチダ君、ハマモトさんはスズキ君の助けを得て調査隊を救うために学校を抜け出しますが、ウチダ君とハマモトさん、スズキ君は巡回していた警察官に取り押さえられてしまいます。ひとり逃げおおせたアオヤマ君はお姉さんに会いに行き、お姉さんの正体は人間ではないことを見抜きました。アオヤマ君は“海”とは世界の歪みであり、お姉さんとペンギンはその“海”からエネルギーをもらって歪みを修復しているのではないかと考えました。しかし、歪みが修復されて“海”が小さくなるということは、お姉さんの存在が消滅してしまうことをも意味するものでした。アオヤマ君とお姉さんはそれでも調査隊を助けるためにペンギンの大群を呼び出し、“海”の中に飛び込んで調査隊を発見しました。お姉さんは自分の運命を悟りながらもペンギンの力を使って“海”を完全に破壊し尽くし、アオヤマ君と調査隊は無事元の世界への帰還に成功しました。アオヤマ君はお姉さんの大きな胸に顔をうずめ、消えゆくお姉さんに「いつかこの謎を解明して、必ず会いに行くからね」と別れを告げました。アオヤマ君は、このひと夏の不思議な経験を通じ、これからも成長して立派な大人になることを誓いました。
「ペンギン・ハイウェイ」感想・レビュー
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小説でよみ、映画で見たかったのできました。小説版も面白かったです。お姉さんが自分の運命を悟りながらも救助隊を助ける姿に感動しました。アオヤマくんたちの友情もよかったです。読んで、見て、とても感動してストレス発散になりました(失恋直後にこの映画を見ました・・・)。
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子供時代のひと夏のかけがえのない尊さを感じるような作品でした。少し大人ぶったアオヤマ君と不思議なお姉さんとの掛け合いがとても微笑ましかったです。エンディングはとても余韻のある終わり方で、宇多田ヒカルさんの主題歌が心に沁みました。映画館でエンドロール中誰も席を立たなかったのが印象的です。鑑賞後、普段なら不快に感じる夏の蒸し暑さがとても心地よく感じられるました。素敵な作品です。
アオヤマ君のお姉さんとのひと夏の出来事を壮大に描いた作品でした。最初はお姉さんの胸にしか興味がなかったアオヤマ君が、ペンギン大量発生事件によって次第に成長し、恋が愛に変わっていく様子がとても面白かったです。見た後、とてもすっきりした気分になった映画でした。