友罪の紹介:2017年日本映画。小さな町工場に就職した元雑誌記者。そこで知り合った男は世間を震撼させた少年殺人者だった…。薬丸岳の同名小説を原作とする、それぞれの周囲の人間模様も含めて、贖罪とは何かを問いかける人間ドラマです。
監督:瀬々敬久 出演者:生田斗真(益田純一)、永山瑛太(鈴木秀人/青柳健太郎)、夏帆(藤沢美代子)、山本美月(杉本清美)、富田靖子(白石弥生)、奥野瑛太(清水)、飯田芳(内海)、忍成修吾(達也)、佐藤浩市(山内修司)、ほか
映画「友罪」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「友罪」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
友罪の予告編 動画
映画「友罪」解説
この解説記事には映画「友罪」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
友罪のネタバレあらすじ:鈴木秀人と益田純一 1
職場でのトラブルが元で、週刊誌ジャーナリストへの道を閉ざされた益田純一(生田斗真)。彼は部屋を借りる金もなく、寮のある町工場に職を得て働き始めます。益田とほぼ同時期、鈴木秀人(永山瑛太)という名の男も同じ工場に就職。彼は技術こそあれど、無愛想で工場の誰とも交わろうとはしませんでした。そんな鈴木のことが気になる益田。それは工場内で働く同僚たちも同じで、鈴木は次第にいじめの対象となっていきます。
ある日、同じ寮で暮らす清水(奥野瑛太)と内海(飯田芳)が、「鈴木の部屋に無断で入ろう」と益田を誘ってきます。鈴木の部屋に侵入した益田らは、裸婦が描かれたスケッチブックを見つけました。他にも家族写真を見つけたのですが、なぜか鈴木以外の家族の顔は削り取られていました。
その後、自分の部屋に戻った益田は“学”という名の人物にメールを送ろうとします。しかし数行書いたところで削除してしまう益田。学は益田の中学時代の友人で、彼はいじめを受けていました。ある日、いじめられるのが怖くなった益田も、葬式ごっこをしていじめに加担してしまいます。精神的にも肉体的にも限界がきた学は、益田に電話をかけ「死んだほうがいいのかな?」と問いました。益田は、「勝手にすれば…」と冷たく突き放します。その後、自殺してしまった学。
友人を裏切ってしまい、しかも自殺に追い込んでしまったことに深い心の傷を負った益田は、毎晩のようにうなされてよく眠れない日々を送っていました。
友罪のネタバレあらすじ:鈴木秀人と益田純一 2
益田は学の実家を訪れます。学の母親はベッドに横たわり、もう先が長くない様子です。学の母親から「あなただけは学のそばでいつまでも味方でいてくれた。あなたはいつまでも正しい人でいてね」と言われ、下を向く益田。
その頃、鈴木は男に追われている女性を助けていました。女性の名は藤沢美代子(夏帆)。彼女は元恋人の唐木達也(忍成修吾)に騙されて、AVに出演させられた過去を持っていました。美代子をかばい達也に殴られた鈴木は、彼女のマンションで傷口の手当てをします。それからというもの、鈴木は美代子の家に遊びに行く仲になりました。
夜も眠れず疲弊しきっていた益田は、工場内で気を失い、その瞬間に誤って機械で指を切断してしまいます。焦る同僚たちとは裏腹に、落ちた指を拾い集める鈴木。急いで呼んだタクシーに乗り込み、益田は病院へと向かいました。
ある休日、鈴木は一人の女性と会います。彼女は医療少年院で働いている白石弥生(富田靖子)です。鈴木を見て「よく私の居場所がわかったね、青柳君」と言う白石。青柳と呼ばれた鈴木は、微妙な顔をしています。白石から「みんなあなたのことを探しているのよ」と言われた鈴木は、急いで話題を変えようと今の職場の話をします。
その後、観覧車に乗る鈴木と白石。白石から「誰にも言わないから連絡先を教えて」と言われ、鈴木は楽しそうに遊ぶ子どもたちを見つめるのでした。
指は元通りに回復し、入院していた益田のもとに元恋人で雑誌記者の杉本清美(山本美月)が見舞いに訪れます。清美はここ最近、埼玉付近で起きた児童殺人事件を追っており、その手口が17年前に世間を震撼させた少年Aによる連続殺傷事件と酷似していることから、益田に意見を求めにきました。しかし益田は、もう自分はジャーナリストではないと冷たく清美を突き放します。
やがて無事に退院した益田は、鈴木や清水ら工場の仲間たち、そして美代子とカラオケボックスで退院祝いを行いました。この頃には清水らと鈴木は打ち解けており、益田と鈴木の間には友情が芽生えつつありました。楽しそうに歌う鈴木をスマホで撮影する益田。
カラオケ店から寮に戻った益田の携帯に、清美からメールが来ます。『この間はごめん。かなりいきづまっていて…』とあり、益田はネットで17年前の連続殺傷事件について調べることにします。すると犯人の少年・青柳健太郎が鈴木に似ていることを知る益田。しかも鈴木が描いたスケッチブックの女性は、医療少年院で青柳を担当していた白石弥生だったことも判明しました。
友罪のネタバレあらすじ:鈴木秀人と益田純一 3
美代子の家に遊びに来ていた鈴木は、彼女の似顔絵を描いてプレンゼントします。そして「そろそろ帰る」と言って帰ろうとする鈴木に、美代子が突然キスをしました。美代子は鈴木をじっと見つめますが、鈴木は何も言わずにそのまま帰ってしまいます。
鈴木が寮に帰ると、清水や内海がテレビでAVを見ていました。画面には、美代子の姿があります。それは、達也が寮のポストに入れたAVのDVDでした。「お前はいいよな~」と清水に言われ、「しょうもない…」とつぶやく鈴木。これに切れた清水が、鈴木を殴り倒します。すると鈴木は怒ってテレビをバットで破壊。それを目撃した益田は、これまでに見たことがない凶暴性を見せる鈴木こそが、行方をくらましている青柳健太郎その人ではないかと確信するのでした。
益田は青柳が殺人事件を起こした現場に向かいます。第一の殺害現場はトンネルの中でした。下校途中の女子児童を石で殴って殺害。第二の殺害は親しかった男子児童を殺害後、石や枝で五芒星をかたどって地面の上で焼いていました。益田は青柳が通っていた中学にも足を運び、幼稚園からの同級生の男性を見つけます。彼にカラオケに行った時に撮影した動画を見せて、鈴木が青柳本人かを確かめます。すると男性は鈴木を見て青柳だと証言。
益田は、青柳が事件を起こした動機を探すことにしました。青柳の母親は、彼が幼い頃に亡くなっています。幼い頃から破壊衝動を秘めていた青柳。その衝動を今はひそめていますが、いつ爆発してもおかしくないのではないのかと益田は考えます。
バッドでテレビを壊した後、鈴木は急いで美代子のところに向かいました。するとそこには達也に指示された男たちにレイプされた美代子の姿がありました。鈴木が美代子に寄りそっていると、達也がやって来ます。家を飛び出し達也の元に向かう鈴木。すぐに鈴木は達也に殴り飛ばされます。ぼこぼこに殴られる鈴木は「そんなんじゃ死ねないよ。人を殺すことは簡単なのに。こうやって殺すんだよ」と言って、近くに落ちていた石を自分の頭に何度も打ちつけました。それを見て達也は「気持ち悪…」と言って去っていきます。
友罪のネタバレあらすじ:鈴木秀人と益田純一 4
益田は自分で調べたことを記事にして、清美に見せることにします。記事を読んだ清美は、「やっぱりすごいよ!ジャーナリストの夢は諦めたって言ってたけど、そんなことなかったんだね」と嬉しそうです。しかし益田が本当に知りたいのは、青柳が今何を思いどう考えて生活しているのかです。清美とは考えが合わず、結局益田は書いた記事を持ち帰ることにします。しかし清美から、鈴木の動画を見せてほしいと言われた益田は、カラオケ店で撮った動画を見せることにしました。
寮に戻った益田は、壊れたテレビを修復しようとする鈴木と公園で話をすることにします。益田は、鈴木に過去に何があったのか話してほしいと頼みました。すると鈴木も、「益田君の過去に何があったのか聞かせてほしい」としつこく頼んできます。すると「あいつは死んで俺らは生きてる。だから背負って生きるしかないんだ!」と話す益田。鈴木は、「死んで償おうと思ったこともあったよ。でも心の底から生きたいと思うんだよー」と、心の声を聞かせてくれました。
その後、清美が追っていた事件の犯人は、青柳ではなく別の人が犯人だったことが判明。それでも清美が書いた、鈴木が青柳である記事が出回ってしまいます。それを読んだ美代子は、鈴木とは会わないようになります。工場の同僚も鈴木を白い目で見て、益田は鈴木に謝ることしかできません。「みんなと出会えて本当に良かったと思っているんだ…」と話す鈴木。「ありがとう」と笑顔で見つめる鈴木に、益田は涙が止まりませんでした。その後、鈴木は置手紙一枚を残して去っていきます。
益田はある場所へと向かいました。そこは、益田の友人が17年前に自殺した現場です。時を同じくして、鈴木もまた17年前に自身が起こした殺害事件の現場にいました。もうあの頃には戻れない。しかし生きていてほしい、友達だからと思う益田と鈴木がいました。
友罪のネタバレあらすじ:山内修司と白石弥生
益田を病院まで運んだタクシー運転手の山内修司(佐藤浩市)は、義父の葬儀に駆けつけていました。10年間も別居していた妻・智子(西田尚美)と久しぶりの再会を果たします。
山内の息子・正人(石田法嗣)は、かつて交通事故で子どもを三人も死なせてしまい、責任を感じた山内は家族を解散させていました。事故後も息子に代わって被害者家族に謝罪にまわっている山内。しかし正人が結婚を考えていると知った山内は、怒りのあまり言葉を失ってしまいます。
山内は、数年ぶりに息子の正人と彼の恋人に会うことにしました。恋人を妊娠させたという正人に、山内はきっぱりと「結婚を認めることはできない!」と告げます。すると恋人が、「罪を犯した人は幸せになれないんですか?」と問いかけます。山内は「お前のために家族を解散させたのに、お前が家族を作ってどうするんだ!」と声を荒げて去っていきました。
その後、正人の結婚式にやってきた山内は式をぶち壊そうとします。それを智子に止められる山内。「お前だって家族を解散させるって言った時は、うれしそうな顔をしたじゃないか!いつかまた家族をやり直せると思っていたのに…」と、山内はやるせなくなり涙を流します。しばらくしてから正人から電話がありました。彼は遠くで暮らすことにしたと言い「妻と子と、生きて罪を償う」と山内に告げるのでした。
一方かつて青柳を担当していた白石も、彼にばかり心を開き過ぎたことで、家庭崩壊を招いていました。彼女の高校生の娘は妊娠していて、そのことに心を痛める白石。娘からは「どっかの不良の面倒は見るくせに、今さら母親面するなよ!」と言われてしまいます。
その後、白石は娘が倒れたと知らせを受け急いで病院に向かいました。「子どもをおろせば私も殺人者になれたのかな…」と話す娘の頬を叩く白石。死んだらそれでおしまいなのだと強く訴え、母娘のわだかまりがとけていくのでした。
以上、映画「友罪」のあらすじと結末でした。
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